alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

1950年『日本東洋醫學會誌』

2015-02-23 | 日本の鍼灸

石野信安「異常胎位に対する三陰交施灸の影響」『日本東洋醫學會誌』Vol. 1 (1950) No. 1-6 P 7

長浜善夫『新経絡について「経絡の研究」補遺』『日本東洋醫學會誌』Vol. 1 (1950) No. 1-6 P 7a-11
※長浜善夫、丸山昌郎『経絡の研究ー東洋医学の基本的課題』杏林書院1950 


1950年『自律神経雑誌』

2015-02-23 | 日本の鍼灸

石川 日出鶴丸「鍼灸術に就いて (一)」
京都醫科大學『自律神経雑誌』Vol. 1 (1948-1951) No. 1 P 4-5
従来の鍼灸術は一掃されなければならない

昭和22年(1947年)9月23日に鍼灸禁止令。ワイズマン軍医大尉より三重医専の学長、石川日出鶴丸に質問書。石川日出鶴丸が解答し、『鍼灸ニ就て』を10月24日に厚生省に提出。11月8日に脳卒中で亡くなる。12月22日にあん摩マッサージ鍼灸指圧師法。

※1) 内臓体壁反射について 石川教授父子の功績
多留 淳文『日本東洋医学雑誌』
Vol. 51 (2000-2001) No. 4 P 533-562


李東垣『脾胃論』

2015-02-20 | 中国医学の歴史

李東垣(1180-1251)、『脾胃論』

「大腸小腸は皆胃に属し、胃虚すればすなわちともに病むの論」
「『霊枢』が言うには、手陽明大腸経と手太陽小腸経は、みな足陽明胃経に属する。小腸の穴は巨虚下廉(下巨虚)であり、大腸の穴は巨虚上廉(上巨虚)であり、この2穴は、みな足陽明胃経の足三里の下にある。
大腸は津をつかさどり、小腸は液を主る(注:霊枢経脈篇)。大腸・小腸は胃の営気を受け、よく津液を上焦にめぐらせ、皮毛を灌漑し、ソウリを充実する。もし飲食不節で、胃気がおよばないなら、大腸・小腸は栄養を受けることができないで、津液はかれてしまう。『黄帝内経』がいうには、耳鳴・耳聾・九竅不利は胃腸の生じるところである。これは胃弱で手太陽小腸と手陽明大腸を滋養しないためである。それでこのような症状が起こる。それでまた、胃弱によってこれを得るのであり、古代の聖人が胃腸の生じるところといっているのである」 
大肠小肠五脏皆属于胃胃虚则俱病论
《黄帝针经》云∶手阳明大肠,手太阳小肠,皆属足阳明胃。小肠之穴,在巨虚下廉,大肠之穴,在巨虚上廉,此二穴,皆在足阳明胃三里穴下也。大肠主津,小肠主液。大肠、小肠受胃之荣气,乃能行津液于上焦,溉灌皮毛,充实腠理。若饮食不节,胃气不及,大肠、小肠无所禀受,故津液涸竭焉。《内经》云∶耳鸣、耳聋,九窍不利,肠胃之所生也。此胃弱不以滋养手太阳小肠、手阳明大肠。故有此证。然亦止从胃弱而得之,故圣人混言肠胃之所生也。


張従正『儒門事親』

2015-02-20 | 中国医学の歴史

金代、張従正(1156-1228)、『儒門事親』

『儒門事親』巻十
风木郁之病
「それゆえ、民は胃かん部が痛み、四肢・両脇、ノドが不通となり、飲食が下らず、はなはだしければ耳鳴り・メマイとなり、目はヒトをしらず、突然倒れて、筋骨は強張って使えず、卒倒して知るところなし」
风木郁之病
故民病胃脘当心而痛,四肢、两胁、咽膈不通,饮食不下,甚则耳鸣眩转,目不识人,善僵仆,筋骨强直而不用,卒倒而无所知也。

風木肝酸達鍼
「肝臓は胆と表裏し、東方の木であり、色では青であり、外は目と応じ、血を治するを主る。芍薬の味は酸味微寒性であり、沢潟は鹹平であり、烏梅は酸味熱性である。
諸風掉眩はみな、肝に属す。木は動を主る。治法に曰く、達とは吐である。
大敦(LR1)を刺すべきで、灸もまた同じである」
风木肝酸达针
与胆为表里,东方木也,色青,外应目,主治血。芍药味酸微寒,泽泻咸平,乌梅酸热。
诸风掉眩,皆属于肝。木主动。治法曰∶达者,吐也。其高者,因而越之。可刺大敦,灸亦同。

暑火心苦発汗
「心は小腸と表裏し、南方は赤色であり、外は舌に応じ、血を初経に運行するを主る。大黄は苦味寒性、木香は苦味温性、黄連は苦味涼性、没薬は苦味熱性である。
もろもろの痛みや痒みや瘡瘍は、皆心火に属している。治法曰く、熱はこれを発汗させて、疏散させる。
少衝(HT9)を刺すべきで、灸もまた同じである。」
暑火心苦发汗
与小肠为表里,南方火色,外应舌,主血运诸经。大黄苦寒,木香苦温,黄连苦凉,没药苦热。
诸痛痒疮疡,皆属于心火。治法曰∶热者汗之,令其疏散也。可刺少冲,灸之亦同。

湿土脾甘奪鍼
「脾は胃と表裏し、中央の土である。黄色で唇に応じ、肌肉を主り、四時に応じる。蜜は甘味涼性で、甘草は甘味平性である。
もろもろの湿や腫満は皆、脾土に属する。治法曰く、奪とは瀉である。陰陽を分けて、水道を利する。
隠白(SP1)を刺すべきで、灸もまた同じである」
湿土脾甘夺针
胃为表里,中央土也,色黄应唇,主肌肉,应四时。蜜甘凉,甘草甘平。
诸湿肿满,皆属于脾土。治法曰∶夺者,泻也。分阴阳,利水道。可刺隐白,灸亦同。

燥金肺辛清鍼
「大腸と表裏し、西方の金であり、色は白で、外は皮毛に応じて、鼻はまた気をめぐらせる。乾姜は辛味熱性、生姜は辛味温性、薄荷は辛味涼性である。
もろもろの気の噴欝は肺金に属する。治法曰く、清とは清隔であり、利小便・解表する。
少商(LU11)を刺すべきであり、灸もまた同じである。」 
燥金肺辛清针
与大肠为表里,西方金也,色白,外应皮毛、鼻,亦行气。干姜辛热,生姜辛温,薄荷辛凉。诸气 郁,皆属于肺金。治法曰∶清者,清膈、利小便、解表。可刺少商,灸亦同。

寒水腎鹹折鍼
「膀胱と表裏し、北方の水であり、色は黒で、外は耳に応じ、骨髄を主る。牡蛎は鹹味寒性であり、水蛭は鹹味寒性である。もろもろの寒、収引は腎水に属する。治法曰く、折とはこれを抑えるを言う。その衝逆を制する。
湧泉(KI1)を刺すべきであり、灸もまた同じである」
 寒水肾咸折针

与膀胱为表里,北方水也,色,外应耳,主骨髓。牡蛎咸寒,水蛭咸寒。诸寒收引,皆属于肾水。治法曰∶折之,谓抑之,制其冲逆。可刺涌泉,灸亦同。

大寒子上初之気
「初之気の病では、咳嗽、風痰、風厥、涎、痹で塞がり、口、半身不遂、失音、風癲、風中、婦人の胸中に留飲、臍腹が微かに痛み、嘔逆悪心し、動悸して、狂し、蓄尿、ふるえなどが多発する。初之気の病は、瓜蒂散で吐くのが宜しい。これを泄らして下す」
大寒子上初之气

初之气为病,多发咳嗽、风痰、风厥、涎潮痹塞、口 、半身不遂、失音、风癫、风中、妇人胸中留饮、两脐腹微痛、呕逆恶心、旋运惊悸、狂、心风、搐搦、颤掉。初之气病,宜以瓜蒂散吐之,在下泄之。

春分卯上二之気
「二之気の病では、風温、風熱が多発する。黄帝内経曰く、風が陽を傷つけ、湿が陰を傷つける。微かに頭痛し、身熱するのは風温の症状である。風は衛気を傷つけ、湿は脾気を傷つける。これは風温の病では、陰陽がともに浮き、汗が出て、身体が重く、多く眠り、鼻息し、コトバがうまく出ない。これは下してはいけない。もし巴豆や大毒の丸薬を与えると、熱証はさらに生まれて、重症で死ぬ。二之気の病では、桂枝湯や麻黄湯で発汗するがの宜しい」
春分上脾二之气
二之气为病,多发风温、风热。经曰∶风伤于阳,湿伤于阴。微头痛身热,发作风温之候。风伤于卫气也,湿伤于脾气也。是以风温为病,阴阳俱自浮,汗出,身重,多眠,鼻息,语言难出。此以上二证,不宜下。若与巴豆大毒丸药,热证并生,重者必死。二之气病,宜以桂枝麻黄汤,发汗而已。

小満巳上三之気
「三之気の病の多くは発熱する。皆が足の経絡を伝わるのが多い。
太陽経・陽明経・少陽経・太陰経・少陰経・厥陰経である。
太陽経は発熱悪寒して、頭項痛となり、腰脊が強張る。
陽明経は身熱して、目が疼き、鼻が乾燥して寝れない。
少陽経は胸脇痛となり、耳聾し、口が苦く、寒熱往来で嘔吐する。
三経は皆、熱に属する。
太陰経は腹満して、咽が乾燥し、手足は暖かく、下痢するが口渇はない、あるいは腹満して時に痛む。
少陰経は口が乾燥して舌が乾燥して口渇する。
厥陰経は腹満して陰嚢が収縮し、喘して悶絶し、四肢厥冷し、爪甲は青くなる。
三之気の病は、清涼をもって、上を温めて下を養い、巴豆丸で下すのは宜しくない」
小满巳上三之气

三之气为病,多发热,皆传足经者多矣。太阳、阳明、少阳、太阴、少阴、厥阴。太阳者,发热恶寒、头项痛、腰脊强;阳明者,身热、目疼、鼻干、不得卧;少阳者,胸胁痛、耳聋、口苦、寒热往来而呕。此三阳属热。太阴者,腹满、咽干、手足自温、自利不渴,或腹满时痛;少阴者,故口燥舌干而渴;厥阴者,腹满囊缩、喘热闷乱、四肢厥冷、爪甲青色。三之气病,宜以清凉,上温下养,不宜用巴豆丸下之。

大暑未上四之気
大暑未上四之气
四之气为病,多发暑气、头痛、身热、发渴。不宜作热病治,宜以白虎汤。得此病不传染,次发脾泄、胃泄、大肠泄、小肠泄、大瘕泄、霍乱吐泻、下痢及赤白相杂、水谷不分消、肠鸣切痛、面浮足肿、目黄口干、胀满气痞、手足无力。小儿亦如此。四之气病,宜渗泄,五苓散之类也。

秋分酉上五之気
秋分酉上五之气
五之气为病,多发喘息、呕逆、咳嗽及妇人寒热往来、、小儿斑瘾疮 。五之气病,宜以大、小柴胡汤,宜解治表里之类

小雪亥上終之気
小雪亥上终之气
终之气为病,多发风痰、风寒湿痹四肢。秋收多,冬水复旺,水湿相搏,肺气又衰。冬寒甚,故发则收,则痿厥弱,无以运用,水液澄清冷,大寒之疾。积滞、瘕块、寒疝、血瘕,凡气之疾。终之气病,宜破积发汗之类。


劉完素『素問病機気宜保命集』

2015-02-20 | 中国医学の歴史

金代、劉完素(1120-1200)の『素問病機気宜保命集』(1186年)

中風論第10。
「およそ中風では、六経を加減しなければ、治療をしても邪を去ることができない」

「中風で無汗で悪寒すれば、麻黄続命湯が主る(中略)。
太陽経至陰(BL67)を鍼して出血させるが宜しい」

「中風で有汗で悪風すれば、桂枝続命湯が主る(中略)。
風府(GV16)に鍼するが宜しい。以上の2証は太陽経中風である。」

「中風で無汗で、身熱して悪寒しなければ白虎続命湯が主る(中略)。
陥谷(ST43)に鍼して、兌(ST45)を刺すのが宜しい。陥谷(ST43)に鍼すれば、陽明経の賊邪を去り、兌(ST45)に鍼すれば、陽明経の実を瀉す」

「中風で無汗で、身涼しければ附子続命湯が主る(中略)。
隠白(SP1)を刺し、太陰経の賊邪を去る。」

「中風で有汗で、無熱なら、桂枝続命湯が主る(中略)。
太溪(KI3)に鍼するが宜しい。これは少陰経中風である。」

「中風の六証が混淆して少陽経・厥陰経の系につらなり、肢節がけいれんして痛み、またはシビレる場合、羌活連翹続命湯がこれを主る(中略)。
厥陰経の井穴は大敦(LR1)であり、刺すことでその経絡を通じ、少陽経絶骨(懸鍾:GB39)で、灸をもって熱を引く」


これは、『傷寒論』の六経弁証を湯液と鍼灸で同治している。
太陽経:至陰(BL67)、風府(GV16)
陽明経:兌(ST45)、陥谷(ST43)
太陰経:隠白(SP1)
少陰経:太溪(KI3)
厥陰経:大敦(LR1)

 経絡を井穴で通す配穴が多用されている。 

素問病機気宜保命集』薬略第三十二、「鍼之最要」
両脇痛:鍼少陽経、丘墟(GB40)。
心痛:鍼少陰経、太溪(KI3)、湧泉(KI1)、足厥陰経原穴(=太衝
催嘔無度、鍼厥陰大陵(PC7)穴。 
頭痛不可忍:鍼足厥陰、太陽経原穴(太衝、京骨)
(中略)
大煩熱、昼夜不息、刺十指間出血、謂之八関大刺


諸病源候論

2015-02-18 | 中国医学の歴史

隋代、巣元方(6-7世紀)、『諸病源候論』の肝の理論。

「肝象木,旺于春;其脉弦,其神魂,其华在爪,其充在筋,其声呼,其臭臊,其味酸,其液泣,其色青,其藏血;足厥阴其经也。与胆合,胆为腑而主表,肝为脏而主里。」

肝气盛,为血有余,则病目赤,两胁下痛引小腹,善怒」
肝実証なら、目赤く、両脇下から少腹に引いて痛み、善く怒る。

气逆则头眩,耳聋不聪,颊肿,是肝气之实也,则宜泻之。」
肝気逆証なら、めまい、難聴、頬が腫れて、これは肝気の実証なので、瀉法するのがよろしい。

肝气不足,则病目不明,两胁拘急,筋挛,不得太息,爪甲枯,面青,善悲恐,如人将捕之,是肝气之虚也,则宜补之。」
肝気が不足すれば、目がみえなくなり、両脇がけいれんし、筋肉けいれんをおこし、よく溜め息をつき、爪は枯れて、面色は青く、よく悲しみ恐れて、ヒトに捕らえられるかのようである。これは肝気虚であり、補うのが宜しい。 

 これらは現在の臓腑弁証の肝臓の理論と似ているが、かなり違う。 

肝部,左手关上是也。平肝脉来,绰绰如按琴瑟之弦,如揭长竿末梢,曰肝平。春以胃气为本。春,肝木王,其脉弦细而长,是平脉也。反得微涩而短者,是肺之乘肝,金之克木,大逆,十死不治;反得浮大而洪者,是心乘肝,子之扶母,虽病当愈;反得沉濡滑者,是肾乘肝,母之归子,虽病当愈;反得大而缓者,是脾之乘肝,为土之陵木,土之畏木,虽病不死。病肝脉来,盛实而滑,如循长竿,曰肝病;死肝脉来,急益劲,如新张弓弦,曰肝死;真肝脉至,中外急,如循刀刃赜赜然,如新张弓弦。色青白不泽,毛折乃死。

《养生方》云∶春三月,此谓发陈,天地俱生,万物以荣。夜卧早起,阔步于庭。被发缓形,以使春志生。生而勿杀,与而勿夺,赏而勿罚,此春气之应也;养生之道也。逆之则伤于肝,夏变为寒,则奉长生者少。

《养生方·导引法》云∶肝脏病者,愁忧不乐,悲思嗔怒,头旋眼痛,呵气出而愈。

六字訣 

胆腑の記述は以下になる。
「胆象木,旺于春。足少阳其经也,肝之腑也,决断出焉。诸腑脏皆取决断于胆。」

「其气盛为有余,则病腹内冒冒不安,身躯躯习习,是为胆气之实也,则宜泻之。」

胆気盛んなら、腹中がボウボウと不安であり、身体は~~、胆気実なり。瀉するが宜しい。

「胆气不足,其气上溢而口苦,善太息,呕宿汁,心下澹澹,如人将捕之,嗌中介介,数唾,是为胆气之虚也,则宜补之。」

胆気不足なら、胆気は上にあふれて口苦く、よく溜め息をつき、宿汁を嘔し、心下はたんたんとして、ヒトに捕らえられるかのようであり、よく唾を吐いて、のどの中に違和感がある。これは胆気虚であり、補うが宜しい。 

これも、現在の臓腑弁証とまったく違う。 


備急千金要方

2015-02-17 | 中国医学の歴史

唐代、孫思邈(581?-682)、『備急千金要方』のなかの臓腑病と針灸。

「左手関上の陰脈が実のものは肝実である。筋肉痛に苦しみ、よく筋痙攣して、吐く、足厥陰肝経を刺して、陰を治療する。」
左手关上阴实者,肝实也。苦肉中痛,动善转筋,吐,刺足厥阴治阴

「肝病は青色であり、手足がケイレンして、胸下苦満となり、時にはめまいを起こして、脈は弦脈・長脈であるなら、防風竹瀝湯、秦ぎょう散が宜しい。春は太敦、夏は行間、冬は曲泉を刺してみな補法する。土用は太衝、秋は中封を刺し、皆瀉法する。また、当に期門と背中の第9胸椎の筋縮に百壮すべし」
肝病其色青,手足拘急,胁下苦满,或时眩冒,其脉弦长,此为可治,宜服防风竹沥汤、秦艽散。春当刺大敦,夏刺行间,冬刺曲泉,皆补之;季夏刺太冲,秋刺中 ,皆泻之。又当灸期门百壮,背第九椎五十壮。

「邪気が肝にあり、両脇中が痛み、寒に中り、悪血が内にある、よく関節痛となるなら、行間を脇に引き、足三里で胃中を温め、血脈を取って悪血を散じる。耳間の静脈を刺絡して悪血を去る」
邪在肝,则两胁中痛,寒中,恶血在内, 善 ,节时肿,取之行间以引胁下,补三里以温胃中,取血脉以散恶血,取耳间青脉以去其 。
『備急千金要方』 肝脏脉论第一

『千金翼方』の胆病の記述もユニークです。

「左手関上の陽脈が絶えたものは無胆脈である。口中は無味に苦しみ、鬼を見るが如きに恐れ、恐れて無力なのは、足厥陰経を刺す、あるいは足の三毛中を刺す」
左手关上阳绝者,无胆脉也。苦口中无味(一云苦眯目),恐畏如见鬼,多惊少力,刺足厥阴治,阴在足大指间,或刺三毛中。

「左手関上の陽脈が実のものは胆実である。腹中は不安に苦しみ・・・足少陽経を刺す。足第2指本節の後1寸(地五会?)」
左手关上阳实者,胆实也。苦腹中不安,身躯习习,刺足少阳治。阳在足第二指本节后一寸。

「胆虚では、足の内踝の上、一扶(四横指)の三陰交に灸を20壮する」
胆虚,灸足内踝上一夫,名三阴交,二十壮。


鍼灸甲乙経

2015-02-16 | 中国医学の歴史

晋代(265-316)、皇甫謐(こうほひつ:215-282)著。
意義:黄帝内経の経穴は、160穴であったが、349穴の位置、交会穴を明らかにした。

学生時代に、『鍼灸甲乙経』を読んだ際に、以下の部分を読んで、「鍼の配穴はまず局所が基本(笑)」との思いを新たにしました。

『鍼灸甲乙経』手太阴阳明太阳少阳脉动发肩背痛肩前皆痛肩似拔第五

「肩が痛み、挙がらないものは、天容(SI17)および秉風(SI12)がこれを主る」
肩痛不可举,天容及秉风主之。

「肩背が痛み、上腕が挙がらず、悪寒発熱するものは肩井(GB21)がこれを主る」
肩背髀痛,臂不举,寒热凄索,肩井主之。

「肩が腫れてふりかえることができないものは、気舎(ST11)がこれを主る」
肩肿不得顾。气舍主之。

「肩背が挙がらず、オ血が肩中にあり、動かすことができないものは巨骨(LI16)がこれを主る」
肩背髀不举,血瘀肩中,不能动摇,巨骨主之。

「肩の中に熱があり、指と上腕が痛むものは肩ぐう(LI15)がこれを主る」
肩中热,指臂痛,肩ぐう主之。

「肩が重くて挙がらず、上腕が痛むものは肩りょう(TE14)がこれを主る」
肩重不举,臂痛,肩 主之。

「肩が重くて、肘と上腕が痛み、挙がらないものは天宗(SI11)がこれを主る」
肩重肘臂痛,不可举,天宗主之。

「肩甲の中が痛み、ひえて、肘に至るものは肩外兪(SI14)がこれを主る」
肩胛中痛而寒至肘,肩外俞主之。

「肩甲の周りが痺証なら曲垣(SI13)がこれを主る」
肩胛周痹,曲垣主之。

「肩が痛み挙がらず、欠盆に引いて痛むのは雲門(LU2)がこれを主る」
肩痛不可举,引缺盆痛,云门主之。

肩の痛みに、肩外兪(SI14)、肩井(GB21)、肩ぐう(LI15) 、肩りょう(TE14)、曲垣(SI13)、秉風(SI12)、巨骨(LI16)、天宗(SI11)、雲門(LU2)を使うのは基本中の基本なので、逆に感動しました。

『鍼灸甲乙経』の「六经受病发伤寒热病第一」は、『傷寒論』の内容と鍼灸を結合させた最初の試みですし、「经络受病入肠胃五脏积发伏梁息贲肥气痞气奔豚第二」は『難経』などの積聚の理論と鍼灸を結合させています。巻の九、「大寒内薄骨髓阳逆发头痛第一」は、頭痛の際に、ツボではなく、「足少陽経を取る(取足少陽)」と経絡による治療を指示しています。これは、経絡弁証です。

 「邪在肺五脏六腑受病发咳逆上气第三」は『素問・咳論』の内容を踏まえつつ、臓腑弁証の肺にあたります。神蔵(KI25)、中(KI26)、兪府(KI27)など腎経のツボ、魄戸(BL42)や譩譆(BL45)など膀胱経のツボなどを使っています。
「咳証」のツボは以下になります。
任脈:だん中(CV17)、華蓋(CV20)、廉泉(CV23)。
肺経:雲門(LU2)、天府(LU3)、侠白(LU4)、尺沢(LU5)、太淵(LU9)
大腸経:扶突(LI18)
胃経:水突(ST10)、気舎(ST11)、庫房(ST14)
脾経:天溪(SP18)、周栄(SP20)
心経:陰げき(HT6)
小腸経:天容(SI17)、前谷(SI2)
腎経:兪府(KI27)、中(KI26)、兪府(KI27)、大鐘(KI4)
心包経:
三焦経:支溝(TE6)
胆経:維道(GB28)
肝経:行間(LR2)

 これは、臨床家ならある程度、納得できる配穴だと思います。胸部や上腕・前腕の反応点が中心で、足は大鐘(KI4)や行間(LR2)です。もともと「五臓六腑はみな咳を起こす」というのが『素問・咳論』の理論だからです。

「肝受病及卫气留积发胸胁满痛第四」 は肝鬱気滞による積聚で胸満・脇肋痛となった場合の治療法で、臓腑弁証の肝に相当します。

 「邪在心胆及诸脏腑发悲恐太息口苦不乐及惊第五」は心胆気虚などの臓腑弁証の心に相当する精神病です。

 「脾受病发四肢不用第六」は臓腑弁証の脾に相当しますが、太白(SP3)しか記述がありません。「脾胃大肠受病发腹胀满肠中鸣短气第七」で、足三里(ST36)、上巨虚(ST37)、脾兪(BL20)、胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、胃倉(BL50)、巨闕(CV14)、中かん(CV12)などの記述があります。

 「肾小肠受病发腹胀腰痛引背少腹控睾第八」では、小腸気痛や腰痛の記述が中心であり、臓腑弁証の腎に相当します。『素問・刺腰痛論篇』の内容を踏まえて記述されています。

 「三焦膀胱受病发少腹肿不得小便第九」や「三焦约内闭发不得大小便第十」は膀胱・三焦の腑病の臓腑弁証に相当します。

 しかし、これらは、現代中医学の臓腑弁証とは、似ても似つかないもので、『素問』『霊枢』の咳証や腰痛の理論を知らないと理解できません。