2008年は『赤毛のアン』が誕生して100年にあたりました。それを記念して記念切手が発売され、かわいい絵柄のこの切手はすぐに完売という人気ぶりだったとのことです。それほど、『赤毛のアン』は日本中いや世界中の人々に愛されているようです。
日本では『赤毛のアン』という題名がすっかり定着しています。しかし、作者のモンゴメリ自身がつけた題名は”Anne of Green Gables”。直訳すると『緑の切妻屋根のアン』という題名になります。私はこのことを知った時、どうして屋根のことなどに注目して題名をつけたのだろうととても不思議に思いました。
また、本作を読んでもうひとつ不思議に思ったことがあります。それは、第一章のリンド夫人が”cotton warp quilts”を”knitting”という箇所です。quiltといえば針で布を縫う刺し子と考えるのが一般的なのに、それがなぜ”knitting”=「編む」となっているのか。ずっと気になっていました。しかし、やっと最近、この二つの謎が解けました。
『赤毛のアン』発行100周年を記念して、NHK出版から『赤毛のアンへの旅』という本が出版されていました。その中で”Green Gables”はアンが住んでいた農場の屋号を指しているとありました。当時、プリンスエドワード島には同じ名字の人も多く、人々は互いに屋号で呼んでいたというのです。親戚が多い田舎育ちの私にはよくわかるお話です。
身寄りのなかったアンが、マシュウやマリラと心を通わせグリーンゲイブル農場になくてはならない存在となっていく話の展開にぴったりの題名です。そして、モンゴメリがつけたアンシリーズの題名は『アヴォンリー村のアン』『(プリンスエドワード)島のアン』と続きます。この本で指摘しているように、アンの生活の場が成長とともに一つの農場から村全体へ、そして島へと広がっていったことをみごとに表している題名です。
日本で初めてアンが訳されたのは1952年。そのときの翻訳者、村岡花子さんは第一巻を『赤毛のアン』第二巻を『続赤毛のアン』第三巻を『第三赤毛のアン』としています。のちに第二巻は『アンの青春』、第三巻は『アンの愛情』と変えられ、今では他の翻訳者もそれにならっています。
もうひとつのなぞ”cotton warp quilts”は白い木綿糸で編んだモチーフをつなぎ合わせたベッドカバーでした。19世紀に大流行したそうです。百聞は一見に如かずで、実物の写真をみると棒針で「編む」ということがよくわかります。あらためて ”quilts”という単語を英語辞書で引いてみると「厚手のベッドカバー」という意味が出ていました。
文化の違う外国の作品を正しく理解するというのはなかなか難しいものです。しかし、逆に本を読んで生まれた疑問を解く楽しみがあります。今年の夏休み、ウチの生徒たちがたくさん面白い本と出会えることを祈るきっかけとなった新たな『赤毛のアン』の発見でした。
日本では『赤毛のアン』という題名がすっかり定着しています。しかし、作者のモンゴメリ自身がつけた題名は”Anne of Green Gables”。直訳すると『緑の切妻屋根のアン』という題名になります。私はこのことを知った時、どうして屋根のことなどに注目して題名をつけたのだろうととても不思議に思いました。
また、本作を読んでもうひとつ不思議に思ったことがあります。それは、第一章のリンド夫人が”cotton warp quilts”を”knitting”という箇所です。quiltといえば針で布を縫う刺し子と考えるのが一般的なのに、それがなぜ”knitting”=「編む」となっているのか。ずっと気になっていました。しかし、やっと最近、この二つの謎が解けました。
『赤毛のアン』発行100周年を記念して、NHK出版から『赤毛のアンへの旅』という本が出版されていました。その中で”Green Gables”はアンが住んでいた農場の屋号を指しているとありました。当時、プリンスエドワード島には同じ名字の人も多く、人々は互いに屋号で呼んでいたというのです。親戚が多い田舎育ちの私にはよくわかるお話です。
身寄りのなかったアンが、マシュウやマリラと心を通わせグリーンゲイブル農場になくてはならない存在となっていく話の展開にぴったりの題名です。そして、モンゴメリがつけたアンシリーズの題名は『アヴォンリー村のアン』『(プリンスエドワード)島のアン』と続きます。この本で指摘しているように、アンの生活の場が成長とともに一つの農場から村全体へ、そして島へと広がっていったことをみごとに表している題名です。
日本で初めてアンが訳されたのは1952年。そのときの翻訳者、村岡花子さんは第一巻を『赤毛のアン』第二巻を『続赤毛のアン』第三巻を『第三赤毛のアン』としています。のちに第二巻は『アンの青春』、第三巻は『アンの愛情』と変えられ、今では他の翻訳者もそれにならっています。
もうひとつのなぞ”cotton warp quilts”は白い木綿糸で編んだモチーフをつなぎ合わせたベッドカバーでした。19世紀に大流行したそうです。百聞は一見に如かずで、実物の写真をみると棒針で「編む」ということがよくわかります。あらためて ”quilts”という単語を英語辞書で引いてみると「厚手のベッドカバー」という意味が出ていました。
文化の違う外国の作品を正しく理解するというのはなかなか難しいものです。しかし、逆に本を読んで生まれた疑問を解く楽しみがあります。今年の夏休み、ウチの生徒たちがたくさん面白い本と出会えることを祈るきっかけとなった新たな『赤毛のアン』の発見でした。