斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

無機材料科学I

2011年06月15日 00時50分57秒 | 講義記録
今日の授業の話題。
今日は、崩壊について講義しました。崩壊を勉強することによって、原子核の構造を理解することができます。そして、核反応は立派な反応であります。

α崩壊はヘリウムの原子核と同等なα粒子の原子核からの放出を伴う崩壊です。質量数4、原子番号2が親核種から減ります。α線は物質を透過しづらいので放射線としては比較的防護しやすい。これは本日の講義でコメントを忘れました。

β崩壊はβ線を放出する崩壊です。β線は電子だから、電子線ではいけないのかというと、原子核から直接放出されるときには特にβ線といいます。今日は、このβ崩壊にてたいへんよい質問がでました。一本とられたという感じがしました。中性子がβ-線を出すと陽子に変わります。電子1個が飛び出たと思えば、中性子から陽子に変わると質量欠損が生じるはず。確かに中性子は陽子にくらべて質量が重いので、定性的にも正しいように感じます。ところが、β+崩壊では陽電子が陽子からとびでることでおこる反応だから、中性子より陽子が重いはず。さてどちらが、正しいのでしょうか。よい質問でした。

そこでヒントです。今日配布したプリントテキストに、β+の例が記載してあったはずです。まずは、原子番号を変えることなく準安定状態になる様子が描かれてあります。その後、陽電子を放出して陽子が中性子に変わるようになっています。さてさて、原子番号がかわらないときに放出されるエネルギーでなんとか説明が付けられるといいですね。


2年生の基礎無機化学では、リチウムイオン電池と溶融塩電解法との意外な接点について講義しました。現象は1つであっても、頭の柔軟性を使えばある分野での厄介者が、別の分野では数千億円市場を形成するようなヒーローになるというところは面白かったでしょうか。このあたりの話しをしているときのみんなのきらきらしていた目がとても印象的でした。来週はもっと教卓に近づいてきて下さい。
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