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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

対話のスパイス

2010年04月05日 | 中学受験 合格力随想
国語力というものは、もともとは日本語力です。日本語を駆使する力は、生活の中で育ちます。これに対して学習の中で育つ国語力は、漢字の書き取りや熟語やことわざを覚えるような知識的な日本語力です。日常生活の中で、日本語に接する機会はいくつかに分類することができます。その一つが対話であり、テレビを含めたメディアであり、読書といえるでしょう。

家族との対話は、手軽で効果が極めて高い日本語の学習機会です。これは幼児期から中学生高校生になるまで活用できます。対話は、話をしながら相手の反応に合わせてレベルを設定することができるため、意図的に取り組むほど効果を発揮します。学力のある子に共通している生活習慣は、親子の対話が豊富だということです。親が知的で面白い話をすることによって子供の思考力や知的好奇心が育っていきます。逆に、親が断片的なこと、例えば「○○しなさい」というようなことしか言わなかったり、あまり話をしなかったりすると、子供の考える力は育ち難いようです。

では、親子の対話を充実させるためにはどうしたらいいのでしょう。対話のきっかけになるものは、親子共通の話題です。親子で読む本、親子で見るテレビ、親子で取り組むイベントなどなど。長文の入試問題を親子の共通の話題する方法もあります。長文問題には、科学的な内容のものや生きることの意義を考えさせるものが多数あり、読むだけでも面白いのですが、ここで更に対話によって、お父さんやお母さんが話を発展させるとより印象深いものになっていきます。

例えば、ほかに似たような例は世の中にあるのだろうかとか、こういう仕組みが何に使えるだろうか、というような話しの広がりです。ここで創造性が必要になり、単なる知識の伝達にとどまらない親自身も楽しめる機会の共有を行うことができます。大事なことは、子供に答えさせるというのではなく、親がたっぷり話をしてあげるということです。即興で創造する対話というのが大事なので、単に大人が知っている知識を子供に伝えておしまいというようなやり方ではありません。

また、子供は面白いことが好きですから、対話の中ではできるだけ面白い話をするように心がけます。茶の間にホワイトボードを置いておき、学校のようにホワイトボードで説明をしながら対話をしていくというのも子供は喜びます。対話の結果、何か調べたいことが出てきたら、日曜日に実験をする計画を立てましょう。

このように、日常生活の中で知的な対話をふくらませていくと、知識だけでなく子供の日本語力=思考力が育っていきます。いったん知的な対話のある家庭ができれば、将来、子供が大きくなったときに、自分も親としてそういう家庭を築いていきます。対話のある家庭では、テレビは主役にはなりません。テレビの話題をもとに、みんながわいわい話し合うのが茶の間の過ごし方の中心になります。テレビではなく家族一人ひとりが主役になるのが、本来の家族の過ごし方だと思います。

しかし、親が子に話をするといっても、やはり何かの手助けがある方がやりやすいものです。その一つが、生き物です。できれば、人間とコミュニケーションをとれる生き物の方がいいでしょう。犬や猫が難しいのであれば、手乗りの文鳥などもいいと思います。家族の対話に文鳥も参加して、あっちの頭にとまったり、こっちの肩にとまったりして話題を盛り上げてくれます。そして、その生き物自体が、またいろいろな研究のテーマを提供してくれるのです。

ほかには、大人向けに書かれた理科や社会の本があります。ナツメ社で出ている「図解雑学」シリーズは、雑学という名前がついていますが中身は大人でも十分に楽しめる本格的なものです。こういう本で科学的な土台を作って、子供に話をします。ただし、知識を伝えるだけの話しではなく、そこに自分なりの体験を結びつけスパイスとし、独自なものを伝えるという姿勢だけはくれぐれも忘れないでいただきたいと思います。


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