斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

リグニンについて

2015年10月25日 08時17分11秒 | 斎藤秀俊の着眼
今朝の新潟日報の18面にリグニンに関することが掲載されてたので、リグニンをホットな話題として解説してみたいと思います。

木材を成分に分けると、セルロース、へミセルロース、リグニン、その他成分です。木材を鉄筋コンクリート建築物だととらえれば、セルロース、へミセルロースが鉄筋で、リグニンがセメントに例えることができます。もうちょっと専門的に言えば、木材細胞の第1次膜および第2次膜との中間層に存在して細胞を構成し、ここに存在するセルロースおよびヘミセルロース等の繊維素の接着的役割を示しています。リグニンは杉などの針葉樹では30%、ブナのような広葉樹で20%ほど含まれています。

ベンゼン環に水酸基,メトキシル基が結合したプロピルベンゼン誘導体を構成単位とする高分子化合物です。紙の原料であるパルプ生産に伴なって副生するので大量に副生成物として得られます。使い道がなくて困っています。ただ、プラスチックス工業原料として石油化学工業から産出される芳香族化合物の量に匹敵する芳香族を供給できるかもしれないという点では、未来を秘めたバイオマスといえるでしょう。

私の研究分野では、水素をグイグイ吸蔵することのできるナノポーラスカーボンの原料として使います。もみ殻から得られるナノポーラスカーボンの次によい特性を示します。芳香族を狙っている研究者たちから、「燃やすな、もったいない」と怒られています。ナノポーラスカーボンは炭ですから。