Movieな空間

映画大好き人間の気ままな空間です!!

B級グルメ道56 感動の焼きものの世界「埼玉屋」

2011年04月17日 02時40分47秒 | Weblog

     
   Dsc03003 
 今日は、長男と待ち合わせて、予てから食すべく、焼とん・もつ焼き屋で有名な東十条の「埼玉屋」に行った。この店、焼き物では超有名な店である。ここの焼き物を食べたら、世界が変わるほどと言われている。それだけおいしい店であるし、おやじさんが、妥協を許さない頑固者で、お客の方が気を使って食するという店でもあるらしい。この店については、色んな人が体験記を書いているが、そんなに凄い店なのかと、少々緊張しながら、並んでいたのも事実。東十条駅南口から5分程度歩くと、この店に来れる。
 店の前には、15:00と言うのに、もう2人が椅子に腰掛けて並んでいた。「埼玉屋」は、土曜日の営業は16:00~18:00までの2時間しかやってないので、最初に入れなかったら、まず、その日はこの店での焼き物は食せないということになる。だから、開店の1時間前といっても、並んでおく必要があるのである。私は、3番目、長男は4番目という順番。この店は、おやじさんの独特の世界(「おやじワールド」という)があるそうで、カウンターに陣取ることが必須。15名程がカウンター、後はテーブル席になってしまうようであり、早くから並んでいる人が、カウンター席の栄冠を勝ち取れると言うことになる。15:30になると、もうすでに40人程が並んでいた。そんな時、この店の息子さんらしい人が血相を変えて出てきた。なんでも、苦情の電話が来たというのである。「埼玉屋」の店先から、歩道沿いに40人が並んでいたので、隣の電気工事会社の前にもずらりと客が立っていたことで、会社への出入りに支障をきたすという苦情なのだった。そのため、店先に並べられた椅子に座って待つ人の前に、もう一列が並ぶと言う形になった。歩道の両側を、並ぶ客が隊列を組んでいるような格好。店の入り口には、「食を通じて感動を提供するものです」という店主の張り紙があった。なるほど、おやじさんの心意気が分かる張り紙である。
      f:id:nial:20100602211024j:image
 16:00過ぎに、ようやく店に入れた。店の中では、おやじさんが柔和な笑顔でカウンター内から、「いらっしゃい」と迎え入れてくれた。頑固者で、苦虫を噛み潰した風体をイメージしていたが、このおやじさんは全く違っていた。やせて、白髪交じりの短髪、顔は頑固者と言うよりは、間寛平のようなお笑い芸人のようだった。顔が、「笑い」と言う字を崩したような、柔和な顔だったのである。しかし、カウンターの前に置かれた炭焼機の年季が入った様子とおやじさんが後ろ腰に差しているうちわのボロボロ具合が、頑固者であることを象徴しているようだった。並んだ順にカウンター席の両端から埋めて席に着く、カウンターが一杯になればテーブル席となるのである。本日は50人程度が店に入ったのだろう。奥のトイレの方にも、見えない位置だがテーブル席があるようだ。おやじさんがカウンター内から、すばやくお皿を配る。そして、息子さん風、その奥さん風?が飲み物の注文を聞く。ほとんどの人が、生ホッピーか生レモンハイを注文。カウンター内には、ジョッキーが30個ほど用意され、厨房から、息子さんの奥さん風が凍った焼酎の一升瓶を持ってきて、軽量グラスでシャーベット状の焼酎を計りながら、次々にジョッキーへ移しいれていく。なるほど、これが当店名物の凍らせた焼酎なのである。生ホッピーは、凍らせたシャーベット状の焼酎が入ったジョッキーにサーバーから生のホッピーが入れられる。まるで、生ビールを注いでいるかのように・・。通常のホッピーは、瓶に入っているのであるが、ここはサーバーからなのである。なるほど、゛生ホッピー゛ということなのだろう。生レモンハイは、同じく同様のジョッキーに、カットレモン4~5個をいれ、瓶のレモン炭酸1本を入れた後、ソルティー・ドッグ風にジョッキーのふちに、塩を塗って出してくれる。どちらも、本当にうまい。生ホッピーは、瓶のホッピーよりも、やさしいまろやかな味がする。生レモンハイは、レモンの味がぐっと来て、ジョッキーのふちの塩が、甘さを醸し出してくれる。これまた、美味。おやじさんの奥さんが、クレソンと大根の千切りのサラダを一人づつ配っていく。ここは、注文をして、料理が提供されるという、通常の形態ではない。サラダもいらなければ断れば良いのである。焼き物も、おやじさんまかせ。要するに、゛おまかせ゛である。お客が注文することは無い。お客が注文するのは、飲み物や埼玉漬け、牛刺し等おやじさんがしかかっていない別料理を注文するときぐらいなのである。
 
     
                               
さい2「先ずは、白レバーだけど、みんな、ベリーレアでいいかな」と、おやじさんが聞き始めた。白レバー??これは、レバーだけれども、脂肪肝になったレバーを指している。要するに、フォアグラのようなもの。これを、゛ベリーレア(超生)゛で食すると言うことなのである。この白レバーは、炭で表面をさっと焼くのみ。牛肉のたたきのようなものである。ジューシーでやわらかく、濃厚な甘さがある、たまらなくうまい。こんなレバー、食べたことが無い。本当に感動的なのである。

     
 次は、「アブラ」。これは、リブロースである。これまた、焼色から食欲をすする。おやじさんは、焼く前に、食材を銀のボールに入れてある状況から、お客に見せてくれる。牛肉のアブラの゛さし(霜降り)゛状況や、レバーのテカテカ光った状態が、焼く前から確認できる。そのものの新鮮さや内容の良さが、目視確認できるのである。これが、たまらない。焼く前の新鮮な状態から見ているので、焼かれたものが待ち遠しくなってくる。この、焼いている間の、待っている時間が、本当に心地良いのである。楽しいことがやってくるのを、心待ちにしているようで、たまらなく至福の時間となるのである。その間に飲んでいる生ホッピーや生レモンハイが、心地よく胃の中に入っていく。本当にたまりませんね!!
 「レバーいくよ。これ見てよ。色艶がいいだろう。それに甘いね。俺なら生で食べちゃうけどさ、東京都の指導で、生での提供はできないから、焼くけどね」とおやじさん。レバーの表面が、ピカピカに輝いていて、本当に新鮮であることが一目瞭然なのだ。これまたうまそうなのである。本当に、レバー刺しで食べたい気分。にんにく醤油で食べたら、さぞかしうまかろうと想像できるのである。
 「チレ、いくよ」、「焼いたのは食べないで、ちょっと待ってて」とおやじさん。何のこっちゃと思っていると、奥さんが、一人ひとりの皿に置かれた焼いたチレに、ガーリックバターを塗ってくれるのである。「えーー??、これはエスカルゴ風??」と叫びたくなった。その通り、和のテイストから洋のテイストに様変わりした瞬間なのである。このチレを頬張ると、何ともいえない芳醇な味わい。こんなおいしいもの食べたことが無い。まさに、焼き物の゛ワンダーランド゛なのである。このおやじさんは、毎年海外に旅行に行くのだそうだ。その海外での食の体験を、店の料理に工夫してみせる。このエスカルゴ風はその工夫のひとつ。色んな肉にガーリックバターを試してみて、最高にうまかったチレに決めたのだそうだ(常連さん談)。研究熱心なおやじさんである。
     
 焼き物は、10数本程度、それに牛刺し、埼玉漬け等を頼んだので、本当におなかがいっぱいになった。時間は、もう19:00になろうとする。息子さん風が隣の常連さんに、「今日は誰も時間になっても帰ろうとしないね」と言っていたが、閉店の時間を1時間も過ぎている。みんな、このおやじさんが創る゛おやじワールド゛に完全にのめりこんでしまった様だ。本当に素晴らしい味である。焼き物の感覚が、覆ってしまった感がする。焼き物に情熱をかけ、新鮮さを追求し、おいしいものを提供してくれる、このおやじワールドに、本当に感動した。また行きたい店ができたのであった!!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿