暗唱という学習は初めてする人が多いので、覚えにくいやり方で学習してしまうことも多いようです。また、保護者自身が子供のころ、暗唱という学習をしたことがないので、子供に説明しにくいということもあります。これは、戦後、日本の文化から暗唱という学習の伝統がいったんなくなってしまったからです。
暗唱の仕方は、朗読の仕方とは少し違います。朗読は、「、」や「。」で区切る読み方をします。これは、意味を理解しながら読む読み方です。逆に言うと、理解したつど記憶から消えていくような読み方をしているということです。文章をその場で噛み砕いて消化する読み方なので、読んだ文章は読んだ先から忘れてしまうのです。
暗唱は、朗読とは違い、抑揚なく早口で「、」や「。」で区切らずに読んだ方が読みやすくなります。つまり、意味を消化するよりも先に、文章をいったん丸ごと覚えるということを優先します。これは、落語の「寿限無(じゅげむ)」を覚えるのと同じような覚え方です。いったん覚えたあとは、いつでも思い出して意味を消化することができるので、まず覚えることを優先するということです。
昔は、五、六歳で四書五経を素読する練習をしました。また、貝原益軒は「百字を百回ずつ」読むことを提案しました。これらもすべて、覚えることを優先すれば、理解はそのあとについてくるという考え方をしていたためです。まさに、「門前の小僧習わぬ経を…」状態です。確かに何が書いてあるかということは最終的には大切なのですが、先に型を会得するとでも言うような意識を持つのがいいのではないでしょうか。今回は、暗唱のコツを少しお話ししてみました。
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