【第三場 ダイオキシンはどこから来た?】
ばっちゃ「なんたら!そんだら恐ろしい薬を、そごらの山さ撒いだっつのすか!」
サトシ「営林署の職員は、なにも知らなかったらしいよ。ただ『よく効く熊笹の除草剤』くらいにしか聞いていなかったって」
じっちゃ「政府も悪いが、業界の奴らもひでえなあ!したらば、オラだぢ百姓は、なんにも知らずにダイオキシン撒いでだってことか!」
ばっちゃ「しかも田んぼや畑になあ」
じっちゃ「そういや、戦後やけに奇形だとか先天異常が多いって聞いたごどあるが・・・」
ばっちゃ「じっちゃ!そんだら怖えぇごど言わねでけろ」
サトシ「PCPやCNPにダイオキシンが含まれてたってことは、随分前からわかってたらしいよ。でも農薬メーカーは、製品を売りたいためにそれをはっきり言わなかったんだね」
ばっちゃ「ひでえ話だべ!」
サトシ「枯葉剤自体が農薬だし、戦争で売れなくなったら今後は農薬として売ればいい。ヴェトナムでがっぽり儲けて、甘い汁を吸った人たちの考えそうなことさ」
じっちゃ「まあ、世の中にゃあ、金のためならなんでもする連中がいるからなぁ・・・お、ところで早ぐお茶にすっぺ!」
ばっちゃ「はいはい。(風呂敷を解き、団子をみなに配る)じっちゃはタバコやめたで、その分おやつもうめえもん用意したからな」
じっちゃ「おぉ、タバゴやめでがら、なに食っても、うめぐなっちまってよ!」
ばっちゃ「あだしの作るもんは、始めっからうめえんでがす!」
じっちゃ「ま、この歳になって、オレも味のわがる人間になっだっつうこどだがな・・・ところでサトシよ、昔撒いた農薬にぁダイオキシンがあったっつうこどはわがった。んだども、今はそんな薬使われてねえんだろうがら、もう安心なんだべ?」
サトシ「いや、ところがそう簡単でもないみたいなんだよ」
【ナレーション3】
「ダイオキシン」とは一種類の物質を指すのではなく、共通の性質を持った200種類以上の物質を指していう言葉です。環境や人の体の中に見出されたダイオキシンは、その種類を調べることによって、それがどこから取り込まれたのか、その発生源は何なのかなどを突き止めることができます。
ここで、戦後国内で環境中に放出されたダイオキシン量の変遷をグラフで見てみましょう。
青い部分がPCP、黄色い部分がCNPに由来する部分。現在騒がれているごみ焼却の際に出るダイオキシン量は、下の方の緑と赤の部分になります。近年ごみの発生量が増えるとともに増えていることがわかりますね。
しかしご覧のとおり、今でこそごみ焼却時に出るダイオキシンが主流ですが、過去50年で見ると、ごみよりも農地に撒かれた農薬由来の方が圧倒的に多いことがわかります。撒布されたPCPの量だけ見ても約14万トン、ヴェトナムで撒かれた枯葉剤のおよそ2倍の量になるのです。
それでは、今現在環境中にあるダイオキシンは、なにから発生したものかを見てみましょう。
ダイオキシンは土の中にも留まりますが、水に流されて海中に注ぎ込んだダイオキシンのほとんどは、沖合いに流されずに、日本近海に貯留していることがわかってます。例えば東京湾の海底には、今日本で一年間に排出されているダイオキシン量のおよそ半分にも当たるダイオキシンが堆積していると言われています。
この発生源を調べたところ、ごみ焼却など大気からのものが45%、農薬からが31%であることがわかりました。しかしこれまで説明したとおり、これら農薬は今ではほとんど使われなくなったものばかりです。つまり、未だ環境中に残存するダイオキシンのおよそ31%が、かつて何十年も前に田や畑に撒かれた農薬によるものだということです。
ダイオキシンは非常に安定した物質なので、一度自然の中に放されると何年も何十年もそのままの形で留まり続けます。今の環境を汚染し、私たちが食べる魚にまで蓄積されているダイオキシンをばらまいた犯人の3分の1は、少なくとも農林業で使われていた農薬だったのです。
(つづく)
ばっちゃ「なんたら!そんだら恐ろしい薬を、そごらの山さ撒いだっつのすか!」
サトシ「営林署の職員は、なにも知らなかったらしいよ。ただ『よく効く熊笹の除草剤』くらいにしか聞いていなかったって」
じっちゃ「政府も悪いが、業界の奴らもひでえなあ!したらば、オラだぢ百姓は、なんにも知らずにダイオキシン撒いでだってことか!」
ばっちゃ「しかも田んぼや畑になあ」
じっちゃ「そういや、戦後やけに奇形だとか先天異常が多いって聞いたごどあるが・・・」
ばっちゃ「じっちゃ!そんだら怖えぇごど言わねでけろ」
サトシ「PCPやCNPにダイオキシンが含まれてたってことは、随分前からわかってたらしいよ。でも農薬メーカーは、製品を売りたいためにそれをはっきり言わなかったんだね」
ばっちゃ「ひでえ話だべ!」
サトシ「枯葉剤自体が農薬だし、戦争で売れなくなったら今後は農薬として売ればいい。ヴェトナムでがっぽり儲けて、甘い汁を吸った人たちの考えそうなことさ」
じっちゃ「まあ、世の中にゃあ、金のためならなんでもする連中がいるからなぁ・・・お、ところで早ぐお茶にすっぺ!」
ばっちゃ「はいはい。(風呂敷を解き、団子をみなに配る)じっちゃはタバコやめたで、その分おやつもうめえもん用意したからな」
じっちゃ「おぉ、タバゴやめでがら、なに食っても、うめぐなっちまってよ!」
ばっちゃ「あだしの作るもんは、始めっからうめえんでがす!」
じっちゃ「ま、この歳になって、オレも味のわがる人間になっだっつうこどだがな・・・ところでサトシよ、昔撒いた農薬にぁダイオキシンがあったっつうこどはわがった。んだども、今はそんな薬使われてねえんだろうがら、もう安心なんだべ?」
サトシ「いや、ところがそう簡単でもないみたいなんだよ」
【ナレーション3】
「ダイオキシン」とは一種類の物質を指すのではなく、共通の性質を持った200種類以上の物質を指していう言葉です。環境や人の体の中に見出されたダイオキシンは、その種類を調べることによって、それがどこから取り込まれたのか、その発生源は何なのかなどを突き止めることができます。
ここで、戦後国内で環境中に放出されたダイオキシン量の変遷をグラフで見てみましょう。
青い部分がPCP、黄色い部分がCNPに由来する部分。現在騒がれているごみ焼却の際に出るダイオキシン量は、下の方の緑と赤の部分になります。近年ごみの発生量が増えるとともに増えていることがわかりますね。
しかしご覧のとおり、今でこそごみ焼却時に出るダイオキシンが主流ですが、過去50年で見ると、ごみよりも農地に撒かれた農薬由来の方が圧倒的に多いことがわかります。撒布されたPCPの量だけ見ても約14万トン、ヴェトナムで撒かれた枯葉剤のおよそ2倍の量になるのです。
それでは、今現在環境中にあるダイオキシンは、なにから発生したものかを見てみましょう。
ダイオキシンは土の中にも留まりますが、水に流されて海中に注ぎ込んだダイオキシンのほとんどは、沖合いに流されずに、日本近海に貯留していることがわかってます。例えば東京湾の海底には、今日本で一年間に排出されているダイオキシン量のおよそ半分にも当たるダイオキシンが堆積していると言われています。
この発生源を調べたところ、ごみ焼却など大気からのものが45%、農薬からが31%であることがわかりました。しかしこれまで説明したとおり、これら農薬は今ではほとんど使われなくなったものばかりです。つまり、未だ環境中に残存するダイオキシンのおよそ31%が、かつて何十年も前に田や畑に撒かれた農薬によるものだということです。
ダイオキシンは非常に安定した物質なので、一度自然の中に放されると何年も何十年もそのままの形で留まり続けます。今の環境を汚染し、私たちが食べる魚にまで蓄積されているダイオキシンをばらまいた犯人の3分の1は、少なくとも農林業で使われていた農薬だったのです。
(つづく)
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