ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

「むかしむかし、あるところに…」

2009年02月27日 | 中学受験 行雲流水録
近頃、驚いたことに「昔話」を知らない子供たちがけっこう多いようです。小さい頃から読む本が多彩に用意されている環境のせいでしょう。読書好きでたくさんの物語・小説を読みこなしている子でも、「桃太郎」は知っているが「わらしべ長者」になるとちょっとわからないというのです。

昔話とはもともと「語り継がれる」性質のものですから、語られた経験がないということがいちばんの原因でしょう。私の昔話の思い出といえば、ほとんどすべてが母との思い出です。ちょっと怖いお話を聞いた夜は、必ず夢にでてくるほど、母の語りは味のある(すご味のある?)ものでした。

昔話に書かれていることは「むかしむかし、あるところ」のある人の体験談です。狐やら狸やら、あやしげな動物にだまされたりだまし返したり、ありがたい観音様まで登場するという奇想天外な設定になっています。

ところが、自分にはとうてい関わりのない世界と思うその話から、私たちは何かのヒントや励ましや明るい笑いをもらうことができます。昔話は、生きる知恵や力にあふれているのです。むかしむかしの人と、21世紀の私たちが手を取り合っているような感動すら覚えます。

そんな「昔話」をぜひたくさん知って欲しいと思います。「絵本なんて」と思わずに図書館で昔話に読みふけるのもいいものです。また、もう終了したテレビ番組のDVDで味のある語りにふれるのもいいでしょう。

マンガや絵本などで読むのはチョットと思っていらっしゃる方には、原典にちかいものにふれることをお勧めします。新潮文庫から『日本の昔話(柳田国男)』が出ています。180ページほどのなかに108の昔話が収められています。それぞれの昔話が語り継がれたかたちに近いのですが、口語文で書かれていて読みやすい本なので、ぜひ、昔の人の声を聞くつもりで接していただきたいと思います。


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