alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

教育

2018-09-07 | メモ

 『医道の日本』2018年9月号の「あはき臨床 わたしの学び方 伝え方」はとても良い内容で、自分のSNSでも紹介し、さらに学生にも、ぜったいに読んだほうが良いと薦めています。

 しかし、同時に思うことがあります。これほどまでに教えることに情熱をもち、教える方法論も素晴らしい先生方がいるのに、自分がみている「鍼灸業界の惨状」はギャップがあり過ぎるのではないか? 
 みんな、本当に「やっていることと言っていることは一致しているのか?」

 しばらく、考え、分析してみたのですが、わたしが感心した「あはき臨床 わたしの学び方 伝え方」の先生方は、いずれも徒弟制度の中で、「人間が人間に学ぶ」という伝統的な教育を受けたことが共通点でした。学校の教育ではけっしてなかったのです。分析してみれば、わたしがみている「惨状」というのは、近代教育の結果なのです。鍼灸の世界のよいところは、まだ、「人間が人間に学ぶ」という形式が活きていることです。

 「学び方を学ぶ」、「考え方を学ぶ」というのが一番の早道なのです。衝撃を受けて、自分を変えようと決心しないかぎり、変わらないと思います。

 昔の人たちは人生50年だとしたら、40歳の名人の大工に弟子入りしても、10年しか学べない。その名人が結核になったり、徴兵されたり、戦争にまきこまれたら、その技術は伝承されるのだろうか?昔のほうが、動乱の時代で、30歳で結核で死んだり、戦争で死んだりするのは普通だった。技術をそのまま伝承というのは、ありえるのか?

 実は、技術というのは、時代にあわせていかないと、時代遅れの技術になります。ゼロの状態から自分で考えて工夫して、技術を創れるヒトを造る、以外に伝承はないと自分は思っています。


肩こり

2018-09-03 | 肩こり
「肩こりと痃癖の分析」の講義で、講義中に手を挙げていただくと、
鍼灸学校で、
「狭心症や心筋梗塞で肩こりが出ること」、
「胆石症で肩こりが出ること」、
「胃潰瘍で肩こりが出ること」、
をほとんど教えていない。
 
「肩こり」の鍼灸不適応疾患の鑑別を教えていない

「関連痛(Referred pain)」や「内臓体壁反射」の基礎の部分、「ヘッド帯(Head Zones)」の基礎を教えていない。西洋医学の基礎の部分を教えていない。
「小野寺殿部圧診点」を知っている人が満員の研修室で5人程度でした。藤田六郎先生の丘疹点も、もちろん習っていないです・・・。
 
西洋医学的にも、木下晴都先生をはじめとする科学派の刺法を学んでいない。
ジャネット・トラベルのMPS(筋筋膜性疼痛症候群)の概念も学んでいない。
筋肉の触診法や刺鍼法、危険な刺鍼深度も学んでいない。
 
東洋医学的にも、
肩こりの日本伝統医学(漢方)の見方や処方や歴史を知らない。
江戸時代の本郷正豊著『鍼灸重宝記』を知らない。
肩こりの中医学弁証論治を学んでいない。 
遠隔治療の基礎の部分を学んでいない。
 
これは聴講された方の責任ではなく、教える側の責任だと思います。
普通に考えて、教える側は、言い訳ができない状態だと思いました・・・。
これは「肩こり」の話ですよ。
しかも、講義した研修室は満員御礼の状態でしたが、参加した学生は合計で5人程度でした・・・。本当に限界を感じました。