The Gigolo/Lee Morgan
(Blue Note BST84212)
リー・モーガンといえば、天才、短いプレイヤー人生,予期せぬ最期,何とも刹那的な人生で,俳優で言えばジャームス・ディーンと妙に重なってしまう感じを持っているのは自分だけでしょうか?ティーンエイジャーの頃にガレスピーバンドでジャズシーンに登場したのが56年,スラッグスで愛人に射殺されたのが72年,16年間の活動であったが、まさにモダンジャズの一番良い時代を疾走したトランぺッターだと思います。トランぺッターと言うと,ガレスピー,ブラウニー,マイルスが本線でしょうが,個人的にはモーガンの魅力はこの3人には求めることができないのです。悪童,分厚い唇,細いスーツ,女癖の悪さ,ハーフバルブを駆使した独特のフレージング,エロティックなトーン,どれをとっても3人にひけをとることはないだろうと確信しています。音楽性が劣ると評価されているから,この3人とは区別されていると推測しますが,王道からはちょっとはずれてしまっていてもサッカーのカズのようなキザな魅力はモーガンならではで自分の琴線を刺激しまくってくれますね。
さて、前置きが長くなりましたが本日のアップは後期の“The Gigolo"です。いかにもモーガンらしいタイトルかも知れませんね。ジゴロはフランス語ですが、ヒモ。スケコマシ,男妾みたいな意味かと思います。このアルバムはモードあり,ジャズロックあり,スタンダードありでバラエティに富んだ選曲です。個人的は軟らかいトーンでテーマを吹き始めるB面最後の"You Go To My Head"が好きなんですが,他の4曲は全てモーガン自身のオリジナルで占められ,彼の作曲の才能も充分に表現されています。メンバーは旧友でありモードには不可欠のWayne Shroter(ts), モブレイの人気盤"Dippin"で共演したHarold Mabern(p), サイドワインダーでメンバーだったBob Cranshaw(b), Billy Higgins(ds)からなるクインテットです。
所有盤はソリッドブルー,♪レーベルです。ナイナイの岡村似のカバー,いいのか悪いのか・・・。この生え際のキザさが堪らんねぇ~~。
モーガンの一番好きな演奏ってなんだろう。自分は素直にJMのモーニンとサイドワインダーですね。前者のアクロバチックに上下動するソロが最高だし,後者はこれぞジャズロック!といってもかなりジャズよりで後の軟弱フュージョンとは一線を画したプレイで最高です。ご指摘のように,ナリのクールさは、改めて説明の余地はないですよね。大スターです。モーガン、いなかったらジャズの面白み半減です!
自分がジャズを聴き始めた頃には,丁度廃盤に鳴っていたワンホーン。その後,キング再発で手に入れることになりましたが,待ち過ぎました(笑)。
自分にとってはクラークの良さばかりが気になったアルバムでした。やっぱり個人的には溌剌さこそがモーガンの真骨調だとかんがえています。