goo blog サービス終了のお知らせ 

KB press

釜山お墓参りをパクったブロガーに画像一覧をいたずらされ見られない記事がありますが発見次第修正していますのであしからず。

歩行速度データ活用、認知症判定の簡易化目指す - 東京都健康長寿医療センターと太陽生命が共同研究

2018年11月28日 | 東京都健康長寿医療センター DR

医療介護CBニュース 11/27(火) 20:10





太陽生命保険は、東京都健康長寿医療センターと「認知症予防アプリ」で計測した歩行速度データに基づく共同研究を始めたと発表した。日常の歩行速度の「性別・年齢別基準値」などを明らかにして認知症を含む老年症候群に関する判定の簡易化を目指す。【新井哉】

 同社は2016年10月から、歩行速度を継続的に測定し、認知症やMCI(軽度認知障害)のリスクの予兆が発見された場合、本人や家族に通知するアプリを提供している。

 アプリのダウンロード数は5万件を超えており、蓄積された膨大な歩行速度データを用いて、「日常的歩行速度の『性別・年齢別基準値』および『地域差や季節変動』を明らかにするための共同研究を行う」といった方向性を示している。

 同社は「これらによって、認知症を含む老年症候群の判定が簡易化され、その予防行動を開始するタイミングを計る指標として活用される」と期待している。同センターとの共同研究は21年3月まで行われる予定。

コメント

都民向け講座 第153回老年学・老年医学公開講座

2018年11月23日 | 東京都健康長寿医療センター DR
都民向け講座 第153回老年学・老年医学公開講座
「自分で気付く・家族で守る 認知症と向き合うために」

(東京都健康長寿医療センター主催)



東京都健康長寿医療センターが取り組んでいる最新の治療法や病気の予防法、研究成果を分かりやすく、楽しく知っていただける都民を対象とした講演会を開催します。

今回は、「自分で気付く・家族で守る 認知症と向き合うために」と題して、認知症に対する様々な治療法や付き合い方をわかりやすく解説します。なお、当日の午前中には、ご家庭など日常生活で実践できるお役立ち情報満載の来場者参加型ミニ講座も開催します。皆様お誘いあわせの上、是非お越しください

平成31年1月25日(金曜日)
ミニ講座;大会議室
時間:10時00分から11時00分まで

公開講座:大ホール
時間:13時15分から16時00分まで(開場12時15分)

会場:板橋区立文化会館 東京都板橋区大山東町51-1

アクセス:東武東上線 大山駅北口・南口 徒歩3分 都営三田線 板橋区役所前駅A3出口 徒歩7分

(ミニ講座)
看護師、栄養士などによる講座「おむつの正しい選び方と使い方の実践」、「バランスのよい食事」、お薬・食事に関する相談、パネル展示などを予定

(公開講座)
講演1
「認知症予防の秘訣 日々の生活のなかでできること」 13時30分~14時00分
東京都健康長寿医療センター 糖尿病・代謝・内分泌内科専門部長 田村嘉章

講演2
「あれ?いつもと違う。認知症?」 14時00分~14時30分
東京都健康長寿医療センター 脳卒中科部長 金丸和富

講演3
「家族の介護 認知症と向き合う・周囲に頼る・心の準備を」 14時45分~15時15分
東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム研究員 涌井智子

(司会)東京都健康長寿医療センター 副院長 原田和昌

(参加方法)
ミニ講座:時間内出入自由。時間内に自由にご参加いただけます。
公開講座; 当日先着順(定員1,200名)。手話通訳あります。

※どちらの講座も、事前申し込み不要・入場無料です。

主催:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター
共催:板橋区
後援:東京都

(問い合わせ先)
東京都健康長寿医療センター経営企画局総務課
電話 03-3964-1141


コメント

高血圧防ぐ「DASH食」 野菜や果物、ナッツ多めに

2018年11月21日 | 東京都健康長寿医療センター DR

11/21(水) 10:12 NIKKEI STYLE



高めの血圧が気になるが、減塩はなかなか難しい――。そんな人は、高血圧を予防・改善する「DASH食」を試してはどうだろう。塩分の排出を促して血圧を下げる食事法と、とりたい食品を知っておこう。

DASH食は心筋梗塞などの心疾患で亡くなる人が多い米国で考案された。カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルや食物繊維が豊富な野菜や果物、低脂肪の乳製品などを積極的にとることで、塩分を排出し血圧を抑えるのが特徴だ。

原田和昌副院長



DASHとは「高血圧予防のための食事法」を表す英語の略語。東京都健康長寿医療センター(東京・板橋)循環器内科の原田和昌副院長は「DASH食で血圧を下げる効果が確認されている」と話す。

ミネラルはそれぞれ塩分の排出を促したり、血圧を調整したりする作用を持つ。「他のミネラルや食物繊維と複合的に摂取することで、相乗効果が得られて血圧が下がる」(原田副院長)

塩分の多い食事が続くと、体内の塩分濃度を下げるために血液量が増えて血管壁に圧力がかかり、血圧が上昇する。日本高血圧学会(東京・文京)は1日6グラム未満の塩分摂取量を推奨しているが、厚生労働省の調査によると、日本人の1日の食塩摂取量は平均約10グラム。

管理栄養士として栄養指導に取り組む、臨床栄養実践協会(東京・大田)の足立香代子理事長は「塩分量を厳しく制限する食事法は実行が難しく、ストレスもたまりがち。DASH食は野菜や果物を今より多く食べる方法なので、実践しやすい」と解説する。

積極的にとりたい食品の筆頭は野菜。特にコマツナやホウレンソウ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜からは、ミネラルと食物繊維が同時にとれる。海藻もミネラルや食物繊維が豊富だ。

果物はキウイフルーツやリンゴ、ナシ、カキなどがおすすめ。「バナナはカリウムが豊富だが、繊維が少なくショ糖が多いため、血糖値が上がりやすい」(足立理事長)

アーモンドなどの種実類には、マグネシウムが多く含まれる。マグネシウムはカルシウムと作用して血圧を整える働きを持つ。原田副院長が薦めるのは市販のミックスナッツ。「塩分を加えていない、素焼きのものを選んで」

低脂肪の乳製品では特に「カルシウムやたんぱく質を多く含むギリシャヨーグルトがおすすめ」と足立理事長は話す。
米国のDASH食は、肉や卵など飽和脂肪酸やコレステロールの多い食品を控えるよう勧めている。ただ、「日本人の場合はたんぱく質が不足しがち。高齢者は特に、加齢に伴い心身機能が低下するフレイル(虚弱)などが起こってくるので、減らすことをあまり意識しなくてよい」と足立理事長は助言する。

たんぱく質は筋肉の材料になるほか、血管を丈夫にする働きを持っている。「魚や大豆製品などの良質なたんぱく質をとることで、血圧がむしろ下がりやすくなる」

DASH食は肥満の改善にも有効だという。足立理事長によると「野菜類を多くとるため、ごはんなどの炭水化物の摂取量が抑えられるからだと考えられる」。

食品の組み合わせを調整するだけなので、簡単に始められるが、注意が必要な場合もある。「降圧剤を服用中の人や、腎臓病、糖尿病の人だと、治療に影響することがあるので、主治医に相談してほしい」(原田副院長)

特定の栄養素にこだわるのではなく、血圧上昇を抑える働きを持つ複数の食品を多くとるというDASH食。日々の食生活に取り入れてみよう。
(ライター 田村知子)
[NIKKEIプラス1 2018年11月10日付]

コメント

外出機会や交流が減ると死亡率が2.2倍に 高齢者になる前から地域社会との関わりを

2018年10月26日 | 東京都健康長寿医療センター DR

(10/26(金) 16:56夕刊フジ)【健康寿命UP術】

桜井 良太研究員



 高齢になって外出する機会や人と交流する機会が減ると、死亡率が高くなる-。このショッキングな事実が、今年7月、東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チームの国際雑誌に掲載された論文で明らかになり波紋を広げている。

 (1)同居家族以外とのコミュニケーションが週1回未満で、(2)外出も1日1回未満の「閉じ籠もり」-という高齢者は、そうでない高齢者と比べて、6年後の死亡率が2・2倍も高くなっていた。(1)だけの人や、(2)だけの人よりも、(1)と(2)が合わさることが、死亡リスクを上げていたのである。

 「生存者の割合は、2年後から差が出始め、その差が年を重ねるごとに広がっていました。健康長寿を実現するには、1日1回は外出をして、他者と交流することが重要ということです」

 こう説明するのは、先述の同チーム、桜井良太研究員。さまざまな研究を通して高齢者の健康を後押ししている。

 50代までの人は、高齢者の話は「まだ自分に関係ない」と思いがちだが、2060年には約2・5人に1人が65歳以上の高齢者になると見込まれ、老化は誰もが避けて通れない。働き盛りの世代の中には、「仕事が中心で趣味どころではない」という人もいるだろう。定年退職後に「閉じ籠もり」に陥ってしまう予備軍といっていい。

 「ボランティアや趣味などで、地域社会へ自ら入っていかないと孤立する傾向があります。これは特に男性に多く見られる傾向。地域社会との交流は大切ですし、意識して外出する機会を増やすことを考えていただきたいと思います」

 定年退職後は、週に1~2回、旧友とゴルフに出かける以外、家でテレビを見続け、パソコン操作で時間を過ごす-という生活パターンに陥りがちだ。だが、パソコン操作は頭脳を働かせているように見えて、それだけでは足りないという。

 「脳を活性化するには、他人と対面してのコミュニケーションを持つことが重要なのです。若い頃から趣味やボランティア活動などを行って、人とのコミュニケーションが維持されていると、高齢になっても活動的で健康的な生活を送りやすいと考えられます」

 同チームでは、2004年度からシニア世代による学校支援ボランティア「りぷりんと」を展開している。子供たちへの絵本の読み聞かせを主な活動とし、参加した高齢者は、記憶機能の向上、状況対応能力や知的好奇心の低下の抑制、バランス能力の改善など、さまざまな効果が現れた。

 「高齢者人口が増える中で、元気な高齢者が、助けが必要な高齢者を支えるなど、心身機能に応じた社会参加活動が重要になると思っています。それが結果として心身の健康に好影響をもたらすのです。元気な高齢者が地域の担い手となる多世代共生社会の実現が、必要だと思っています」

 老後は隠居して一人で余生を過ごすというのは昔の話。若いうちからの心がけで健康寿命はどんどん伸びる。(安達純子)

 ■老後を元気に過ごすための心構え

 □中年期から仕事以外の趣味や運動習慣を持つ

 □定年後も元気なうちは、仕事や地域のボランティア活動に取り組む

 □元気な高齢者が子育て支援や病気などで弱った高齢者を支える意識を持つ

 □1日1回は外出する

 □身体活動量が衰えてきたら趣味に取り組む

 □さらに体が衰えてきたら、友人や近所づきあいなどで交流を楽しむ

 □通所サービスが必要になったら元気な高齢者に支えてもらう



コメント

上の血圧が高くても、下が正常値なら大丈夫? 高血圧ギモン解決

2018年09月23日 | 東京都健康長寿医療センター DR

(9/21(金) 16:56 夕刊フジ)


【高血圧ギモン解決】

東京都健康長寿医療センター顧問・桑島巖医師



 Q.上の血圧が高くても、下が正常値なら大丈夫?

 A.上下の差が大きいと動脈硬化進行の可能性高いので、血圧コントロールを

 家庭での血圧測定では、上の血圧(収縮期血圧)が135以上(単位mmHg)、または下の血圧(拡張期血圧)が85以上で、高血圧とされる。両方とも高ければ高血圧は明らかだが、上の血圧が150以上でも、下の血圧が70程度と正常域のことがある。上の血圧が高くても、下が正常値なら大丈夫なのか?

 「動脈硬化が進むと上の血圧と下の血圧の差が大きくなります。下の血圧は正常値に見えますが、大動脈の動脈硬化が進んだ結果であり、血圧コントロールをきちんと取り組むことが重要です」

 こう回答するのは、東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巖医師。長年、高血圧の診断と治療を行っている。

 大動脈とは、心臓から全身に血液を送る最も太い、要の血管のこと。心臓が収縮して血液を大動脈に送り出すと、血液の一部は大動脈の壁が膨らんで留まる。一気に心臓の血液が全身に流れるわけではないのだ。

 心臓が拡張し出口の弁が閉じて血流が止まったときに、大動脈の壁は収縮し溜(た)まった血液を押し出す仕組みがある。心臓の収縮期に流れ出す血液の圧力が、「上の血圧」として測定され、心臓の拡張期に大動脈によって押し出される血液の圧力が「下の血圧」になる。

 「大動脈は、いわばフイゴのような働きをして、血液を押し出しています。大動脈が変性して動脈硬化が進むと、血液をためることも、フイゴのように押し出すこともできなくなり、下の血圧は下がるのです」

 大動脈の動脈硬化が進むと、心臓からの血流は大動脈に溜まることなくストレートに強く押し出され、上の血圧は上がることになる。上の血圧は高く、下の血圧が低いのは大動脈の動脈硬化の結果であり、健康とはいえないどころか危険のサインだ。

 「この状態の人は、心臓の動きで血圧の乱高下を起こしやすいのが特徴です。少し走っただけで血圧が上がり、休んで深呼吸をすると血圧は下がる。外気温にも左右されやすいため注意が必要です」

 心臓の動きは、自律神経の働きに影響される。自律神経は交感神経と副交感神経で成り立ち、少し走って心拍が上がるのは、交感神経が優位になっているためだ。交感神経は、カーッと怒ったときや強いストレスを感じたときに優位になる。

 暖かい室内から急に寒い場所へ移動したときも、交感神経の働きで血圧は急上昇する。それが、血管にダメージを与え、心筋梗塞や脳卒中につながり、さらに、大動脈の異常は、大動脈瘤破裂などで突然死の引き金になってしまう。

 「高齢になると血圧の上下差に加え、乱高下も起きやすいため、食生活の見直しや高血圧治療薬で、日頃からしっかり血圧管理を心掛けるようにしてください」

コメント

あなたの「舌」は大丈夫?100歳まで生きるための舌トレーニング

2018年09月19日 | 東京都健康長寿医療センター DR

(9/19(水) 9:00 サライ.jp)


  「錠剤が飲みづらい」、「唾液を飲み込むときにせき込むことがある」、「しゃべっていると人に何度も聞き返される」など、口に関係した不調が気になっていないだろうか?

こうした不調は、一見ささいなことに思えるが、「危険な老化のサイン」だと指摘するのは、
東京都健康長寿医療センターの歯科口腔外科部長
平野浩彦医師



老年歯科学を専門とする平野医師は、著書の『フレイルの専門医が教える 舌を鍛えると長生きできる!』(PHPエディターズ・グループ)のなかで、上記のような不調を「オーラルフレイル」と呼んでいる。

平野医師によれば、オーラルフレイルの人は、そうでない人に比べて、「身体的フレイルになる人が2.4倍、筋肉量や筋力が低下するサルコペニアは2.1倍、要介護認定になる人も2.4倍で、総死亡リスクも2.1倍」になるという。

そもそもフレイルとは、「高齢期になり、心身の機能や活力が衰え、虚弱になった状態」を意味し、国内に少なくとも250万人はいるとみられている。

フレイルが本当にこわいのは、風邪や転倒などちょっとしたトラブルがきっかけで、寝たきりへと移行するリスクがあること。そして、平野医師は、オーラルフレイル(口の虚弱)は、全身的なフレイルの始まりであると警告する。

同時に、オーラルフレイルは「改善できる」とも本書で説かれており、そのための様々なメソッド―衰えた舌を鍛えるのがメインで「舌トレ」と呼んでいる―が掲載されている


今回は、舌トレの中から、簡単ですぐできる方法を2つ紹介しよう。

■「あー」「んー」体操(舌筋・咬筋、側頭筋を鍛える)

1. ゆっくり大きく口を開けて「あー」と声を出す。

奥歯を噛みしめ、「んー」


2. しっかり口を閉じて口の両側に力を入れながら舌を上あごに押しつけるようにして奥歯を噛みしめ、「んー」と声を出す。

3. それに抵抗するように、舌の頬の内側にゆっくり10回押しつける。

本書では舌トレのほかに、典型的な早口言葉を難易度を上げながらしゃべる、一定のルールにしたがいガムを噛む、1日10種類の食品を食べるなどのトレーニングもあり、やれることから随時実行に移すことで、オーラルフレイルの改善がはかれるようになっている。

平野医師は、「これからの時代は『100歳まで生きる』のがあたりまえ」になると予測。元気に長寿をまっとうするには、舌や口のケアも大事だと力説している。どのセルフケアも容易なので、人生100歳時代を見据えて習慣づけておくとよいだろう。


【今日の健康に良い1冊】
『フレイルの専門医が教える 舌を鍛えると長生きできる!』

(平野浩彦著、本体1,200円+税、PHPエディターズ・グループ)

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。

コメント

高血圧ギモン解決】なぜ夜間に血圧が上昇するのか? 就寝中は安静状態なのに

2018年09月11日 | 東京都健康長寿医療センター DR

東京都健康長寿医療センター
原田和昌副院長




 Q.なぜ夜間に血圧が上昇するのか?

 A.脳を守る血圧調整機能が低下しているから

 寝ている間に血圧が高いままの夜間高血圧は、そうでない人と比べて脳・心血管死亡リスクが上昇するとの疫学調査結果がある。

 その指標となるのが、朝起きて家庭血圧測定を行ったときに、135/85(単位・mmHg)以上の高血圧。本来、血圧は日中に上昇して夜間は低くなる仕組みがあるが、寝ている間にも血圧が上昇してしまう人がいる。就寝中は安静状態なのに、なぜ血圧が上昇するのか。

 「人間は立った状態で、心臓より上部に位置する脳へ血液を送り出すために血圧を調整する仕組みがあります。夜間に横になると、心臓と脳の位置が水平になるため、血圧を下げて脳への圧力を抑制するのです。しかし、夜間高血圧の人はその機能が落ちているのです」


 こう話すのは、東京都健康長寿医療センター循環器内科の原田和昌副院長。日本高血圧学会評議員を務め、長年、高血圧の診断・治療を行っている。

 日中130程度の血圧でも、脳への圧力はそれより低いという。布団に入って寝ると心臓と脳の位置が水平になるので、首の血管で血圧を調節する機能が働き、血圧を下げて脳への圧力を抑制する。血圧による影響を受けることなく脳は守られ、心臓も血圧が下がるので休むことができる。

ところが、首の血管の調整機能が低下すると、寝ているときにも血圧は下がらず、脳は高い血圧の影響をダイレクトに受け、心臓も休めなくなってしまう。結果として、脳卒中や心筋梗塞などにつながるのだ。

 「首の血管で血圧を調整する部位を『圧受容器(あつじゅようき)』といいます。年を取るだけでも機能は落ちますが、それに拍車をかけるのが塩分のとり過ぎです」

 塩分をたくさんとると、主成分のナトリウム濃度を体内で一定に保つため、血液の量が増えて、血管壁に圧力がかかって高血圧につながる。一方、体内で多すぎるナトリウムは、腎臓が排出するが、夜間はその機能が落ちる。ナトリウム濃度が高い状態が続き、血圧が上昇し続けると、腎臓に負荷がかかってナトリウムを排出する機能が低下するのだ。

 「高血圧で動脈硬化が進むことで、圧受容器の働きは落ちます。結果として、寝ている間中ずっと血圧が高い状態が続くことになるのです。それを防ぐためには、塩分のとり過ぎに注意していただきたい」

 加齢に伴う機能低下は抗いにくいが、塩分調節は自ら行うことが可能だ。夜間の高血圧を防ぐことを考えたときには、夜の飲食がキーポイントとなる。飲んだ後の〆のラーメンのスープを飲み干すのを止めるなど、夕食だけ塩分を減らすようにするのはどうか。

 「1日の塩分摂取量で体は反応します。高血圧症と診断された人は、1日6グラム未満、健康な人は1日8グラム未満を目指しましょう」

 グッスリ眠って血圧を下げるには、日中の塩分量を意識することが大切なのだ

コメント

ウオーキングと筋トレ、どちらが効果的? 高血圧ギモン解決

2018年08月28日 | 東京都健康長寿医療センター DR

(8/28(火) 16:56 夕刊フジ)

【高血圧ギモン解決】東京都健康長寿医療センター
桑島 巖医師



 Q.ウオーキングと筋トレ、どちらが効果的?

 A.ゆっくり歩く有酸素運動が改善促す 

 内臓脂肪がつきお腹がポッコリした肥満の人には、筋肉を強くして引き締まった身体になるため、筋トレが勧められるのが一般的だ。「駅から自宅まで歩くのがつらい」という人の中には、自宅でスクワットにチャレンジする人もいる。ところが、頑張って筋トレをしているうちに、顔が赤らみ心拍数が上がり、「もうダメ…」ということも。日頃から高血圧の人が急激に運動を始めるのは危険が伴う。では、筋トレよりもウオーキングの方がよいのだろうか。

 「中高年で肥満の人は、血管が硬くなった動脈硬化が進んでいます。このような方が、いきなり無酸素運動の筋トレを行うと、筋肉が血管を締め付けて血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めます。ウオーキングなどの有酸素運動をゆっくり始めた方が、減量や高血圧の改善に役立つといえます」

 こう話すのは東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巖医師。『血圧が下がる本』(同文書院)などの著者で、長年、高血圧の診断と治療を行っている。

 有酸素運動は、体内に取り込んだ酸素を使用して、脂肪などをエネルギーに変える全身運動。血液中のコレステロールを燃焼し、血管を拡張させて血流をよくして血圧を下げ、心肺機能も上がるなど、有酸素運動のさまざまな健康効果が報告されている。一方、筋トレのような無酸素運動では、酸素を使わずに筋肉のエネルギーによって身体を動かす。筋肉は鍛えられるものの、心拍数や血圧が上がりやすい。

 「高血圧で動脈硬化が進んだ人が、無酸素運動で気張ると急激な血圧上昇につながります。運動習慣のない人が、いきなり無酸素運動を行うのは、とても危険な行為です。有酸素運動から始めるようにしましょう」

 血圧を改善する運動習慣としては、1回10分以上の運動を合計して毎日30分以上することが勧められている。桑島医師によれば、高血圧で肥満の人は、まずは1日合計30分、ゆっくり歩くことからスタート。この運動で「全く疲れを感じない」状態であれば、合計30分を40分へと延ばす。少しずつ時間を延ばしていくのがコツ。ウオーキングが1時間程度、無理なく行えるようになったならば、水泳や軽いジョギングにチャレンジする。ただし、少しハードな運動を取り入れるときには、事前にかかりつけ医に相談を。

 「息が苦しいなど、ちょっと具合が悪いと感じたらすぐに止めることも大切です。また、気温が高い時期に、屋外でウオーキングなどをするときには、水分をこまめに補給して熱中症にも注意してください」

 高血圧と肥満を改善するには運動は欠かせないが、それぞれの身体状態に合わせて行うことが大切だ。

コメント

中年期も危ない「フレイル」 バランス食&運動習慣で予防を

2018年08月28日 | 東京都健康長寿医療センター DR


(8/28(火) 16:56 夕刊フジ)

東京都健康長寿医療センター 
荒木厚内科総括部長



 【健康寿命UP術】

 年を重ねて生活習慣による高血糖を放置していると、心筋梗塞や脳卒中、認知症のリスクが高まる。さらには、心身機能の低下によって寝たきりにつながる「フレイル」(=体が虚弱な状態)にも陥りやすい。

 厚労省は、2016年度からフレイル対策を実施している。フレイルは高齢者に起こりやすいため、「自分にはまだ関係ない」と思われがちだが、中年期からもフレイルになる人がいる。

 「糖尿病は老化を進めるので、フレイルとの関係が深いといえます。高血糖状態の放置は、筋肉が減ることで、容易にフレイルにつながるのです」

 こう警鐘を鳴らすのは、東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科の荒木厚内科総括部長。2015年、同センターの糖尿病や高血圧受診者向けに、フレイル外来を開設している。

 フレイルは、(1)筋肉量の減少など身体的な機能低下、(2)もの忘れやうつなど精神的な機能低下、(3)外出しないなどの社会的な機能の低下-の3つから成り立つ。

 中年期でも、筋力が衰えて体力がなく疲れやすいと、休日は家でゴロゴロとしてしまいがちだ。放置していると、何をするのも、おっくうになってやる気も起きない→やがて出勤するのもつらくなる→筋力低下などに拍車がかかり、家の中で転倒骨折-という悪循環に陥る。中年期でもフレイルは起こりえるのだ。

 「中年期からバランスのよい食事と運動習慣を取り入れることが、フレイル予防として重要です。特に動物性脂肪の割合が多いと内臓脂肪がたまり、糖尿病にもなりやすく、野菜不足でビタミンやミネラルが少ないと、低栄養でフレイルになりやすい。緑黄色野菜を十分に摂り、タンパク質(肉類、魚類、豆類)や炭水化物(穀類など)も含むバランスのよい食事を適量食べるように心掛けてください」

 フレイルは、カロテノイド(ビタミンA)やビタミンB群などの摂取不足が関係し、高齢の糖尿病患者では、同様にビタミンAやビタミンB群が含まれる緑黄色野菜の摂取不足で認知機能低下のリスクも高くなるという。さらに、カルシウム吸収に関わるビタミンDの不足で、筋力低下のサルコペニアにも陥り、フレイルに拍車をかけるそうだ。

 「近年、高齢の方の糖尿病患者は増え、それにも栄養バランスの偏りが関係しています」

 厚労省の2016年「国民健康・栄養調査」によれば、糖尿病が強く疑われる男性の割合は16・3%だが、60代以降は20%以上と右肩上がり。糖尿病はフレイルにもつながるだけに、中年期からのバランスのよい食事習慣を身につけておくことがなにより重要だ。

 「健康的にいつまでも元気で過ごすには、高齢期を迎える以前からの生活習慣の見直しが大切です。食事も運動も、将来の健康のために今から改善に取り組んでいただきたいと思います」

 中年からのフレイル予防は、健康寿命を伸ばすための生活の礎だ。(安達純子)

 ■中年期から始めるフレイル予防6か条

 (1)緑黄色野菜、タンパク質(肉類、魚類、豆類、乳製品など)、炭水化物(ご飯などの穀類)をバランスよく食べる

 (2)1日3食を食べ過ぎない(1人分にとどめる)

 (3)間食習慣は止める

 (4)1日30分以上速歩きする

 (5)週に2回は、筋トレなどを行う(ジムなどでトレーナーの指導を受け、ケガをしないように)

 (6)生活習慣病を放置しない。医療機関を受診する

コメント

歩幅が狭い人は広い人より認知機能リスクが2.8倍高い

2018年08月26日 | 東京都健康長寿医療センター DR

(8/26(日) 16:00 NEWS ポストセブン)

東京都健康長寿医療センター研究所
谷口 優氏



いつまでも若々しいことで知られる小泉純一郎元首相(76)と加山雄三(81)には、速歩きであることに加えてもうひとつ「大股歩き」という共通点がある。速歩きこそ健康に直結し、心臓病や認知症の発症リスクも低下させることが研究で示されているが、大股歩きも、脳の機能との関係がわかってきている。
.
東京都健康長寿医療センター研究所の谷口優氏らが行なった、群馬県内の特定健診受診者1686人を対象とした調査では、「歩幅が狭いグループ」は「歩幅が広いグループ」より、認知機能の低下が生じるリスクが2.8倍高かった。
.
「歩幅が狭くなることで、歩く速度が落ちたり足の裏への刺激が減るなど様々な変化がおき、脳に与えられる刺激が少なくなることで、認知機能の低下が進行してしまったと推測されます」(谷口氏)
.
 ただし、あまり大股になると、腰が大きく捻じれて腰や股関節、膝などを痛める原因となる。
.
 適切な歩幅の目安は「横断歩道の白線」だ。
.
「白線の幅は約45センチ。つま先が白線にかかり、次の一歩のかかとが白線を超えれば歩幅がおよそ65センチになります。歩く際はこの歩幅を意識してください」(谷口氏)
.
※週刊ポスト2018年8月31日号


コメント

寿命を延ばすには夕方スニーカーで歩こう 1日1万歩は多過ぎ

2018年08月22日 | 東京都健康長寿医療センター DR


(8/21(火) 16:00 NEWS ポストセブン)

東京都健康長寿医療センター研究所
谷口 優氏




健康のためには、ふだん意識していない「日常動作」にこそ秘訣がある。たとえば、歩き方の意識を少し変えるだけで、様々な健康リスクが軽減される。たとえば、ちょっと出掛けるくらいなら靴ではなくサンダルを履く人も多いはず。だがサンダル歩きは、健康には逆効果だという。東京都健康長寿医療センター研究所の谷口優氏が解説する。
.

「人間が歩く時は、まず足裏のかかとで地面をとらえて、それからつま先の親指に向けて体重を移行します。
.

 かかとが固定されていないサンダルでは、最初に地面に接してからつま先までうまく体重を運ぶことができず、足首の関節や膝に負担がかかり、膝痛などの原因になります」
.

 ただし、かかとが覆われている靴を履けばいいわけではない。
.

「革靴は靴底が硬く、歩いた衝撃を吸収できず膝がダメージを受ける。靴底が柔らかく衝撃を受け止める、スニーカーならこのリスクを防ぐことができます。屋内なら、スリッパよりも裸足のほうが転倒リスクを減らせるでしょう」(谷口氏)
.

◆ウォーキングは「朝」より「夕方」
.

 暑い時期は熱中症予防のため日中を避けて運動している人もいるだろう。実は、ウォーキングを「朝」にするか「夕」にするかでは大きな違いが出てくる。
.

 健康にとってベストな時間帯は「夕方」だ。総合内科専門医で『長生きするのはどっち?』の著者である秋津壽男医師の話。
.

「人は体温が下がる時に寝付きがよくなるといわれています。そのため、夕方にウォーキングして体温を上げれば、夜に向けてゆるやかに体温が下がり、スムーズに眠りにつくことができます」
.

 一方で「朝」には大きな落とし穴があるという。
.

「人間は就寝中に体温調整のために大量の汗をかくため、起床直後は体内の水分量が少なくなり血液もドロドロになる。この状態で運動を始めると、心疾患や脳卒中のリスクが高まるといわれています」(同前)
.

◆「1日1万歩」は歩き過ぎ
.

 健康を維持するための目標となる歩数としてよく言われるのが「1日1万歩」だ。だが大規模研究でその効果は否定されている。


東京都健康長寿医療センター研究所が65歳以上の日本人5000人に対して行なった17年間の追跡調査では、1日8000歩が健康効果の最大値で、それ以上歩いても健康増進や病気予防にはほとんど効果がなかった。
.

 それどころか、過度のウォーキングは膝や腰などの関節痛をもたらした。膝の軟骨がすり減り、人工関節手術を受けざるを得なくなったケースもあった。こうした事例を踏まえて谷口氏が指摘する。
.

「過度のウォーキングはかえって健康を損ねる怖れがあります。運動習慣のない65~74歳は1日7000歩、75歳以上は1日5000歩が目安です」
.

 陽が傾いて涼しくなった夕刻に、ぜひウォーキングの実践を。
.

※週刊ポスト2018年8月31日号

コメント

「フレイル」を阻止せよ! 筋肉量の低下と糖尿病の見逃せない関係

2018年08月09日 | 東京都健康長寿医療センター DR


8/8(水) 16:56 夕刊フジ

東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科
荒木厚内科統括部長

   

      

 【健康寿命UP術】

 国内で予備群も含めて約2000万人と推計される糖尿病。高血糖状態が続くことで血管などに悪影響を及ぼし、腎不全や心筋梗塞、脳卒中といった命に関わる合併症であることはよく知られている。近年、高齢者の「フレイル」に関係が深いことも明らかになってきた。フレイルとは、加齢によって運動機能や認知機能などの予備能力が低下し、要介護状態や死亡に至りやすい状態のことだ。

 「血糖値検査のヘモグロビンA1c(HbA1c/正常値は6%未満)の値が8%を超えると、フレイルになりやすく転倒や骨折による入院患者が増加することは、米国の疫学調査で報告されています。高血糖状態を放置することが、健康寿命を縮めるのです」

 こう話すのは、東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科の荒木厚内科統括部長。長年、高齢者の糖尿病の診療と研究を行い、2015年には同センター受診者向けにフレイル外来も開設した。

 糖尿病とフレイルの関係については、世界的に研究が進んでいる。英国の疫学研究報告によれば、糖尿病の人はそうでない人と比べて死亡リスクは1・4倍、フレイルを合併していると2・7倍にも跳ね上がった。

 「フレイルは、中年期でも起こります。内臓に脂肪が溜まった肥満の人は、内臓脂肪によって糖尿病になりやすく、筋肉量が低下することでさらに糖尿病の後押しをします。筋肉量が低下したサルコペニアと呼ばれる状態を招き、身体活動量が減ることでフレイルにつながるのです」

 内臓脂肪が多く筋肉量が少ないと、血糖値をコントロールするインスリン(ホルモンの一種)の効きが悪くなり、分泌量も減ることで高血糖につながる。インスリンの効きが悪いと、筋肉の細胞は必要なタンパク質を合成できないので、筋肉量は落ちていく。肥満→糖尿病→サルコペニア→フレイル→糖尿病の悪化。この悪循環は断ち切らなければならない。

 「生活習慣病による糖尿病は、医療機関でご自身の状態を把握した上で、食生活の改善と運動療法が不可欠です。また、ご高齢の方は、フレイルチェック(別項)も行い、要介護状態に至らないように医療機関などに相談していただきたいと思います」

 国内の疫学調査では、糖尿病の人は認知症の発症率が、そうでない人と比べて高いと報告されている。高血糖を改善することは、心筋梗塞や脳卒中の死亡リスクを下げると同時に、フレイルや認知症予防にもつながる。

 「フレイルは、単に身体的な機能の低下にとどまりません。認知機能の低下や鬱など、精神的な機能も低下させます。心身機能が低下することで社会活動も損なわれ、総合的な機能低下につながるのです。それを防ぎ、改善することを心掛けていただきたい」

 健康寿命を縮める高血糖予防では、食べ過ぎない、食事を偏らせない、適度な運動習慣も忘れずに。(安達純子)

 ■「フレイル」をチェックしよう   

 □ダイエットをしていないのに体重が減った

 □疲れやすい

 □握力が低下した

 □体力がなく動くのがおっくうと感じる

 □歩行速度が遅くなった

 ※3つ以上当てはまると「フレイル」の可能性が大。老年病科を扱う医療機関へ相談を

コメント

高血圧薬をやめるタイミングはいつ? 医師「夏場は絶好のチャンス」

2018年07月27日 | 東京都健康長寿医療センター DR

(7/26(木) 16:56 夕刊フジ)【高血圧ギモン解決】
 

東京都健康長寿医療センター
桑島巖医師



 Q.高血圧薬をやめるタイミングはいつ?

 A.夏場は絶好機!食生活の見直しに励むことで薬をやめることは可能

 一般に高血圧の改善では、食生活の見直しが基本といわれる。さらに、診察室の血圧測定で160/100(単位・mmHg)以上が続くと、高血圧の治療薬を処方される。「薬を飲み続けるのは嫌だ」と一念発起し、減塩などの食事の見直しや適度な運動に励み、薬を飲みつつ家庭血圧測定で135/85未満に到達したとしよう。では、血圧が下がったときに薬をやめるタイミングはいつなのか。

 「夏場は薬の減量や、やめる絶好のチャンスといえます。気温の上昇とともに血管が拡張して血圧は下がりやすくなるからです。減塩などの食生活の見直しに励むことで、薬の量を減らし、やめることも可能になります」

 こう話すのは、東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巖医師。これまで5万人もの高血圧患者を治療している。

 「薬を飲んで血圧が下がって単にやめるという話ではありません。血圧が安定的に下がったらやめるという話です。それには、朝晩の家庭血圧測定が欠かせません」

 家庭血圧測定で、冬場は135/85程度が、夏場に110/70程度にまで下降。このような場合には、医師の指導のもとに、3つ飲んでいた薬をひとつ減らして翌日以降の様子を見る。当然のことながら、血圧が上昇して135/85以上になったら薬を3つに戻す。しかし、110/70程度を維持できるようであれば、1週間後にはさらにひとつ薬を減らす。1週間後には1錠の薬を半分にして、それでも血圧が上昇しなければ薬を止めてみる。

 このように血圧状態を把握しながら、血圧の薬を減量し、やめることが重要になる。もちろん、どの薬を減らすかなど、自己判断は難しいのでかかりつけ医に相談しつつ行うことが大切だ。

 「2型糖尿病や脂質異常症などを併せ持っている人では、安易に高血圧の薬を中止することは危険ですが、他の合併症がなく高血圧だけという人では、食生活を見直すなどで薬を減らしたりやめたりすることは可能です。そのチャンスが夏場と捉えていただきたいと思います」

 2型糖尿病や脂質異常症は、血圧を上昇させて動脈硬化も促進させる。いずれの薬も服用して、肥満を抱えたメタボリックシンドロームの人は、血圧の改善のみならず全体的な改善が必要となる。生活習慣病と呼ばれるだけに、食生活をきっちり見直せば、体調が改善し、総合的に薬を減らすことも夢ではない。

 「ひとりひとり身体状態は異なりますので、その人に合わせた適切な薬の使用が重要になります。いわば、薬のダイバーシティー(多様性)。今後、それを推進していくことが必要だと思っています」と桑島医師は話す。

コメント

運動は骨・筋肉、そして脳にも効く

2018年07月17日 | 東京都健康長寿医療センター DR

(7/17(火) 5:00 日経ウーマンオンライン(日経ヘルス))


医療技術や栄養学の進歩などによって、人生100年という時代がやってくると話題になっています。課題は、お金、仕事、健康。そのうち、日経ヘルスでは、女性の健康面に絞って、今からどういった考え方で、何をすべきかという“健康戦略”についてまとめました。

 「単に長生きはしたくない。でも、“元気で”長生きしたいというのが多くの人の本音だ」と東京都健康長寿医療センターの大渕修一さんは話す。

 不慮の事故、深刻な病気など、私たちには対策しようのない出来事は起こってしまう。その一方で研究や調査により、女性が長く“元気で”いるために必要な対策も明らかになりつつある。

 女性の100年、取材をもとに最低限どんな対策をすべきか年代ごとにまとめたのが上表だ。閉経までは、PMS(月経前症候群)や子宮内膜症など、月経にまつわる不調や疾患に悩まされる人が多いが、閉経を境に女性ホルモンが減ると、骨は弱くなり、血管は硬くなる。筋肉も加齢とともに減っていく。骨、筋肉、血管。女性の人生100年時代には、これらのケアが重要になる

●50代以降は食事より運動 運動は骨・筋肉、脳にも効く!

 上記でも解説したように、最も大切なのは、運動だ。関節を守ったり、骨粗鬆症対策として重要なのはいうまでもないが、運動は認知機能の低下も防ぐ。

 大渕さんは「認知機能低下の予防に有効な方法として、食事、運動、知的刺激の3つが、観察研究によって示されているが、介入研究によって効果が確実とされているのは運動だけだ」と解説する。

 では、どんな運動をどのくらい行ったらいいのか、大渕さんは「筋トレでも有酸素運動でもいい。鍛えることが大切だ。ただ、若いときは違う。いきなり激しい運動をしてケガをしては元も子もない。自分のレベルを知り、筋肉がハリを感じる程度に筋肉を少しいじめるぐらいの強さが大切だ」という。

 ただ、その際、「筋肉に効いているか骨に効いているかを意識してほしい」と話す。筋トレはゆっくりとした運動10回を1セットとして3セットくらい、骨トレでは衝撃を感じる運動を1日50回くらいが目安だという。

 例えば、「階段の上り」。階段をゆっくり上ると、太ももやふくらはぎに負荷がかかる“筋トレ”になる。一方、「階段の下り」。速くリズミカルに下りると、このとき足から背中の骨を通って頭の先まで軽い衝撃が伝わる。これが“骨トレ”になる。

 一方、「食事は気をつける必要がないの?」と思う人も多いだろう。大渕さんは「もちろんバランスがよい食事は大切。だが、50代以降は食事を減らすダイエットは再考してほしい。高齢者で問題となる低栄養につながりかねない」と話す。

◆運動習慣はこんなにいい

● 筋肉・骨を鍛え寝たきりを予防
● 関節をサポートして痛みを予防
● 血糖を調節、糖尿病を予防
● 内臓脂肪を減らす
● 脳神経を刺激し、認知症を予防
● 血中脂質を改善、動脈硬化を予防

やはり足腰! 歩く速さは健康寿命に関係体の機能のどのような変化が要介護と結びついているか大渕さんが調査したところ、関係が深かったのは「歩く速さ」「片足立ち」だった。足腰が大切というゆえんだ。

この人に聞きました



大渕修一さん
東京都健康長寿医療センター
高齢者健康増進事業支援室研究部長医学博士
国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院卒業。米国ジョージア州立大学大学院保健学研究科修了。

毎年、板橋区の約1000人の高齢者を調査。
「女性は尿もれがあると、外出しなくなり、足腰にも影響する」。

コメント

乱れた生活習慣…血糖値が高めの状態を放置すると? 脳・心血管病リスクも

2018年05月19日 | 東京都健康長寿医療センター DR

(5/18(金) 16:56夕刊フジ)


【高血圧ギモン解決】


東京都健康長寿医療センター顧問・桑島巖医師



 Q.血糖値が高めの状態を放置すると?

 A.過剰なインスリン分泌で血圧上昇、脳・心血管病リスクも

 年を重ねると健診数値は高くなりがちだ。食生活の乱れで空腹時血糖が126mg/dl以上になると、2型糖尿病の疑いが強いが、110mg/dl以上は「境界型」といわれている。この少し高めの血糖値を放置すると、2型糖尿病につながるのはもとより、高血圧の道へとつながっていくという。

 ではなぜ、乱れた生活習慣による血糖値高めを放置すると、血圧も上昇するのか。

 「生活習慣で血糖値が高い場合は、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンが過剰に分泌されます。インスリンには交感神経を刺激する作用などがあるため、インスリンが過剰の状態では血圧も上昇しやすくなるのです」

 こう話すのは、東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巖医師。『血圧が下がる本』(同文書院)などの著者で、長年、高血圧の診断と治療に尽力してきた。

 ご飯などを食べると体内で分解・吸収された糖質により血糖値は上がる。これを正常値に戻すのが、膵臓から分泌されるインスリンだ。

 インスリンが分泌されることで、細胞が糖質を取り込んで血糖値は下がる。ところが、食生活が乱れていると、インスリンが分泌されても血糖値は下がりにくくなる。これを「インスリン抵抗性」という。血糖値を下げようとして、さらにインスリンの分泌量が増え、結果として交感神経が刺激され続けて、高血圧に結びつくのだ。

 「過剰なインスリンによって、腎臓の周りの自律神経に悪影響を与えることで、さらに血圧は上昇しやすくなります。また、2型糖尿病は食事などの生活習慣によって生じるため、高血圧と合わさることで、脳卒中や心筋梗塞のリスクが一気に上昇するのです」

 この状態に拍車をかけるのが肥満だ。内臓に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満になると、その脂肪から分泌される成分によりインスリン抵抗性が増し、脂肪で血管が圧迫されることでも血圧上昇につながってしまう。

 「血糖値が少し高い段階であれば、食べ過ぎを控えて腹八分目にして、運動量を増やすことで改善は可能です。放置してはいけません」

 健診で「境界型」の数値が出たら、そこで食生活と運動習慣を見直すことが肝心だ。2型糖尿病も高血圧も同時に防ぐことになるからだ。もちろん、検診の空腹時血糖値126mg/dl以上で2型糖尿病の疑いが強い人は、医療機関できちんと検査を受けることが肝要である。

 「生活習慣病は自覚して改善しないと、加齢とともにどんどん進行します。少し高いぐらいは大丈夫と安心していると、生活習慣病による連鎖が起こるのです。境界型の段階で、食生活の見直しをしっかり行いましょう」と桑島医師はアドバイスする。(取材・安達純子)




コメント