帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔十七〕わたりは

2011-03-09 06:06:42 | 古典

 



                                         帯とけの枕草子〔十七〕わたりは



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」。
「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。

 


 枕草子〔十七〕わたりは

 わたりは、しかすがのわたり。こりずまのわたり。水はしのわたり。

 
 清げな姿
 渡し場は、しかすがの渡。こりずまの渡。水橋の渡。

 
 心におかしきところ

その辺りは、そうだけどそれでもなおもの辺り。性懲りもない間の辺り。身す端の辺り。

渡り合いは、そうだけどそれでももっとのわたり。性懲りもない間のわたり。をみな端のわたり。

 
 言の戯れを知り言の心を心得ましょう

 「わたり…渡り…船着き場…みなと…女…辺り…わたり合い」「しかすが…然すが…そうだけどそれでも…肢下すか…女」「す…女」「こりずま…懲りないさま…性懲りもない間」「間…女」「水…川…女…見ず…身す…女」「見…覯…媾」「水…女」「はし…橋…端…身の端」。

 


 古今和歌集に次のような歌がある。


 巻第十三 恋歌三、よみ人しらず

こりずまに又もなきなは立ちぬべし 人にくからぬよにしすまへば

(性懲りもなく又も事実無根の浮名が立つのでしょう、人情あふれる世に住んでいるのだからねえ……性懲りもない門に又も亡き汝は立つのでしょうね、ひと憎くはない夜に、すもうしているのだから)。


 これは性懲りの無い「女とおとこ」の歌。「ま…間…女…門」「よ…世…男女の仲…夜」「すまふ…住まう…相撲…組み合う…渡り合う」。

 


 伝授 清原のおうな


 聞書  かき人しらず   (2015・8月、改訂しました)