栄枯盛衰

「東京タワーオカンとボクと時々オトン」でおなじみの東京タワーは東京のシンボルで、観光名所です。展望フロアーもありますが、その主な役目はラジオやテレビの電波を発信する集約電波塔です。

１９５８年に建設されて以来、長い間私たちに様々な情報を届けてくれています。しかし、時代の流れとともに高層ビルがたちならぶようになったせいでしょうか、電波障害等の問題ができてきてそれを解決する必要がでてきました。墨田区の方に新しい電波塔がたつことになり、建設がはじまっています。それが東京スカイツリー。２０１１年、完成予定です。

東京タワーの高さは３３０メートル。パリのエッフェル塔より少し高いのですが、東京スカイツリーは６１０メートルとさらに高くなります。超高層ビルといわれる横浜のランドマークでさえ、約３００メートルですから、その倍の高さを下から見上げるとどんな感じか想像がつきません。

電波塔としての役目を終えると東京タワーの役割は観光名所だけとなります。高さでは、東京スカイツリーに負けてしまいますから、そんな中で名所として生き残るのはたいへんでしょう。かのエッフェル塔も、以前電波塔の役目を終えて解体が決まったことがありました。しかし、軍の無線の送信に使用することが決まりかろうじで解体を逃れ、今では国防上の重要な建物として残っているそうです。

人はより高いもの・より速いもの・よりよいものを常に求め続けます。したがって、それに伴い時代の流れと共に衰退してしまうものが必ずでてきます。まさか、あの東京タワーがこんな憂き目に遭う時代が来るとは、誰が想像したでしょう。どんなものでも必ず時代遅れになる可能性があるということなのかもしれません。

そうなると、東京タワーも今までの栄光にすがっていては生き残れません。東京タワーがこれからどういう方法を講じて生き残っていくのかたいへん興味深いことですが、東京タワーですらそうなのですから、ましてや私など何の取り柄もないのですから、せめて常に何かを吸収して変わろうとする前向きな心を持ちたいものです。