alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

膝痛のEBM最前線：変形性関節症

2018-05-17 | 膝痛
2017.05.20『MEDLEY』
 
　ヨーロッパの「欧州リウマチ学会（EULAR：European League Against Rheumatism）」が、典型的な「変形性関節症（OA：Osteoarthritis）」なら、画像を撮影しなくても良いというガイドラインを2017年4月7日に発表しました･･･。
 
以下、引用。
「【典型的ならば画像はなくてもよい】
要約すると、画像検査をすれば何らかの関節の変化が見つかる人は多く、特に高齢の人で多いが、必ずしも症状とは一致しないため、症状があるときの画像検査の使いかたについてのみ推奨を決めたということです。
 
7か条の推奨は以下のとおりです。
 
推奨1：変形性関節症が典型的に現れている患者を診断するために画像検査は必須でない。
 
症状などが典型的で変形性関節症の疑いが強ければ、画像検査なしで診断してもよいとしています。」
以上、引用終わり。
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2017年4月7日「欧州リウマチ連合学会による、局所関節の変形性関節症の臨床マネージメントにおける画像診断の使用の推奨」
EULAR recommendations for the use of imaging in the clinical management of peripheral joint osteoarthritis.
Ann Rheum Dis. 2017 Apr 7. pii: annrheumdis-2016-210815.
http://ard.bmj.com/content/early/2017/04/07/annrheumdis-2016-210815.long
↑
2016年には、アメリカ医師会の『JAMAインターナルメディスン』で、「腰痛の初診で画像を撮影するのは合理的ではない」という論文も発表されています。
しかし、これらの情報は、日本語圏に届くことはあまり考えられないです。
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2016年『アメリカ医師会雑誌JAMAインターナル・メディスン』
「腰痛への不適切なイメージング画像診断を避けることへの臨床家の心理的バリアーの認識：知ることは十分ではない」
Clinicians’ Perceptions of Barriers to Avoiding Inappropriate Imaging for Low Back Pain—Knowing Is Not Enough
Erika D. Sears, et al.
JAMA Intern Med. 2016;176(12):1866-1868. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6364
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　しかし、腰痛も変形性関節症も、日本の臨床の現実と、欧米のEBMに基づくガイドラインの乖離（かいり）は、恐ろしいことになってきました。

変形性膝関節症のEBM最前線：人工膝関節全置換術

2018-05-02 | 膝痛

『BMJ誌から：米国の人工膝関節全置換術は適応を見直すべき』アウトカムの改善がわずかな患者まで手術対象を広げすぎ
2017/4/26『日経メディカル』

以下、引用。
「米国の成人の変形性膝関節症の有病率は約12％で、45～64歳への人工膝関節全置換術（TKR）の年間実施率は2000年以降、約2倍に急上昇している。米Mount Sinai医科大学のBart S Ferket氏らは、現在行われている手術の利益とコストについて検討し、全体としては患者のQOLと質調整生存年（QALYs）に与える影響はわずかであること、手術対象患者をより症状が深刻な人々に絞れば有効性も経済性も改善すると報告した。結果はBMJ誌電子版に2017年3月28日に掲載された。」
以上、引用終わり。

2017年3月28日出版『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル（BMJ）』
「膝関節全置換手術のインパクト：変形性膝関節症のコスト・エフェクティブネス分析」
Impact of total knee replacement practice: cost effectiveness analysis of data from the Osteoarthritis Initiative
BMJ 2017; 356 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j1131 (Published 28 March 2017)
BMJ 2017;356:j1131


変形性膝関節症のEBM最前線：ステロイド注射

2018-05-02 | 膝痛

2017年5月16日『メディカル・ニュース・トゥデイ』
「変形性ひざ関節症：ステロイド注射は、全く利益が無いと、研究は示唆している」
Knee osteoarthritis: Steroid injections offer no benefit, study suggests

以下、引用。
「変形性ひざ関節症の症状を持っている患者さんへのステロイド注射は、全く効果が無いと『アメリカ医師会雑誌』の新研究は結論した。」
Patients with symptomatic knee osteoarthritis do not benefit from steroid injections, concludes a new study published in JAMA.

「ボストンのタフト大学メディカルセンターのティモシー・マックアラインドンと同僚たちは、三ヶ月間ステロイド注射したところ、変形性ひざ関節症（OA）患者のひざの痛みをプラセボ以上には全く改善しないことを発見した」
Study co-author Timothy E. McAlindon, of Tufts Medical Center in Boston, MA, and colleagues found that steroid injections administered every 3 months were no better than a placebo for alleviating knee pain in patients with knee osteoarthritis (OA).

「事実、研究者たちは、ステロイド注射は、2年間以上すると、膝の軟骨の大幅な減少を引き起こすことも発見している」
In fact, the researchers found that steroid injections actually led to a greater loss in the volume of bone cartilage over 2 years.


「（ステロイド注射は膝痛を減らすと言われてきたけど）新研究は、ステロイド注射を変形性ひざ関節症患者につかべきでは無いし、ステロイド注射はその状態を悪化させることを示唆している」
The new research, however, suggests that corticosteroid injections are of no use to patients with knee OA, and that they may even make the condition worse.
以上、引用終わり。
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いくらエビデンスを示して講義しても信じてもらえないため、もう、何年も前に『騙される側』を説得するのは止めて、「騙される側と騙す側との『共依存関係』」を精神病理学的視点から観察・研究するスタイルにチェンジしてからはストレスがだいぶ減りました（笑）。

自分の倫理的罪悪感を減らすために公正な情報は公共に提供しますが、選択は情報の受け手に完全に委ねた方が精神衛生に良いです。
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2017年5月16日『アメリカ医師会雑誌（JAMA）』
Effect of Intra-articular Triamcinolone vs Saline on Knee Cartilage Volume and Pain in Patients With Knee Osteoarthritis
A Randomized Clinical Trial
Timothy E. McAlindon, DM, MPH
JAMA. 2017;317(19):1967-1975. doi:10.1001/jama.2017.5283
http://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2626573


変形性膝関節症のEBM最前線：関節鏡手術

2018-05-02 | 膝痛

2017年5月12日『メドスケープ』
「退行性の膝の病気に関節鏡手術は止めるべきだと報告は述べている」
Skip Arthroscopy for Degenerative Knee Disease, Report Says

以下、引用。
「膝の退行性の病気（この場合は変形性膝関節症や半月板損傷の）膝の関節鏡手術は、費用対効果が無いし、患者たちを落胆させていると、5月10日に『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル（BMJ）』に掲載されたメタ・アナリシスに基づく臨床ガイドラインは述べている」
Knee arthroscopy is not cost-effective and is strongly discouraged for patients with degenerative knee disease, say authors of a meta-analysis-based practice guideline published May 10 in the BMJ.

↓

2017年5月10日『英国医師会雑誌』「膝の退行性病変と半月板損傷への関節鏡手術：臨床ガイドライン」

Arthroscopic surgery for degenerative knee arthritis and meniscal tears: a clinical practice guideline

BMJ 2017; 357 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j1982 (Published 10 May 2017)

Cite this as: BMJ 2017;357:j1982

http://www.bmj.com/content/357/bmj.j1982

 以下、引用。

「この報告書は、もっとも最新の2016年に『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に掲載された、半月板損傷のような退行性の膝の病気に関節鏡手術をすることは理学療法を上回る効果が全く存在しないとするランダム化比較試験の結果に基づいている」
The report was prompted most recently by a randomized controlled trial published in the BMJ in June 2016, which concluded that, among patients with a degenerative medial meniscus tear, knee arthroscopy was not more beneficial than physical therapy.

 

「『本当に、（膝の）外科手術は、リスクがあるだけで、長期的効果はほとんど無いんだよ！外科手術をすることを支持するエビデンスを発見することはできなかったんだ！』と（カナダ・マクマスター大学のDr Siemieniukは）言っている」
"Really, there's almost no long-term benefit at all and there are risks with [the surgery]. We weren't able to find any evidence to support its use," he said.

以上、引用終わり。