goo blog サービス終了のお知らせ 

ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

『洋食』ってなに?

2008年03月16日 | 中学受験 行雲流水録
「せんせー。『洋食』ってなに?」小説文の読解の授業をしていて、順番に音読をさせている時のことです。課題の文章は少し古い時代設定のお話でした。「え? 洋風の料理のことやで。」知らへんのかあ?と、少し意外に感じながら答えました。

「洋風って?」と、まだまだ不審げな表情です。「カレーとか、オムライスとか、スパゲッティーとか・・・。」例を挙げながら、私ははっと気づきました。こういったメニューは、目の前の子どもたちにとっては少しも「洋風」ではありません。和食ではないにせよ、普段のお馴染みの大好きメニューにちがいないのです。

「カレー粉がインドから来るから? パスタがイタリア製だから?」今度はかなり厳密に聞いてきました。「原材料が輸入品だから洋風である」と解釈したようです。「うーん。材料が外国産だと言い出したら、みんなが食べているものはたいがい『洋食』や。たとえば、『てんぷらそば』は和食やけど、使われている蕎麦粉も海老も、小麦粉も輸入されるものが多いで。」

なんだか、社会科の授業みたいになってきました。「そうだそうだ、輸入大国なんだぞ。」とか「食べたことないのんか?」とか、わいわい大騒ぎになりました。私は懸命に「昔の食事風景」を説明しました。「先生が、子どもの頃はデパートいって、最上階のレストランでハンバーグ食べるのが夢やったんや・・・云々。」

なるほど、小学校6年生12歳の子どもたちと、昭和生まれの○○歳の私との間には、異次元に近いような体験の違いがあったのだと分かりました。だから『洋食』というごく簡単な言葉の理解も、まったく異質だったのです。ここで器用に、『洋食』」の持つ一種あこがれに似た贅沢なニュアンスをつかんで小説を読み進めることができるか否かが、その後の設問の解答に関わっているわけです。そして、このグループの生徒の中にもちゃんとその言葉の雰囲気をつかんでいる子がいるのです。おそるべし。おそらく、それは読書体験による年齢差ということになるのでしょう。


最新の画像もっと見る