2017年2月13日『ABCニュース』
「新しいガイドラインによれば、エクササイズ・ヨガ・鍼は、鎮痛剤より腰痛に効く」
New guidelines say exercise, yoga, acupuncture beat painkillers for back pain
アメリカで2番目に大きい医学会である「アメリカ内科医師会(ACP:American College of Physicians)」が出版した腰痛ガイドラインについてです。「アメリカ内科医師会(ACP)」は、世界五大医学雑誌である『アナルス・オブ・インターナル・メディスン(Annals of Internal Medicine)』を発行しています。アメリカで一番大きな医学会は、『JAMA(アメリカ医師会雑誌)』を発行している「アメリカ医師会(AMA:American Medical Association)」です。
以下、引用。
「アメリカ内科医師会は、腰痛治療の最新版のガイドラインをアップデートしたが、それは、驚くべき点がいくつもある」
The American College of Physicians has updated their current guidelines on treating low back pain – and there are some surprises.
「『アナルス・オブ・インターナル・メディスン』において、アメリカ内科医師会は、薬に基づく治療を第1選択枝にしていない!!! そして、代わりに、非=薬物療法として、エクササイズ、リハビリ、鍼、マインドフルネス瞑想、太極拳、ヨガ、バイオフィードバック、脊椎マニピュレーション(カイロプラクティック手技)、認知行動療法を勧めているのだ」
Published in Annals of Internal Medicine, the ACP’s primary recommendation is to avoid using any drug-based treatment as a first option, and instead opt for non-drug approaches: exercise, rehab, acupuncture, mindfulness meditation, tai chi, yoga, biofeedback, spinal manipulation and cognitive behavioral therapy.
「これらのガイドラインの著者たちは、システマティックレビューから、これらの結論を導き出した。システマティックレビューでは、薬局でのOTC薬や処方薬(アセトアミノフェン、タイレノール、NSAID、アドビル=イブプロフェン、アリーブ=ナプロキセン、デュロキセチン、サインバルタ、三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、ステロイド)を注視している」
The authors of these guidelines looked to a systematic review, conducted by the ACP, that looked at those treatments and over-the-counter and prescription painkillers (acetaminophen –Tylenol– NSAIDs — Advil and Aleve– duloxetine –Cymbalta– tricyclic antidepressants, benzodiazepines and steroids).
「著者たちは、短期的・長期的鎮痛、機能、気分の改善として、手術が必要な患者においては、いかにこれらの薬物が助けに成るかを試験している」
The authors examined how well all helped with short-term and long-term pain relief, function, and improvement in mood, as well as whether these patients would eventually need surgery.
「著者たちは、アセトアミノフェンとステロイドは両方が腰痛に効果が無いことを発見した。NSAID(非ステロイド系鎮痛剤)は、慢性腰痛には、プラセボよりも少ない効果しかない。デュロキセチンはプラセボよりは効果があった。『三環系抗うつ薬(TCAs:Tri-Cyclic Antidepressants)』は、プラセボと同じ程度のみ効果があった」
They found acetaminophen and steroids were each ineffective for low back pain, NSAIDs had smaller benefit than a placebo for chronic low back pain, duloxetine was more effective than placebo, and TCAs were only as effective as placebo.
「患者は、非薬物治療で反応が無いものだけが、初期治療としてNSAID(非ステロイド系鎮痛剤)を第1選択枝とすることができるし、弱オピオイドのトラマドールやSNRI抗うつ薬のデュロキセチンが第2選択枝であると、ガイドラインの著者たちは述べている」
The authors also said that patients who don’t have an effective response to non-pharmacological therapy can then be told to use NSAIDs as first line therapy, with tramadol or duloxetine as second-line therapy.
以上、引用終わり。
↑
『腰痛のEBM』の最新知識を、アップデートのために調べて、メモとしてアップしてきました。その結果と、ほとんど一致したガイドラインがアメリカ内科医師会(ACP)『アナルス・オブ・インターナル・メディスン』で2017年に出版されました。腰痛に対しては、エクササイズ、ヨガ、鍼、マインドフルネス瞑想、太極拳、カイロプラクティック、認知行動療法のほうが合理的なのです。
世界のEBMと、『日本のEBM(笑)』の乖離は、恐ろしいことになってきました。2017年版アメリカ内科医師会の腰痛ガイドラインの内容は、日本語圏に届く日があるんでしょうか?(笑)。
アメリカ内科医師会のガイドラインと、日本の『腰痛ガイドライン2012』との乖離は、恐ろしい状態になっています。
原著論文
2017年2月14日『アナルス・オブ・インターナル・メディスン』
「急性、亜急性、慢性の腰痛の非侵襲的治療:アメリカ内科医師会によるクリニカル臨床ガイドライン」
Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians
Amir Qaseem, et al.
Annals of Internal Medicine
CLINICAL GUIDELINES |14 FEBRUARY 2017
http://annals.org/aim/article/2603228/noninvasive-treatments-acute-subacute-chronic-low-back-pain-clinical-practice