帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二百三十八〕ないがしろなる物

2011-11-26 00:15:32 | 古典

  



                      帯とけの枕草子〔二百三十八〕ないがしろなる物



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。

 

 清少納言枕草子〔二百三十八〕ないがしろなる物

 
 文の清げな姿

 無造作なもの、女官たちの髪あげ姿。唐絵の革帯の後ろ。聖の振る舞い。


 原文

ないがしろなる物、女官どものかみあげすがた。からゑのかはのおびのうしろ。ひじりのふるまひ。


 心におかしきところ

少しみだれているもの、女官たちの髪あげ姿。唐絵の革帯の後ろ。酒に酔った人の振る舞い。



 言の戯れと言の心 

  「ないがしろ…無造作…機能最優先の…うちとけている…衒いなど(良く見せようという気持)無いに等しい…人目を気にしない」「髪あげ…働きやすように無造作に上げた髪型…少し乱れ髪」「唐絵の帯の後ろ…無造作に描かれてある…しどけなく解けかけている」「ひじりの振る舞い…大徳の僧のなさること…(作法の通り進行する)振る舞い…(ひじりは酒の別名)酒に酔った人の振る舞い」。



  聖が酒の別名である歌を聞きましょう。
  万葉集 巻第三、「太宰帥大伴卿讃酒歌十三首」より
  酒の名を聖と仰せし古の 大き聖の言のよろしさ

(酒の名を聖と仰せられた古の大徳の人の言葉の、よろしいさま)。

  「よろしさ…わるくないことよ…まずまずだことよ…適当であることよ」「さ…接尾語…形容詞に付いて名詞として状態などを表わす…感動を表わす」。


 伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)

 
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。