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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

窮余の一策

2011年09月20日 | 中学受験 合格力随想

私は、中学受験の国語の試験に対する学習・対策を次のように考えています。

まず、記述式の設問への学習ですが、第一は、指定の字数の感覚に慣れること。第二は、すばやく一挙に書くスピードを身につけること。第三は、できるだけ論点を対比する形で書くことの3つです。

一般に、一つの文の平均的な長さは40~50字です。したがって、150字の記述という指定がある場合、その解答は3~4文で構成されると考え、150字の枠ぎりぎりいっぱいまで書くようにします。また、文章を書く際は途中で考えたり、消しゴム使ったり、読み返したりせず、頭の中で文を組み立てたら一気に書くようにします。書く内容は、単に「Aだ」という書き方ではなく、「BではなくAだ」「確かにBもわかるが、やはりAだ」というように、論点を対比させるとめりはりのあるまとめ方になります。

通常、記述式の設問対策は、入試問題の長文を読ませ、講師が問題を指示し、時間を規定したなかで生徒が書くという形で、字数とスピードに慣れることを目的に進めていきます。

選択式の設問の場合、志望校の過去問の国語の問題を解き、その結果の○×をすべて理詰めで説明することが大事です。講師の説明がうまく伝わらないのは、その生徒に理解するフィールドがもともとないためであり、無理矢理擦り込もうとしてもあまりうまくいきません。そんな時は今はまだできなくてもよい問題というふうに割り切ることにしています。したがって、そんな状況を改善する時間が必要となるので、なるべく早く過去問に当たることにしています。

そんな理解の高低はあるのですが、やはり選択式の問題は勘で選ぶのではなく、すべて明確な理屈で選ぶという志向を持つことが大切です。そのために、問題文はよく理解できたところを中心に傍線を引きながら読み、設問の選択肢についても、どこを基準に○や×にしたかということがわかるように傍線を引いておくことを要求します。

この問題の解答結果を分析するという学習法は、だいたい1~2時間かかりますが、数回でもこのやり方の学習をしておくと、そのあと国語の選択式の問題の正答率がぐんと上がります。ただ、点数が上がるのは、その生徒がもともと保持している読む力のレベルまでなのが難点です。

私は、生徒たちの読む力を補強するために、入試の問題集の問題文を繰り返し読むことを勧めています。問題を解くという学習は読む学習の何倍もの時間がかかるため、かえって国語力がつき難くあります。問題文を解かずに読むという単純な学習が最短で読解力を補強していくようです。

難関校の国語の問題の中には、かなり長い文章を読ませるものもあります。この場合に必要なのは速読力ですが、速読力は速読の学習では身につきません。小学校中学年のころまでの多読が速読の基礎となります。また、物語文の読解力も、小学校中学年のころまでのやさしい物語の多読によって身につきます。小学校高学年になると、多読をする時間的な余裕はなくなるので、せめて問題集の問題文を確実に読むということで読解力を含めた国語力がつけばと考えています。いわば、これは非常事態にある生徒への窮余の一策といえるでしょう。



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