アグリコ日記

岩手の山里で自給自足的な暮らしをしています。

真理と商売

2005-12-14 20:16:49 | 思い
冬のしょっぱなから激しい寒波がやってきた。
明け方の気温はマイナス8度。日中もマイナス3度を越えない。どこか凍ってるのだろうか。エアーコンプレッサーが動かないので機械を使っても掃除ができないでいる。
でも鶏やウサギたちは元気だ。彼らは滅多なことで寒さで病気になったり死ぬようなことは無い。猫家で飼う生き物は元々日本の気候風土に適したものたちだから、真冬の零下10度を越える寒さでも風通しのよい小屋の中で活発に動き回っている。かえって夏の暑さの方を心配しないといけないくらいだ。

今日アポロを家にいれていたら、よほど寒かったのだろう薪ストーブを挟んで私の反対側にじっと蹲っていた。
それが急に「ギャッ!」という声を上げて駆け出したかと思うと立ち止まって自分の脇腹を舐め、また「!」と声を上げては駆け出すを繰り返した。
ピンと来た私は彼を捕まえて抱き上げた。思ったとおり、脇腹の毛が大きく焦げている。またやってしまったのか!暖かいと思って火鉢やストーブに近づき過ぎるとこうなる。おまけに今回は舌まで火傷したみたいだ。アポロよ。いったいお前は学ぶことを知らないのか・・・嗚呼!これで彼の体は左右どちらから見ても焦げ跡が伺えるようになった。もしかしてそのうち茶色い猫になってしまうんじゃなかろうか・・・

どこからか送られてきた通販情報誌を開いて見たら、健康アイテムとしてまことに様々なものが売られている。例えば水。もちろんただの水ではない。波動情報を入力した、マイナスイオンを含んだ、または蒸留水でなんとかかんとか・・・説明書きにはあたかもこれを摂取すれば今までとはまったく生まれ変わったような健康体になれるという風なことが書かれている。
更に何かを繊維の中に練り込んだ下着や靴下。毒素や宿便を出すという錠剤。自然治癒力を引き上げるという漢方薬。マイナスイオンの空気清浄機やさまざまな成分を添加したクリーム、シャンプー、歯磨き粉・・・
実際こんなものを使うことで健康になれると心底信じる人がいるのだろうか。そして今まで不健康だったのはこれらを摂取しなかったからだと・・・

そしてこういう冊子には大概さもそれらしい「専門家」がもっともらしい講釈を書き添えている。その肩書きを見ると「人生コンサルタント」「ヒーラー」「○○カウンセラー」などと、少しでも本来の意味を知っている者にとってはとても真剣には使いにくい単語を連ねている。
もちろんそれらの人たちを非難するわけではないしその話すこと行うことを一律無意味なものと定義付けるわけではない。私も過去何人かのヒーラーやその類の方たちと接しているし自らヒーリングやセミナーを受けたことも結構な回数ある。精神的に痛み多い我が身なればこそ一時期そんな分野に救いを求めた時代もあった。

その上で今思うのだけれど、身や心に出た病はすべて自らの中に原因があり、それは何かを新たに「取り込む」ことよりも何かを「するのを止める」または自発的に何かを「発する」ということによって変えられるものが多いような気がする。
例えば食物であれば毒である成分を摂取するのをやめること。不愉快なことが身の上に立て続けに起こるというのであれば、自分から「厚意」を周りに対して行動に表すこと。これによって根本的なところから新たな循環の輪を作り直すことができる。攻撃される人は自身が攻撃しているのである。

言葉であろうと物質であろうと、人は決して外からの力で変えられるものではない。それに気づかずして自分を他人の「人生コンサルタント」や「カウンセラー」と呼ばわるのは恥ずかしくて、私ならばとてもできない。
このような情報誌に載せられる商品も自ずとそのような意識レベルに則ったものなのだろう。つまりこの世界はこれによって営利を行う人々の作り出したマーケット・スペースということだ。

本当のことは決してお金で手に入るものではない。だから真理をもってそれを商売にすることはできない。人はみな自分自身の人生という対価ににおいてのみそれに肉迫することができる。キリストが言う「金持ちが神の国に入るのはラクダが針の穴を通るより難しい」とは一面そのようなことを言っているのではないだろうか。
お金で解決できることは所詮それなりのことでしかないのだと思う。しかし売る側もまた求道の道にあるとすれば、まあこのような業種や役割があるというのも今の時代にすんなりと受け容れられることではあるだろう。




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