昨二十九日午後、江戸川まで歩きました。
途中、坂川と神明堀という用水路を越えて行かなければなりませんが、坂川に較べると、神明堀には橋が少ないので、遠回りを強いられぬように、橋のある場所を頭に叩き込んで行きました。
しかし、どこかに桜の花がないかと、前方ではなく、斜め上を仰ぎ見ながら歩いておりましたので、いつの間にか橋のある道をそれ、結局遠回りをさせられて、江戸川の堤防に立つまでに四十分以上もかかりました。
遠回りさせられたおかげで、土筆(ツクシ)を見ることができました。
一面の、とはいえませんが、菜の花も見ました。
江戸川の堤防には名も知らぬ野草がたくさん花を咲かせていました。
堤防の斜面は日当たりがよいせいか、すでに土筆のほとんどは杉菜に姿を変えていました。
自転車で駆けつけてきたおばさんの一群があって、あまりにも喧しいので、何事ならむと思って見ていると、一人が斜面の途中にしゃがみ込んで、「あった、あった」と黄色い声を上げました。すると、どれどれとばかりにみんなが集まってきて、盛んにはしゃいでおりました。
江戸川の土筆は杉菜に変わるより早く、彼女らについばまれて、胃の腑奥深く収まったのかもしれません。
坂川放水路が江戸川に合流する松戸排水機場まで歩いて、堤防を下ることにしました。
釣り堀のあるのが見えて、多くの釣り人がおりましたので立ち止まってみましたが、料金所のようなところが見当たりません。訊いてみると、「まこも池」という天然の池で、料金は不要。主にへラブナが釣れるそうです。
江戸川を離れて歩き出したところで、ポケットに忍ばせた万歩計は八千歩を超えました。そのへんから脚の疲れが顕著になって、臑のあたりが痛くなってきました。
勤めのある日は、勤め先への往復だけで七千歩は歩き、所用があって外出することがあると、軽く一万歩を超すことも珍しくないのですが、ぶっつづけに歩くわけではありません。
運動不足と、いつまでも若いつもりでおりますが、「老い」というものがヒタヒタと迫っているのを実感させられました。