「頚肩部の筋緊張に対する鍼刺激の効果」
太田 喜穂子, 矢野 忠
日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 68 (2005) No. 2
鍼のローカル・エフェクトに関して、調べていたら、やはり日本には素晴らしい研究がたくさんあった。特に太田 喜穂子先生と矢野忠先生の上記の論文は読み応えがあった。結果、考察ともに読んでいて興味深かったし、考察と参考文献リストは、鍼のローカル・エフェクトに関する研究を概括したものになっているので、すごく勉強になった。
特に「考察」の部分が素晴らしい。深い鍼刺激よりも、浅い鍼刺激のほうが筋硬度が減少している。これは交感神経バイアスの抑制によるものではないかと考察されている。
ここ3~4年分の全日本鍼灸学会の抄録をイッキ読みすると、浅い鍼と深い鍼の比較研究がいくつかあり、特に腰痛では、深い鍼のほうが効果が出ているように思える。これは、皮内針などの臨床経験でも、浅い皮内針だけでとれる腰痛と深刺しないと治らない腰痛があることから、実感できる。
このへんの浅い鍼と深い鍼の問題は、一度、時間をかけて整理する必要を感じる。
「腰痛に対する表在と深部への鍼治療の比較ーランダム化比較試験」
藤本幸子、井上基浩、中島美和、糸井恵
『全日本鍼灸学会雑誌』59巻3号401 2009年
「肩こりに対する鍼治療の効果ー刺入針度の違いによる検討の試み」
宮本直、清藤昌平、伊藤和憲
『全日本鍼灸学会雑誌』59巻3号400 2009年
宮本直,伊藤和憲,越智秀樹,山田充彦,糸井恵
『全日本鍼灸学会雑誌』 58巻 3号、522 2008年
宮本直,伊藤和憲,越智秀樹,山田充彦,大橋鈴世,糸井恵
『全日本鍼灸学会雑誌』 59巻 4号、384-394 2009年