帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二百七十二〕日のうらうらとある昼つかた

2012-01-06 00:09:45 | 古典

  



                                           帯とけの枕草子〔二百七十二〕日のうらうらとある昼つかた



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。



 清少納言枕草子〔二百七十二〕日のうらうらとあるひるつかた


 日のうららかな昼ごろ、また、たいそう夜更けて、ねのときなど(子の時刻…夜十二時ごろ…寝のとき)と言うほどにもなったでしょうから、おやすみになられたでしょうなどと、思っておりますときに、「男ども(誰か)」と、(主上が)お召しになっているのこそ、いとめでたけれ(たいそう愛でたいことよ・大事な執務など終えられたのでしょうか)。
 夜中ばかりに御ふゑのこゑきこえたる又いとめでたし(夜中ごろ御笛の音きこえているのもまたとっても愛でたい…夜中ごろ御武笑の声が聞こえているのもまたとっても愛でたい)。


 原文

 日のうらうらとあるひるつかた、又いといたそふけて、ねのときなどいふほどにもなりぬらんかし、おほとのごもりおはしましてにやなど思ひまいらするほどに、をのこどもとめしたるこそ、いとめでたけれ。夜中ばかりに、御ふゑのこゑのきこへたる、又いとめでたし。


 言の戯れと言の心

 「日…太陽」「うらうら…うららか…のどかな春のひざしのさま」「ねのとき…子の時刻…夜中十二時ごろ…寝の時…寝ているべき時」「愛でたし…素晴らしい事に対してほめ讃えたい感じ」「ふゑ…ふえ…笛…夫ゑ…武笑…力強い笑い」。


 伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)


 原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。