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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

説得力のない話

2008年09月24日 | 中学受験 行雲流水録
今年の夏は暑さが厳しく、9月もまだ暑い日が続いていましたが、やっと朝夕涼しくなり本格的な秋が来ました。幼稚園や小学校では運動会が盛大に行なわれています。スポーツには最高の季節になりましたが、みなさんは普段積極的に体を動かしていますか?私は全然動かしていません。

マァ、私のことはいいとして、近頃、子どもの体力低下に関する新聞記事がよく目にとまります。文部科学省の『体力・運動能力調査』によれば、小学生の運動能力は20年前をピークに低下し始め、ここ10年間は低水準のまま移行しているそうです。つまり、20年前からしばらくの間は、スポーツテストの平均記録がどんどん悪化し、最近10年間は数値がほぼ横ばいだというのです。このデータから、どんなことが読み取れるでしょう。最近の10年間はあまり変化がないということで、単純に「心配する必要はない」と安心できるでしょうか? データの意味をきちんと読み取るためには、小学生の体力低下の原因を少し考える必要があるようです。

初代ファミコンの発売が1983年と言いますから、20年前と言えば、本格的な家庭用ゲーム機が普及し始めた頃と重なります。現在では、携帯用のゲーム機を複数持っている人も珍しくないようです。最近は子どもたちが集まると円座になって、一人一台携帯用ゲーム機を使って遊んでいたりします。大人から見ると、少々異様な光景ですが今どきはそれが普通のようです。昔は、みんなが集まれば近所の空地に行って棒切れやガラクタを拾って遊ぶか、家の中でも押入れに入ってかくれんぼをしたり、新聞紙を丸めてバットとボールを作って、最後は必ず大人に叱られていたものです。

体力低下の原因は、もちろんゲームの普及だけではありません。たとえば、マンションの五階まで上がるとき、階段を使いますか? そういう人は少ないでしょう。私も絶対エレベーターです。しかし、古い四~五階建ての建物には、エレベーターのないものもあります。それが建てられた頃は、五階までは階段で問題なしという共通の認識があったからでしょう。私達の意識もずいぶん変化したものです。

さて、新聞記事のデータの意味を、この調査を監修した順天堂大の内藤准教授がこのように分析しています。「運動不足の状態が行き着くところまで行った印象がある」と。万年運動不足の生活が定着し、落ちるところまで落ちたということのようです。確かに、塾や習い事で忙しかったり、住宅事情や住環境から体を動かす遊びを簡単にできなかったりということもあるでしょう。しかし、少し意識を変えるだけで、体力低下を防ぐ可能性が必ずあるはずです。

小さいとき、あれだけ駆け回って遊んでいた私でもこの体型と体力です。今の子供たちが成長したとき、どんな身体能力で人生の荒波に立ち向かうのか、心配になります。ぜひ、今からでも子供たちに体を動かす喜びを伝えていきたいものです。子供たちに声をかけましょう、「もっと外行って遊んできぃ~や」。すると子供たちの声が返ってきます、「先生も運動しぃ~や、もっとヤセなアカンで」。「…はい(>_<)スイマセン」。誠に説得力のない話となりました。


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