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帯とけの枕草子〔二百三十八〕ないがしろなる物
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子〔二百三十八〕ないがしろなる物
文の清げな姿
無造作なもの、女官たちの髪あげ姿。唐絵の革帯の後ろ。聖の振る舞い。
原文
ないがしろなる物、女官どものかみあげすがた。からゑのかはのおびのうしろ。ひじりのふるまひ。
心におかしきところ
少しみだれているもの、女官たちの髪あげ姿。唐絵の革帯の後ろ。酒に酔った人の振る舞い。
言の戯れと言の心
「ないがしろ…無造作…機能最優先の…うちとけている…衒いなど(良く見せようという気持)無いに等しい…人目を気にしない」「髪あげ…働きやすように無造作に上げた髪型…少し乱れ髪」「唐絵の帯の後ろ…無造作に描かれてある…しどけなく解けかけている」「ひじりの振る舞い…大徳の僧のなさること…(作法の通り進行する)振る舞い…(ひじりは酒の別名)酒に酔った人の振る舞い」。
聖が酒の別名である歌を聞きましょう。
万葉集 巻第三、「太宰帥大伴卿讃酒歌十三首」より
酒の名を聖と仰せし古の 大き聖の言のよろしさ
(酒の名を聖と仰せられた古の大徳の人の言葉の、よろしいさま)。
「よろしさ…わるくないことよ…まずまずだことよ…適当であることよ」「さ…接尾語…形容詞に付いて名詞として状態などを表わす…感動を表わす」。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。