昔は長江を跨ぐ庶民の足として利用されてきた長江索道。
今では観光客を運ぶロープウエイになっています。
長江索道北駅は、軌道交通1号線、6号線小什字駅の5B出口を出てすぐの場所にあります。
チケット購入には身分証が必要で、大型連休中はチケットを買ってから実際に乗るまで3~4時間待ちです。
チケットは紙とスマホのQRコードの両方あります。
QRコード画面には”順番待ちの列に並ぶことが可能な時間”の予測が表示されています。
この時に列に並んでいるのは4275番までの人なので2000人待ちです。。
でもこのように待ち時間の予測が出ているので、滞留する人はそんなに多くなく、
運次第ですが乗り場の建物の無料休憩スペースの椅子に座って一休みすることも可能です。
さすがに3時間も待っていられないので、別の場所に出かけてから戻ってきました。
列に並ぶための場所に入ってから乗車するまで、まだ30分ぐらいかかります。
長江索道の全長は1166m、4分ほどで長江を渡り対岸の南岸区に到着します。
以前は嘉陵江を渡り、渝中区と江北区を結ぶ嘉陵江索道もありました。
重慶に地下鉄やモノレールが整備されて利用客も減少していたのですが、
最近の観光ブームによって人気観光スポットのひとつになっています。
ロープウエイから地上を見ると、川沿いから上半城まで密集する高層マンション群や、
重慶の渝中区らしい高低差を感じられるヘアピンカーブの通りなどの景色も楽しめます。
対岸の長江索道南駅から龍門浩老街までは、歩いて10分~15分ほどです。
2025年2月時点では、長江索道南駅付近の再開発工事で歩道が狭くなっている箇所があります。
龍門浩老街は2018年9月に開業した”新しい”老街です。
崖沿いにレストラン、喫茶店、バーなどの飲食店をはじめ様々な店舗が並んでいます。
重慶が国際貿易港として開港した時には、汽船など喫水の深い船は、
朝天門ではなく水深が深い龍門浩のある南岸地区に停泊しました。
外国汽船の停泊地となった龍門浩には、諸外国の貿易関連施設や外国人居住地が造られ、
重慶が中華民国の臨時首都になった時にはアメリカ、イタリアなどの外国大使館が置かれていました。
物流の主流が鉄道や自動車、航空機と変わり水運は廃れ、現在はこれらの施設はすべてなくなっています。
また1990年代は南岸地区の工業生産も落ち込み、この地域全体が寂れてしまいました。
アメリカ大使館の跡地はお洒落なレストランになっています。
取り壊される直前は龍門浩のある場所もおそらく渝中区の下半城と同様に、
貧困層の暮らす地域となっていたのかと思われます。
政府主導で資金が投入され新しく生まれ変わった龍門浩老街は多くの観光客で賑わっています。
夜になると昔の雰囲気を再現した建物はライトアップされます。
龍門浩の歴史は古く、南宋代にはすでに埠頭がありました。
今はもうありませんが、龍門浩月と呼ばれる長江の川面から突き出た2つの巨石の風景は、
明代の「渝城八景」と清代の「巴蜀十二景」の一つでした。
長江索道も龍門浩も時代の流れとともに役割がすっかり変わったようです。