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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

勝ち組と負け組

2008年07月26日 | 中学受験 合格力随想
交通網が整備され、商品の流通経路が確立された結果、私たちは家にいながら全国のものを手に入れることが容易になってきました。便利になったものだとつくづく感じます。消費者にとってはありがたいことだとも思っています。しかし一方、作る側は生き残るために厳しい競争を余儀なくされます。インターネットを通じて全国津々浦々の商品が、同じ土俵で商品価値を競います。質のいいものを作るのはもちろんですが、可能な限り無駄を省き利益を生み出さなければなりません。それができなければ競争に負けてしまいます。

食品は基本的に期限内に売れなかったものは廃棄処分になるはずですから、その廃棄分を商品の値段に転嫁する必要がでてきます。しかし今、世の中が簡単にその分を値段に上乗せできる状況ではありませんから、作る側にとってその廃棄分をいかに少なくするかが大きな問題になるのだと思うのです。もちろんだからといって消費者を欺くような商品を作ることや食品偽装が許されるとは思いません。もったいないという精神が悪いのか、あるいはそういうものを使ってもわからないほどの技術力がある証拠だからいいのだという人もいますが、それは筋違いの話だと思います。

私たちがここでよく考えなければならないのは、競争社会が生み出す弊害です。競争して切磋琢磨すればよいものだけが残っていく、勝ちたければ努力をするべきだ、というのは理想の姿だと思います。一体それにどれだけの人がついていけるのでしょうか。競争社会のピラミッドの中で頂点付近に立てるのはごくわずかな限られた人たちです。多くの人たちは競争に敗れて敗者となります。誰でも勝者になれるわけではないのです。また勝ち負けにこだわり、競争することばかりに目をむけていくと、人が生きていく上で大切な正直さや誠実さといったものがしだいに後回しにされていきます。

確かに、受験において、勝ち負けは存在します。しかし、それは新たな挑戦への第一歩でしか有りません。そんな些末なことでその人の価値も人生も決まるものではありません。理想を追い求めることは、生きがいという点においても必要なことだとは思いますが、その一方で大事なものを見落としていないかよく考えるべきです。勝ち組と負け組、そんな表現が跋扈する今という時代を異常と感じる精神が必要です。


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