ラファエル・ノジェ(Rapael Nogier)先生のAuriculotherapy(耳穴療法)では、32ページにTabacco Addiction Treatment Protocol(タバコ依存症治療手順) が書かれている。
「わたしの意見では、全ての喫煙者は彼ら自身のうつに気づいていない『うつ的人間』であり、ニコチンは抗うつ剤である(In my opinion,every smoker is a depressive person who is unaware of their depression.Nicotine is an antidepressant.)」という部分は正直、驚いた。
わたしの認識では、「喫煙者の性格特性は、やや外交的、新奇性を好む」であり、「うつ的人間(depressive person)」というのは???となった。
しかし、調べてみると、最近は、そういう論文が出ているようだ。
東山明子、高橋裕子
「喫煙者の心理的特性に関する検討」
『禁煙科学』 5巻 2011 08-11
上記の論文では、喫煙者のほうが緊張・不安が強い。
角田英恵、桂敏樹、星野明子、臼井香苗
「男子大学生の喫煙に関連する要因ー喫煙者と非喫煙者の比較から」
『健康科学』第7巻、2011 37- 42
しかし、上記の論文では非喫煙者のほうが過敏性と劣等感が高い。
わたしの「喫煙者の性格特性は、やや外交的、新奇性を好む」 は1950年代の喫煙者の人格研究の成果のようだ。小田晋の「喫煙と性格特性ー筑波式喫煙者調査票による喫煙者・非喫煙者の比較研究」『臨床精神医学』1991:20(6):709-715や森田展彰「喫煙行動に対する人格特性およびストレスの関与」『アルコール依存とアディクション』1996:13:58-73が根拠のようだ。
1999年のDursumや2000年のPatersonの研究など、うつ状態の患者は喫煙率が高いことや禁煙成功率が低いこと、喫煙患者ではうつ状態が比較的高頻度に存在することが報告されている。
わたしの行動科学の認識は昔の知識でとどまっており、1999年から2000年にかけて、新たな研究が多く出ているようだ。