庄野潤三
一家の日常生活やご近所の事、住まいや花や木や小動物のことを題材にした作者の本を40年ほど読み続けている。
この本は多数の彼の著作の中の一冊だ。作者は3人の子の幼年時代から青年時代、そして成年し3人が結婚し、それぞれが子をなして生活していくいく様を、
ずっと書き続けた。40年も読み続けていると ご本人や奥さん子供さんがまるで知り合いの人のように自分の胸の内に住むようになった。
自分の生きてきたこれまでの道筋の中で、どうしようもなく逼塞することが何度かあったが、その時はこの人の著作を読むことでまた歩き出すことがよくあった。
大阪や東京の古本屋まで出版切れになった著作を探し、買い求めたのはこの人だけだった。
この世にたまたま生を受けた人間は常ならぬ世の中で、こうやってその時その時を人と共に生きて行ってもいいのだと、
彼は身をもって体現しているような気がする。そこに魅かれての40年の付き合いかもしれない。
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