alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

肩痛の講義7:野球肩

2019-04-08 | 肩痛

「リトルリーグ肩(Little League Shoulder)」では、「上腕骨骨端線離開(Proximal Humeral Epiphysiolysis)」が起こります。現在は、投球制限がはじまっています。

2019年2月14日『日刊スポーツ』
「学童野球で球数制限導入 投手の投球数は1日70球」
https://www.nikkansports.com/baseball/news/201902140000801.html


「腱板疎部損傷(rotator interval lesion)」は、信原克哉(Katsuya Nobuhara)先生が1986年に提唱されました。

"Rotator interval" lesionについて
信原 克哉『日本リウマチ・関節外科学会雑誌』 5(1), 5-10, 1986
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsjd1982/5/1/5_1_5/_pdf/-char/ja


 「上方肩関節唇損傷(SLAP lesion)」は、1985年に整形外科医のジェームズ・アンドリュース(James Andrews, M.D.:1942ー) が提唱しました。ちょうど、この年に、アンドリュースは、大リーグのロジャー・クレメンス(Roger Clemens)投手の関節唇損傷を診断・治療したことで、有名になりました。

1985年「上腕二頭筋長頭に関連した関節唇損傷」
Glenoid labrum tears related to the long head of the biceps

James R. Andrews, MD
Am J Sports Med. 1985 Sep-Oct;13(5):337-41.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/4051091

 


1947年にベネットが野球を報告しています。ここから野球の歴史が本格的に始まります。

Shoulder and Elbow Lesions Distinctive of Baseball Players.
Bennett GE.
Ann Surg. 1947 Jul;126(1):107-10.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17858969


 


肩痛の講義6:野球肩

2019-04-04 | 肩痛
 「腱板断裂」Rotator Cuff Tearは、ドロップ・アーム・テストで鑑別できます。ドロップ・アーム・テストは1934年にアメリカ・ボストンの外科医アーネスト・アモリー・コッドマン(Ernest Amory Codman:1869ー1940)によって創案されました。コッドマンは棘上筋の研究で有名です。
 
   同じ1930年代にヤーガソンが「上腕ニ頭筋長頭腱炎のヤーガソンテストを創案しています。
1931年ヤーガソン著『回外サイン』
SUPINATION SIGN 
R. M. YERGASON
 J Bone Joint Surg Am, 1931 Jan; 13 (1): 160 -160 
http://jbjs.org/content/13/1/160  
 
《ベネット損傷》Bennet lesion
1947年にベネットが野球野球肘を報告しています。ここから野球の歴史が本格的に始まります。
Shoulder and Elbow Lesions Distinctive of Baseball Players.
Bennett GE.
Ann Surg. 1947 Jul;126(1):107-10.
 
《リトルリーグ(Little leaguer's shoulder)》
 1953年にドッター(Dotter)が「上腕骨近位骨端線離開(Epiphyseal Separation in the Proximal Humerus )」を「リトルリーグ」として報告しました。

《腱板炎・インピンジメント症候群》
 腱板炎は回旋筋腱板炎や棘上筋症候群とも言います。歴史的には、1972年にチャールズ・ニアー2世が「インピンジメント症候群」は回旋筋腱板と烏口肩峰靱帯の衝突であることを提唱して、「ニアー・サイン(インピンジメント・テスト)」を提唱しました。

 1974年にホーキンズとケネディが「水泳(Swimmer's shoulder)」を提唱し、「ホーキンス・ケネディ・テスト(Hawkins and Kennedy test)」というインピンジメントテストを提唱しました。
 1977年にリップマンが、「有痛弧症候群(Painful arc syndrome)」を提唱し、「有痛弧徴候(painful arc sign)」を提唱しました。

《上方関節唇損傷》SLAP lesion
1985年にアンドリューが「SLAP lesion(スラップ・リージョン)」を報告します。
Arthroscopy of the shoulder in the management of partial tears of the rotator cuff: a preliminary report. Andrews JR, et al. 
Arthroscopy. 1985.

《腱板疎部損傷》
Rotator Interval Lesion
1987年に日本の兵庫県龍野市の信原克哉先生が、「腱板疎部損傷(ローテーター・インターバル・リージョン)」を報告しました。信原克哉先生は、「広背筋症候群」や「第二関節」も提唱され、世界的な関節学者です。

肩痛の講義5:水泳肩(Swimmer's shoulder)

2019-04-04 | 肩痛
1972年にオクラホマの医師、チャールズ・ニアー2世(Charles S. Neer, II:1917–2011)が、回旋筋腱板(rotator cuff)と、烏口肩峰靱帯(coraco-acromial ligament)の衝突が、『慢性インピンジメント症候群』の原因であると論じ、外科手術法を論じました。
1972年「肩の慢性インピンジメント症候群の前方形成術:予備的研究」
Anterior acromioplasty for the chronic impingement syndrome in the shoulder: a preliminary report.
Neer CS 2nd.
Bone Joint Surg Am. 1972 Jan;54(1):41-50.
 
Neer Sign – Shoulder Rotator Cuff Impingement Special Test
1974年にケネディとホーキンスが「水泳肩(Swimmer's shoulder)」を提唱しました。
1974年「水泳肩」
Swimmers shoulder.
Kennedy JC, Hawkins R.
Phys Sports Med 1974;2:34–38.
https://ci.nii.ac.jp/naid/10019235261/

1980年にホーキンスとケネディが「アスリートの衝突症候群(インピンジメント・シンドローム)」で、「ホーキンス・ケネディ・テスト(Hawkins-Kennedy test)」を提唱しました。
1980年「アスリートのインピンジメント症候群」
Impingement syndrome in athletes.
Hawkins RJ, Kennedy JC.
Am J Sports Med. 1980 May-Jun;8(3):151-8. 


肩の講義4

2019-04-04 | 肩痛

4月3日水曜日の講義内容。
肩痛(Shoulder pain)で、
レッドフラッグスは、肩こりの際に再度、講義する。
鍼灸不適応疾患として5つの徴候を暗記する。
1.化膿性肩関節炎
2.骨折・脱臼(ピアノキーサイン)
3.腱板断裂(ドロップ・アームテスト)
4.石灰沈着性腱板炎
5.肩峰下滑液包炎(プッシュボタン徴候、ダウバーン徴候)

上腕二頭筋長頭腱炎と腱板炎を分類する。
上腕二頭筋長頭腱炎は、
結節間溝の圧痛、
ヤーガソンテスト、
スピードテスト、
ストレッチテストを実技として行う。
※最新情報としてアッパーカットテストを紹介する。

腱板炎として、
ペインフルアークサインの機序を講義し、棘状筋への刺鍼部位として曲垣(SI13)、秉風(SI12)、巨骨(LI16)、肩ぐう(LI15)を触診する。
最後に、肩の触診として、
骨の触診、
胸鎖関節、鎖骨、肩鎖関節。
肩甲棘、肩峰。
上腕骨の大結節、結節間溝、小結節、烏口突起をおこなう。

三角筋、
回旋筋腱板(回旋筋腱板)として、棘状筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋、
大円筋、広背筋、
上腕二頭筋、上腕筋、烏口腕筋、
大胸筋、小胸筋、鎖骨下筋を触診する。

これで、80分。


肩痛の講義3:回旋筋腱板炎(Rotator cuff tendiinitis)の理学検査法

2019-04-02 | 肩痛
【肩痛のアップデート:回旋筋腱板炎(Rotator cuff tendiinitis)の理学検査法】  
2018年「アスリートの肩の包括的検査」
Comprehensive Examination of the Athlete’s Shoulder
Eric J. Cotter, et al.
Sports Health. 2018 Jul-Aug; 10(4): 366–375.
Published online 2018 Feb 14. 
 
以下、引用。
「『ニヤーサイン(Neer sign)』は肩峰下滑液包インピンジメントに対する『感度』は75パーセントで、『ホーキンス・ケネディテスト』は『感度』80パーセントだった」
Results:The Neer sign has a 75% sensitivity for subacromial impingement (SAI), while the Hawkins-Kennedy test has an 80% sensitivity. 
以上、引用終わり。
『ニヤーサイン(Neer sign)』  
 
『ホーキンス・ケネディテスト』
 Hawkins-Kennedy test   
 
以下、引用。
「『ペインフルアーク(有痛弧)テスト』は肩峰下インピンジメント徴候への『感度』は80パーセントだった。」
The painful arc test has an 80% specificity for SAI.
以上、引用終わり。
『ペインフルアーク(有痛弧)テスト』
 
以下引用。
「『スピードテスト』は感度54パーセントで、特異度は81パーセントだった」
The Speed test has a sensitivity of 54% and specificity of 81% for biceps pathology.
以上、引用終わり。
『スピードテスト』 
 
※「感度(Sensitivity:センシティヴィティ)」:「疾患を有するもののうち、検査が陽性となる割合」 
※「特異度(Specificity:スペシフィシティ)」:「疾患の無いものが検査で陰性となる割合」 
※ 「尤度比(ゆうどひ:Likelihood Ratio)」:
「陽性尤度比(Positive likelihood ratio)=感度/(100-特異度)」
「陰性尤度比(Negative Likelihood Ratio)=(100-感度)/特異度」

肩痛の講義2:上腕二頭筋長頭腱炎(Biceps tendiinitis)の理学検査法

2019-04-02 | 肩痛
肩痛のアップデート:上腕二頭筋長頭腱炎(Biceps tendiinitis)の理学検査法
2017年「プラクティカル・エビデンス・ベースド・コンプレヘンシブ(PEC)理学検査による上腕二頭筋長頭腱の病変の診断」
A practical, evidence-based, comprehensive (PEC) physical examination for diagnosing pathology of the long head of the biceps
Samuel Rosas, MS
J Shoulder Elbow Surg. 2017 Aug; 26(8): 1484–1492.
Published online 2017 May 4.
 
「上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)」の理学検査法でもっとも妥当なのは、「アッパーカットテスト(uppercut test)」のようです。 
「アッパーカットテスト(uppercut test)」 の動画 
 
以下、引用。
「一連の2つの理学検査法を同時に行うアセスメントは、単独の理学検査法よりも、テストパフォーマンスを向上させた。2つより多くの理学検査法を行うことは、診断の正確性を低下させる。」
In series and in parallel assessments determined 2 physical examination tests improved test performance over any single test. Performing more than 2 physical examination tests decreased diagnostic accuracy. 
 
「上腕二頭筋の圧痛の触診とアッパーカットテストの組み合わせは、上腕二頭筋近位における病変の診断で高い正確性があった。」
The uppercut test combined with the tenderness to palpation of the LHB test provided the highest physical examination accuracy for diagnosing pathology at the proximal biceps. 
 
「この組み合わせは、『感度(Sensitivity:センシティヴィティ)』が88.3%で、
『特異度(Specificity:スペシフィシティ)』が99.3%であった。」
This combination has a parallel testing sensitivity of 88.3% and a series specificity of 93.3%. 
 
「アッパーカットテストと超音波イメージング診断の組み合わせは、最も高い感度97%であった。スピードテスト、ヤーガソンテスト、アッパーカットテストと超音波イメージングの組み合わせは、いずれも高い特異度100%であった。」
The uppercut test and diagnostic ultrasound imaging in parallel revealed the highest sensitivity (97%). Each of the Speed’s, Yergason’s, and upper cut tests paired with diagnostic ultrasound imaging all achieved the highest specificity (100%).
以上、引用終わり。
 超音波検査と理学検査法の組み合わせで、感度97%、特異度100%なら、使う価値があります。
 
単独では、以下の論文が参考になります。
2015年「肩痛の超音波検査による臨床的発見の関連」
Correlation of findings in clinical and high resolution ultrasonography examinations of the painful shoulder
Raphael Micheroli,J Ultrason. 2015 Mar; 15(60): 29–44.
Published online 2015 Mar 30. doi: 10.15557/JoU.2015.0003
以下、引用。
「棘状筋テスト(ジョーブテスト、ペインフルアークサイン有痛弧徴候、ホーキンス・ケネディ・インピンジメントテスト)はいずれも高い感度で、低い特異度だった。反対にドロップアームテストは、ローテーターカフ回旋筋腱板のいかなる病変にも特異度100%で、低い感度だった」
The m. supraspinatus tests (Jobe supraspinatus testg, painful arc Ih and Hawkins and Kennedy impingement testi) show high sensitivities (g0.81, h0.83, and i0.86) and low specificities (g0.55, h0.35, and i0.45) for any pathology. As opposed to this, the drop arm testj has a specificity of 1 and a low sensitivity (0.12) for any pathology of the rotator cuff. 
以上、引用終わり。
 
ペインフルアークサイン(有痛弧徴候)
Painful arc sign
感度 83%
特異度35%
 
ホーキンス・ケネディ・インピンジメントテスト
Hawkins and Kennedy impingement test
感度 86%
特異度45%
 
ヤーガソンテスト
Yergason test
感度 32%
特異度88%
 
※「感度(Sensitivity:センシティヴィティ)」:「疾患を有するもののうち、検査が陽性となる割合」 
※「特異度(Specificity:スペシフィシティ)」:「疾患の無いものが検査で陰性となる割合」 
※ 「尤度比(ゆうどひ:Likelihood Ratio)」:
「陽性尤度比(Positive likelihood ratio)=感度/(100-特異度)」
「陰性尤度比(Negative Likelihood Ratio)=(100-感度)/特異度」

肩痛の講義1

2019-04-01 | 肩痛

肩痛(Shoulder pain)の患者さんが来られた場合、まずは、「レッドフラッグ徴候(Red Flags)」、「鍼灸不適応疾患であるか、どうか」を鑑別します。もちろん、心筋梗塞や脾臓破裂、パンコースト腫瘍や肝胆疾患、胃潰瘍、膵臓がんなどの可能性は知っておくべきですが、これは、肩こりの際に、再度、講義します。

鍼灸不適応疾患の5徴候を丸暗記しましょう。

【化膿性肩関節炎】

まず、(1)全身発熱、局所熱感、腫張、自発痛です。これは化膿性肩関節炎の可能性があります。

これは野球をやっている12歳の子どもの「化膿性肩関節炎」という鍼灸師にとっては、悪夢になりそうな症例です。

小児野球選手の化膿関節炎の1例
『中部日本整形外科災害外科学会雑誌 』Vol. 50 (2007) No. 3 495-496  


 上記の例は外傷歴も注射歴もないです・・・。
 「肩関節痛」の場合の鍼灸不適応疾患として「化膿性肩関節炎」があり、上気道感染からの血行性のものもありますが、ほとんどは3歳以下であり、「医原性」の原因が日本ではほとんどです。問診でステロイド注射や検査後に「発熱・局所熱感・腫脹・自発痛」があることが判明すれば、私なら指一本触りません。


化膿性肩関節炎の臨床像および治療成績
『肩関節 』Vol. 12 (1988) No. 2 p. 259-263
https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/12/2/12_259/_pdf

1997年のニューヨーク大学の症例報告は鍼治療の後で、細菌感染を起こし、「化膿性肩関節炎」になった症例です。
肩関節を外科手術で開けて、排膿して膿を出して洗い、抗生物質=抗菌薬を注射します。詳細が書かれていて参考になります。

1997年「鍼治療の後の肩関節の関節膿症
GLENOHUMERAL PYARTHROSIS FOLLOWING ACUPUNCTURE TREATMENT
Abram E Kirschenbaum, MD; Charles Rizzo, MD
Orthopedics. 1997;20(12):1184-
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9415915

https://www.healio.com/orthopedics/journals/ortho/1997-12-20-12/%7B968d0048-876a-47bd-b009-7a4208a80d3b%7D/glenohumeral-pyarthrosis-following-acupuncture-treatment


「肩関節脱臼」では、「バンカート損傷(Bankart lesion)」や「反復性肩関節脱臼(Recurrent dislocatin of the shoulder)」を理解する必要があります。「バンカート損傷(Bankart lesion)」は、イギリスの整形外科医アーサー・バンカートが提唱しました。「反復性肩関節脱臼」は、バンカート法などの外科手術が勧められます。
鍼灸師の場合は「ピアノ・キー・サイン」のチェックや胸鎖関節から肩鎖関節まで触診し、靭帯結合をチェックします。

2018年マケドニア「反復性脱臼で肩に関節鏡を入れたあとの鍼治療
Acupuncture Treatment after Shoulder Arthroscopy after Recurrent Dislocations.
Zhu J,et al.

Open Access Maced J Med Sci. 2018 Nov 17;6(11):2133-2135. doi: 10.3889/oamjms.2018.476. eCollection 2018 Nov 25.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6290407/

【腱板断裂】

「腱板断裂」は、「ドロップ・アーム・テスト」で鑑別します。陽性なら病院の精密検査に送ります。

石灰沈着性腱板炎(Calcific tendinitis:カルシフィック・テンディニティス)】

「石灰沈着性腱板炎(Tendinitis calarea:テンディナイティス・カルカレア)」は、「夜も眠れないほどの激痛」「痛みのため上肢を動かすことができない」「大結節にかるく触れただけで激痛」などがサインと成ります。以下の論文は、詳しいです。

「石灰沈着性腱板炎の組織学的研究」
『肩関節 』Vol. 15 (1991) No. 2 p. 219-222
https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/15/2/15_219/_pdf

2018年ミラノ大学「肩の石灰沈着性腱障害:メカニズム・病理学・治療からの臨床パースペクティブ」
Calcific tendinopathy of the shoulder: clinical perspectives into the mechanisms, pathogenesis, and treatment.
Sansone V

Orthop Res Rev. 2018 Oct 3;10:63-72. doi: 10.2147/ORR.S138225. eCollection 2018.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6209365/

2018年4月ギリシャ・イオアニア大学

 

「石灰沈着性腱板炎の電気鍼:パイロット研究」 
Electroacupuncture for the Treatment of Calcific Tendonitis. A Pilot Study
GeorgiosPapadopoulos
Journal of Acupuncture and Meridian Studies
Volume 11, Issue 2, April 2018, Pages 47-53
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2005290117300493 


また、「肩峰下滑液包炎(Subacromial bursitis:サバクロミアル・バーサイティス)」は、関節リウマチによる「リウマチ性肩峰下滑液包炎」、注射針の穿刺による「化膿性肩峰下滑液包炎」、「結核性肩峰下滑液包炎」などは鍼灸不適応と思われます。

「ダウバーン徴候」で鑑別します。アメリカの外科医ロバート・ヒュー・マッケイ・ダウバーン(1860ー1915)が創案しました。
「肩峰下滑液包炎」については、以下の論文が詳しいです。この研究では、肩峰下滑液包炎の92パーセントの確率で棘上筋腱と肩峰下滑液包の面に炎症が著名であり、「いわゆる五十肩」の機序についても示唆に富む必読文献です。

「肩峰下滑液包造影および肩峰下滑液包鏡視による有痛性肩関節疾患の病因, 病態の研究」
安楽 岩嗣
『日本リウマチ・関節外科学会雑誌』Vol. 9 (1990) No. 2 P 211-226
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsjd1982/9/2/9_2_211/_pdf