斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

ヤドカリ理論

2010年09月11日 12時39分26秒 | 学校.学会訪問記
サザエの貝殻に入った巨大なヤドカリを飼育していました。1mx70cmくらいの水槽に20個くらいサザエの貝殻があって、体長10cmくらいにもなる巨大なヤドカリが中に入っていました。私と一緒に見学にきていた博士課程の学生と一緒に「ヤドカリ理論」を作りました。ヤドカリがこの水槽の中で安全が保たれているのもかかわらず、殻をかぶっている。海の中でやっていた習性をそのまま安全な水槽でもかわりなくやっている。状況がかわっても殻をかぶるということは、発展しないということである。発展するためには、これではいけないと。

近くにいた海洋大の先生が「このヤドカリ、食べられますよ」といって、貝殻のうちのひとつを水槽から取り出し、いきなり叩き割りました。そして、ヤドカリを引き出し、尻尾の部分を向いて、食べさせてくれました。たしかに甘みがあって、おいしい。

そして次の瞬間、ヤドカリ理論が崩壊しました。尻尾をちぎられたヤドカリをその先生が水槽にポチャっと入れた瞬間、サザエの殻をかぶったヤドカリが近づいてきて、尻尾を失ったヤドカリのちぎれた部分に襲い掛かってきました。そうです。共食いです。

ヤドカリ同士は仲良くしているのかと思ったら、ちがうわけです。他のヤドカリが水槽にいる限り、食われてしまう。つまり水槽の中は安全ではないということです。

ここで、自分の浅はかさを恥じました。素人が思い込みでものごとを語ってはいけないのです。ヤドカリが裸でも安全だということをきちんと実験で確認しなくてはなりません。しかもこの一回ばかりではなくて、何回も、そして条件を変えながら、さらに他の専門会の意見もきかなければなりません。

今日は、ヤドカリから学びました。かなりショックでした。写真は、最初に裸にされたヤドカリの、まだ安全な状態です。



着衣泳のホームページ http://hts.nagaokaut.ac.jp/survival/surindex.htm

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