Don't talk rubbish!

2009-04-23 14:14:27 | 法科大学院関連
ロースクールの定員削減という話がついに表面化してきました。東大が270名程度になるらしい,という話を聞いていたのですが,蓋を開けたら,東大・京大が共に20%削減というサプライズ。文部科学省からたんまり助成金を貰っているだけに,大幅な削減を余儀なくされたのでありましょうか。

で,早稲田は以前も書きましたが,入試制度の変更の告知の仕方から削減を想定しているのではないか,と予想していましたが,やはり考慮中の模様。まぁ,現状の実績から踏まえると,200人でも丁度いい,と言われかねない状況なのでやむを得ないのでしょう。

現段階で,総定員は現在の5765人から約18%減の4700人台となる見通しですが,4000人説が有力なのでまだまだ下方修正を余儀なくされるのでしょうか。しかし,削減を予定していないと大見得を切った6校は大胆ですねぇ。後々,意趣返しされないければいいのですが。官僚は怖いからね。三和銀行なんて10年以上経ってから,金融庁(当時は大蔵省銀行局)に「やられた」ようなもんですからね(と,一般的に金融業界の人には受け止められている)。6校については,中央はそうだろうな,と確信していましたが,正直他の5校は「えっ!」という感じがしないでもないです。なにはともあれ,私学は経営の問題もありますから難しいところですが用心して欲しいです。

ところで,定員削減を正当化する当局のロジックが気に入りません。

要は,合格率が低いのを何とかしたいわけです。で,合格率を上げるには方法は2つしかない。1つは,合格者数を増やすこと。これは法務省の管轄。最高裁も実際には絡んでくる。他の1つは,受験者数を減らすこと。これは文部科学省の管轄の領域。で,この辺は誰にでも分かる話なんですが,何故か妙な「言い訳」が入り込んでいる。すなわち,「定員を減らす→少数の学生に対する丁寧な教育を施す→そういった教育を受けた受験生のレベルは上がる→合格率も上がる→メデタシメデタシ」ということをやたら強調するわけです(まぁ,受験生のレベルが上がっても率上昇に直結するわけではない。合格者のレベルが上がるかもしれないだけ)。
何故か突然,「教育水準を上げる為に,定員を削減するんだ」,という見え透いたロジックが入り込んでくる。でも本音は,「合格率が低迷していて新司法試験の人気が下がっている」事を何とかしたいだけなのは明々白々。突然,「現行のローの教育水準は低い」なんてロジックを紛れ込ませるのは見苦しいにも程がある。教育水準云々を言い出すなら,合格率の高い,一橋,慶應,中央,東大などが削減する必要性は取り敢えずは無いはずである。寧ろ増員しても良いくらいだ。しかしそうはならない。何故か,東大・京大という東西の巨頭が先頭切って20%という大鉈を「振るわされた」のである。おかしな話さ。

合格率を上げたいなら,ロジックは単に「受験資格者数を減らす=定員削減」か「合格者増」で十分である。余計な説明はいらない。しかもこのうち文部科学省ができるのは,定員削減くらいしかないわけで,だから削減圧力をかけているだけの話である。

なのに,批判の矛先をすり替えようと画策し,「ローの教育水準が低い=ロー卒業生は馬鹿=だから2回試験も100人も落ちてる(全体の数が増えているんだから率が同じでも見かけ上は増えるのは当たり前。2回試験の落第者問題が顕在化してきたのは,旧司法試験組の59期からであるのは顕著な事実。不動産の即時取得を検討するという伝説が生まれたのは新司法組時代ではない)」,という変な先入観を醸成するようなことは言わんで欲しいものである。

余分なロジックを噛ませずに,「調子乗って認可しまくってしまい,いきなり制度理念を崩壊させてすいません。認可しまくった責任者は○○です,人事異動ではしっかり飛ばしておきます,出世させません,だから定員減らしてお願い!」とでも言えば可愛いのですけどね。

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