斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

富山県の用水水難4

2018年04月17日 20時30分00秒 | 水難・ういてまて
図2に田園地帯の航空写真を示す。新潟県長岡市の典型的な田園地帯の航空写真(a)を見てみよう。田んぼと住居がきれいに分かれていることがわかる。一方、富山県南砺市では(b)に示すように、田んぼ(畑)と住居が混在していることがわかる。南砺市では、幅60cm程度の幅の用水路が網の目のように田んぼに張り巡らされているばかりでなく家が田んぼに散らばっている様子がみてとれた。このような集落構造を散村あるいは散居村と呼び、南砺市は実は世界でも有名な散村として知られている。

今回調査した限りでは、自宅のすぐ近く、あるいは自宅内に流れている用水路に流されてしまった例が目立ったことから、富山県の水難は散村の生活圏内に特有の事故が大半を占めるということが言える。すなわち、自宅から道路に出るとき、道路から田んぼに入るときなど、まさに生活の中で、用水路をまたぐ機会が多く、長い人生の間、ほぼ毎日のようにまたぎ、生活の一部となっている行為により、最後の日に命を落としてしまったのかもしれない。

(a)



(b)



図2 長岡市(a)と南砺市(b)の農村部の航空写真 (Google mapより転載)