ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

『水の惑星』

2010年08月11日 | 中学受験 行雲流水録
梅雨が明けると記録的な猛暑。ゲリラ豪雨と熱中症のニュースを聞きながらも、打ち水に涼を感じる夕べがあります。古来、水は日本人の精神性の醸成に深く関わってきました。

年間1人当たりの水資源利用可能量は、日本が3355立方㍍であるのに対して、エジプトが779立方㍍、サウジアラビアにおいては僅か94立方㍍。日本が如何に恵まれているかわかります。『水ストレス』のかかる指標が1700立方㍍、『水不足』が1000立方㍍以下とされていることを考えれば、地球上の利用可能な水は、偏在していると言うことができるでしょう。

『水の惑星』と呼ばれる地球。しかし、その地球上の水の約97.5%は海水であり、残りの淡水も多くは南極・北極と高地の氷として存在し、人間が普通に使う河川や湖沼の水はわずか0.01%です。この貴重な水が、まるで逃げ水のように地球上を循環しています。

しかし、表面上水大国である日本も、実際は安穏としていることはできません。バーチャルウォーター(仮想水)という考えがあります。食料の生産に関った水のことであり、穀物1㎏を収穫するまでにコメなら3600㍑、小麦なら2000㍑、牛肉ならトウモロコシで育てた場合1㌔当たり約2万㍑の水か必要となります。食料の多くを海外に頼っている日本は、ペットボトルの水だけでなく、隠れた水の輸入大国なのです。

このことを考えると、私たちは得てして表面上の数字や現象に心奪われ、ことの本質を見誤り、錯覚していることに気付きます。水に恵まれた国というイメージの日本。その日本が実は水の輸入大国であるという一事をもってしても、真実に見つめようとする意識、現象に隠れた本質に目を向けることの大切さを思います。


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