このところ、砂場や遊具を備えた屋内の子ども用施設が増えているらしい。砂場の砂は抗菌してあり、衛生の面でも保護者の方々に人気とのこと。子どもたちの遊びが室内中心となって、外で体を動かし遊ぶ機会がめっきり減っている。
ある屋内施設の砂場の砂は、オーストラリアから直輸入し熱湯で消毒したものを使用してあるらしいし、衛生を保つために、砂場の底に備長炭を埋めていたところもあるらしい。
確かに公園の砂場は、動物などの排泄物が問題になっているし、安全面での不安材料もあるだろう。だが、過剰な抗菌を施すことで、かえって子どもたちの抵抗力が弱まったり、イレギュラーに弱い体質になったりしないだろうかと、外で泥だらけ、キズだらけで遊んで育った世代の私は思ってしまう。
これから先、色々な経験をする子どもたちが、自然とふれあう機会を持ったとき、不潔に感じて外のものに触れない、行動すべきときに動けない、なんてことにはならないだろうか。
外で遊ばなくなった子どもたちは、最近転ぶのが下手になった、という話も聞く。転んだときに、とっさに手をつくのが普通なのに、今の子どもたちは、そのまま顔から倒れて怪我をするらしい。
現代っ子の体力低下が伝えられて久しいが、私たちはそのことを改善すべく取り組むつもりで、さらに人工的な環境に頼り、子どもたちのたくましさを奪っているのではないのか。
「子どもは風の子」の時代は、もはやノスタルジーの世界のことにすぎないようだ。