こんなん(画像)買いました。
日曜日にテレビでCMを視て、夕方、食品の買い出しに出たときに本屋に寄って手に入れました。買おうか買うまいかとしばし逡巡した挙げ句です。
ここ何年か流行りの週刊形式のムックです。これまで触手を動かされるシリーズはたくさんありました。逡巡したのは、いつ終わるとも知れず、毎週毎週何十冊とつづくと、買えない号も出てきそうだからです。
全部買わなくても、自分の好きな号だけ、興味を惹かれた号だけ買えばいい、という人もおられるのでしょうが、おぢさんは全部揃えないと、なんとなく落ち著かない性分です。
買えない号が出るというのは、多くはついつい一週間が経ってしまうことです。一号欠かすと緊張の糸が切れて、つづけて買うのはもういいかと思い、イヤ、やはりつづけよう、と思い直すころにはすでに何週間かが経っていて、買えなかった号は手に入れるのがむずかしい事態になっていたりします。
こういう形式のムックは溜まると結構重く、いざ読もうというときはその重さが億劫になって、結果的にはツン読になりかねません。あまりモノを増やしてはいけないという自制心も働きます。しかし、ついに買ってしまいました。
料理は上手くありませんが、つくるのは嫌いではありません。ただ、いかんせん時間がありません。
平日は勤めを終えて帰ってくるのは、早い日で夜の八時過ぎです。買い物をする必要があって、スーパーに寄ったりしていると、八時半を過ぎてしまいます。それから何かをつくるとなると、食べるのは九時半過ぎになってしまいます。お米も研がなくてはなりません。
勤めから帰ってくる時点で、かなり腹を空かせている日もあります。
すると、つい手近な中華料理屋や呑み放題食べ放題のスナックに寄ってしまったり、スーパーで調理パンを買って、薄暗い流鉄の線路際を歩きながらかぶりついたりします。
調理パンを一個食べたぐらいではやがて腹が減るのですが、再び空腹を覚えるころはすでに寝なければいけない時間です。それから調理を始める気にはとてもならないので、トーストかお茶漬けを食べ足すのが関の山です。
明日こそ明日こそ、と思いながら、自分で料理をつくる時間ができた試しがない。わかっているのに、そのうち腕をふるう機会もあるだろう、と買ってしまったのです。
流鉄の踏切際にある店に借り手がついて、おぢさんの夢は少し遠のきました。
ずっとシャッターが下ろされたままだったころ、その店の前を通るたびに、こんな店が借りられたら、おぢさんが奥で包丁を握り、若い愛人(現実にはおりませんし、そのかけらもありませんが)が接客をするという儚い夢を見ていたのです。
正しくは、夢、とはいえません。
夢とは、是非実現させたいと強く思い、そのための努力を惜しまぬことですから……。
おぢさんの場合は、多分実現しないだろうと思いながら、いたずらに空想しているだけですから、心の中で夢を弄んでいるのに過ぎません。
大体条件が厳しい過ぎます。店を借りる資金という大前提もさりながら、若い愛人というのがまずむずかしいからです。
しかし、弄んでいるだけにしても、何も努力をしていないのにしても、夢は夢です。いつかそんな日がくるかもしれぬ ― と思いながら、少しでも料理のレパートリーを増やさんものと、結構真剣なまなこで読んでおります。