神鳴り(アメジストネックレス)

難聴ゆえに家居の好きな主婦です。過去、心臓弁膜症、大腸がんの手術を受けました。趣味は短歌です

明石海人

2013年06月15日 18時39分58秒 | 短歌
ハンセン病歌人、明石海人の歌集を読んでいる。

ハンセン病というのは癩病のことだ。明石海人の生きた大正、昭和の初めは伝染病と恐れられ、隔離される病気であった。

明石海人は25歳で発病して38歳で亡くなるまで隔離されたままその生を終えた。自分の娘が亡くなっても事後処理が終わったあと、やっと仏壇に手を合わすことを許されるという厳しい状況におかれていた。

海人は、そのことを

  已(すで)にして葬(ほふ)りのことも済めりとか父なるわれにかかはりもなく

と詠っている。  

また、海人は、自分の境涯について、

癩は天刑である。

加はる笞(しもと)の一つ一つに、嗚咽し慟哭しあるひは呻吟しながら、私は苦患の闇をかき捜つて一縷に光を渇き求めた。==深海に棲む魚族のやうに、自ら燃えなければ何処にも光はない。

(中略)

癩はまた天恵でもあった。


と書いている。

われわれの想像も及ばないほどの過酷な生涯を生きた海人であった。しかしその過酷さの中で珠玉のような作品を残した海人の気高さに打たれる。