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「派遣切りされるニートは死ねばいい」という心境の背景

2009-01-30 10:10:31 | 自由サロン

 年末年始に東京・日比谷に作られた「派遣村」の問題について、小売業実務で成功している人が、“派遣切りされたから助けてくれとはとんでもない。俺のことなど誰も助けてはくれない。奴らは努力もしないで勝手にニートなんかになったんだから、死ねばいい”と言い切りました。

 私はびっくりして、唖然として聞いているだけでした。私の考えは単純で、「住居を追い出されたら死ぬしかない人々は、同じ人間として気の毒。そんなことをする大メーカーは非人間的だ」と思います。しかし、考えの違う彼と討論しても彼の考えは変わらないと思うので、黙っていました。

 私は、弱者に対する優しい思いをできるだけ多くの人と共有したいと思いますが、それもなかなかむずかしいことなのだと痛感しました。

サルコジ大統領や麻生総理、御手洗会長との共通点

 フランスに暴動が起きた時にサルコジ氏(当時はまだ大統領ではなかったと記憶します)が、「移民のクズどもめ。徹底的に排除する」というような態度を取りました。

 この背景には、サルコジ氏が貧しい移民の息子で、貧乏の中で努力して出世した経緯があります。つまり、「俺のように努力すればいいんだ。努力もしないで甘ったれるな」という心境だと思います。

 前述の実務家(ビジネスマン)も、私はサルコジ氏と同様だと思います。「俺のことなど誰も助けてはくれない」という言葉が、その心情と自負心を示しています。

 それからもう一つ、自分が豊かな生活をしていれば、貧しい人々や苦しんでいる人々の実際は理解しにくいと思います。つまり、「苦しさ」が共感できないと思うのです。

 この点では、数々の迷言を吐いた麻生首相も同じです。そして、自分の会社(キャノン)では派遣切りをしていて、日本経団連の会長をしている御手洗氏も同じだと思います。

 「週間ポスト」2月8日号の「御手洗よ、土光さんが泣いている」という記事が、この辺の事情を的確に説明しています。

 日本経団連の会費収入は年間50億円を超え、総資産は210億円に達する。そんな会館から御手洗氏は、日比谷の「派遣村」を見下ろしていると、書いてあります。

メザシの土光さんが泣いている?

 「週間ポスト」によれば、4代会長の土光敏夫氏は、質素な家に住み、メザシが好物で「メザシの土光さん」と親しまれた。私(会田)は当時、土光さんの奥さんがカレーを作り、「2人しかいないのでこれを1週間食べます」とテレビで聞いたことを覚えています。

 土光・経団連会長は、経済危機と大量失業に直面して、「失業保険の給付期間延長」を実現し、さらに、リストラされた中高年失業者に「休職手帳」を発行し、これによって支援し、雇用した会社への助成金を出した(01年まで)そうです。

 土光氏の真骨頂は、「土光臨調」の会長として、政府の無駄遣いに大鉈を振るったことだそうです。私も、土光氏が当時のテレビに登場したことを思い出します。

 しかし、01年に小泉政権が発足すると、財界は政府と一体になって、米国型経営を推進。経団連は、製造業への派遣労働の解禁や、ホワイトカラーの残業代をゼロにする「ホワイトカラーエグゼンプション」などを、次々に政府に要望したそうです。

 そして、御手洗氏が06年に経団連会長に就任し、「労働ビッグバン」を提案して、非正規労働の拡大に拍車をかける路線を取りました。

 「御手洗さんは23年間も米国で勤務し、株主第一主義のアメリカ型経営に浸かってきた。従業員の雇用確保という発想は望むべくもない。そうした人物が経団連会長に就いたのが、労働者の悲劇の始まりです」(経営評論家・梶原氏)という背景があります。

 私たちは、大不況の中で所得が大幅に減り、将来も不安な状態で、節約が唯一の自己防衛策という大衆なので、いや応なく解雇されたり、住まいを奪われたりする人々の「苦しみ」が、痛いほど共感できます。

 しかし、恵まれた立場や環境にいる人が、私たちと同じように共感することは、非常にむずかしいことなのだと思います。弱者の苦しみを共感できず、むしろ弱者を排除するような人々が社会を支配し続けた時に、フランス革命やロシア革命が起こりました。

 日本が今からそのような革命騒ぎにならないように、支配者層の共感を望みたいです。


1 コメント

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 件の経営者の言う「切られた派遣労働者は死ねば... (ちゃいこ)
2009-01-30 16:54:28
 件の経営者の言う「切られた派遣労働者は死ねばいい」は、確かに暴言で認めることは出来ませんが、派遣労働者にもいろいろな人がいるのも事実でしょう。とりあえず日々の糧を得るなら職はあります。こんな今でも人材が集まらず苦労している業種はいくらでもあります。生活保護申請が急増している中に、働くより楽だという考えが潜んでいないでしょうか。

 今は派切りで大騒ぎしていますが、これから正社員切りがどんどん出てくるでしょう。そして路頭に迷う中小企業経営者も沢山生まれるでしょう。何年続くか分からない苦しい時代が間違いなくやってくるのです。

 弱者にやさしい目を向けるのは大事ですが、実の伴う行動は政府の仕事です。企業経営者がやることではありません。
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