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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

醍醐の味

2009年09月01日 | 中学受験 行雲流水録
・野球の醍醐味は、9回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン。
・バスタオルをまいたまま、牛乳をグビッ。これぞ風呂上がりの醍醐味。

醍醐味という言葉を耳にします。辞書を引くと、「その物事を深く経験して得られる良さで、他の何ものにも代えることができないもの(新明解国語辞典)」とあります。「もう、最高!」とさけびたくなるもの。これが醍醐の味なのでしょう。では、その醍醐とはどのようなものでしょう。

醍醐とは、「牛乳やヒツジの乳から作った濃厚な、甘い食品。今のクリーム(同辞典)」とあります。遠い昔からクリームはあったのです。醍醐と聞いて思い浮かぶ名称といえば、理源大師聖宝が醍醐水と名付けた聖水を感得し、貞観16年(874年)に開山した「醍醐寺」と藤原時平の讒言に貶められた管原道真配流時の天皇・「醍醐天皇」。

「醍醐天皇」は、御陵のある醍醐という地名に因んで「醍醐天皇」と追号されました。彼は摂関政治全盛の平安時代に「延喜の治」という天皇親政を行います。それ以後、天皇親政が執行されるのは遠く「建武の新政」の時代を待たねばなりません。そしてその執行者は、「醍醐天皇」を手本とする「後醍醐天皇」。天皇の追号の意味を強く感じる事例ですが、当時の人々にとって、いかに醍醐が高貴で至高の存在だったか分かる好例でもあります。

まんが「美味しんぼ」にはこうあります。『大般涅槃経には「牛乳から酪を作り、酪から蘇を作り、蘇から醍醐を作る」と書いてあり、その醍醐が最高の味だった』と。927年「醍醐天皇」の御代に制定された延喜式には、「牛乳1斗を煮て、蘇を1升作る」と書いてあります。わざわざ格式(律令の施行細則)に記載されているのですから、大変なもの。蘇とは、牛乳が固まった成分のことなので、今のチーズに近いものでしょう。それがさらにおいしくなって、醍醐となるのです。

ちなみに、チーズといえばフランスが有名です。フランスでは、チーズの品質を守るために、材料から作り方まで政府が厳しく管理しています。原料乳の産地や牛乳を温める温度、型に入れるときのやり方までしっかり守らないと「高品質」のマークがもらえません。食品偽装する輩が跳梁跋扈する日本では考えられない食に対するプライドです。

食欲の秋を迎えます。たまにはチーズたっぷりの料理もいいかもしれません。秋の醍醐味は、きのこたっぷり「きのこのパスタ」。冬の醍醐味は、ホクホクかぼちゃの「チーズグラタン」。なんだかヨダレが出てきそう。ジュルッ……おっと!。どうかみなさんも、秋の味覚の醍醐味をご賞味あれ。


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