自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

コラムニストになりたかった(新潮社)~中野翠さん

2021-08-18 | 

『小説新潮』に連載していたものを単行本としてまとめた本です。

 

1946年生まれの中野さんが、早稲田大学の政治経済学部を卒業後、まずアルバイトの立場で文を書くことに関わり始めた1969年からの自分史です。
加えて中野さんがどっぷりと浸かることになる出版界のできごとやファッション、エンターテイメント業界のこと、学生たちにまだ社会を変えようといった心意気(それがすべて善とは言えないけれどね)などを含めた世相が年別にまとめられています。

おいしい仕事はけっこうあり、ペイもよく、海外取材なども自由にできた時代がしばらく続きました。

その1978年の項に昨日記事にした原田治さんのことを取り上げています。
同年齢で同業界に働く2人は、同じ生活圏の中でよく関わったのでしょうね。
2016年、原田さんの大規模な作品展を友人たちと観に行った中野さんは、お元気で談笑した原田さんがその年に亡くなるとは思ってもいませんでした。

中野さんの1969年から2010年代までのクロニクル、同年代の私には、ほとんどすべてよく理解できるのです。
逆に、若い世代には歴史物として、受け取られるかもしれません。


昔は良かったと言い募る気はありませんが、現在の一般的な年収が、私が現役だった40年ほど前とあまり違わないというのは、世の中の何かがおかしいのでしょう。

 

 

 


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