ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

記憶を紡ぐ

2008年12月07日 | 中学受験 合格力随想
「物覚えが悪くって」「何回やっても覚えられない」等…私たちの生活は記憶によって支配されています。特に、大学入試までの学習で成績をよくする力のかなりの部分は、記憶力によって支えられています。結論から言えば、その記憶をよくするコツは、『空けすぎない程度に覚える間隔を空ける』ことです。

エビングハウス曲線を見ると、何かを記憶したあと4時間後にその記憶の50%が思い出せなくなります。したがって、早朝の英単語テストに間に合わせるためには、一夜漬けよりも早朝漬けの方がはるかに効果があるのです。しかし、本当の学習とは、わかるものとわからないものをはっきり区別することにありますから、こういう短期記憶の学習法で成績を良くしてしまうと、かえって本当の学力はつき難くなります。

人間の記憶は、24時間後には約30%、48時間後には約20%と漸減していきます。二度目の学習をするのは、一度目の学習をある程度忘れた数日後というのが理想です。二度目の学習が1日後であれば、人間の動物的な本能は、その記憶が必要なのは1日ぐらいの期間なのだと考えます。もし二度目の学習が1週間後であれば、人間の本能は、その記憶は1週間ぐらいの期間でまた必要になる可能性があるのだと考えます。短期間に覚えた記憶は短期間で失われ、長期間で覚えた記憶は長期間残るのです。これは筋肉をつけたり、ダイエットをしたりすることにも共通しているようです。

この人間の本能に働きかける学習法は非常に有効で、記憶力の要諦となるものですが、現実の学習場面では、焦燥感に駆られてナカナカ腰を据えて取り組むことはできません。しかし、このことを理解し意識するだけでも効果は格段に上がります。

人間の記憶は、覚えてから1ヶ月以上たつと、その記憶は必要なかったものだと見なし、忘れてしまう性質を持っているようです。そうすると、また最初から覚えなおさなければなりません。したがって、記憶のコツをさらに考察すると、『1ヶ月を超えない範囲でできるだけ間隔を空けて(つまりできるだけ忘れたあとに)再度覚えなおす』、ということになります。

記憶を紡ぐことは人と人との関係に似ています。疎遠と緊密の間のたった一つの行為によって、深い記憶とも浅い記憶ともなりえます。



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