慶應ローの過去問題を見ていたのですが、例えば刑法の問題は、初学者~中級者には実力チェックに最適だなと思いました。「論述式問題」ではあるのですが、特色があります。
2020年の問題ですが、「X は,A 宅に侵入した上で財布を窃取し,徒歩で約 2 km 離れたところにある喫茶店に赴き,店内で財布の中身を確認したところ,予想していたよりも少額の現金しか入っていなかったため,再び窃盗を行う目的で A 宅に戻った。X が玄関を開けて中に入ったところ,ちょうど帰宅したばかりだった A に発見され,捕まりそうになったので,A の目の前で,所携のサバイバルナイフを何度も振り回し,A が抵抗できない状態にして逃走した」という事例で、何罪が成立するか「条文の提示」と「その理由を25字以内で」説明すると言うものです。これが10個あります。2019年は同様の形式で「条文提示だけ」が要求されています。
これは事実関係から「何罪が問題になりうるか」を迅速に見抜ける力が必要となります。刑法を得意になるためには不可欠のスキルです。時間を計らずに、1問だけ独立して見ると「簡単だな」と思うかもしれませんが、2020年はこの形式が10問と10行程度の事例問題1問を50分程度で解き切る必要があり、そのためにはそれなりの力が必要だと思います。
こう言う問題を「短時間で的確に処理できるか」を基礎段階の実力チェックの指標にするといいと思いましたので、参考までに。
上記問題は、事後強盗罪の「窃盗の機会」と言えるかを確認し、これを否定した場合、130条(2回)、235条、208条、222条1項等の成否を検討します。
https://www.ls.keio.ac.jp/nyushi/examination.html ←慶應義塾法科大学院の過去問掲載ページ。