「自由の法哲学」を欠いた憲法改正議論には要注意![HRPニュースファイル1305]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2085/
文/HS政経塾3期生 和田みな
◆憲法改正の重要3項目
自民党は11日までに、衆議院の憲法審査会の再開を与野党によびかけ、来週中に幹事懇親会を開き、今国会でどのように憲法改正を進めるかなどを話し合うことを提案しました。(3/12付「日経新聞」4面)
審議会が再開すれば、憲法改正のための議論が本格化していくことになります。
審議会では、自民党がすでに発表していた党の憲法改正案の重要25項目の内、これまで他の多くの党が必要性を認めている「財政規律」、「新しい人権」、「緊急事態条項」の3項目での議論を深め、他党との接点を探り、改憲への道筋としたいと考えています。
憲法改正の発議の高いハードルをクリアするため、安倍政権は他党とも協力することが不可欠な状況で、上記の3項目は公明党の主張とも合致し、維新の党も積極的な姿勢を見せています。
この3つの項目はそれぞれどのような意味を持つのでしょうか。
◆財政規律
財政規律とは、財政赤字の拡大を防ぐために歳入と歳出のバランスが保たれている状態のことで、政府の支出を抑え、国債の発行額などに一定の制限を設けるものです。
しかし、機械的な財政規律条項を導入すれば、行政の柔軟性や自由な活動を阻害する要因となります。
例えば、歳出の強制削減が法律に明記されていることで「財政の崖」を招いた米国よりも厳しい状況が、日本に生じるかもしれないのです。
また、憲法に財政規律条項を入れるということは、そのための規範や数値目標を憲法に明記するということですが、このようなものは法律として整備するかどうかの類のもので、憲法に明記するレベルのものではありません。
この点について、経済学者の高橋洋一氏は次のように述べています。
「政府のムダ撲滅は当然として、経済苦境時の緊縮財政は経済を傷めて元も子もないので、そこまで規定したらまずい。こうした議論は、憲法改正後に制定される実定法での話であるので、憲法改正とは切り離して議論すべきである。」(2/28『「日本」の解き方』より)
このレベルの内容を憲法に明記することは、今後、状況や目標が変わるたびに憲法の改正が必要になるということを意味しています。
それによって憲法の価値を落とし、憲法を一般の法律のレベルへと引き下げてしまうことにもなりかねません。
◆新しい人権
環境権などを憲法に明記することは、これまではっきりとは認められてこなかった「新しい人権」を認めるということです。
このような人権は「幸福追求権」(憲法13条)から導き出されるもので、プライバシーの権利、環境権、日照権、平和的生存権など、多くの権利が主張されてきましたが、これまで最高裁判所が認めたものはプライバシーの権利としての肖像権のみでした。
なぜなら、このような新しい権利の多くは、それを認めることで他人の基本権を害することにもつながるため、個人の人格的生存に不可欠であるのかを、様々な要素を比較考慮して、慎重に決定しなければならないと考えられてきたためです。
したがって、このような新しい権利は、「権利」ではなく、あくまでも「利益」であって、個人の自律的決定に任せるべきレベルのものであると判断されてきました。
これが、一転して憲法に明記されるようになれば、憲法上認められた明確な国民の権利に格上げされることになります。
しかし、最高裁判所が認めていない「利益」を「権利」に格上げする根拠はどこにあるのか、また、これによって何の自由が守られることになるのかが極めて不明瞭で、逆に多くの自由の侵害を招く恐れがあります。
◆緊急事態
緊急事態に即応するための条項を憲法に明記することは必要です。一方で、この緊急事態法制も個人の自由を制限するものであるという点を忘れてはいけないでしょう。
もちろん、有事の際には、「最大多数の最大幸福」のために、自由に一定の制限をかけることも必要です。しかし、法律レベルの利益や目標を憲法に明記しようとする現在の改憲議論者が、真の意味で自由の価値を理解しているとは到底思えません。
この程度の法理念の下で、緊急事態法制を行って国民の自由は本当に守られるのか不安が残ります
◆幸福実現党は憲法の真の価値を守る
自民党が悲願である憲法改正をなす為に、耳障りのよい項目で他党と協調したい気持ちはよく理解できます。しかし、それによって改正内容を間違えれば、逆に国民の自由が奪われてしまう危険性があります。
これでは憲法の持つ「国民の自由を守る」という真なる価値からくるところの崇高さを取り戻すことはできないでしょう。
その意味において、現在の憲法改正議論は、憲法の崇高さを失っていると言わざるを得ません。法律レベルのものか、憲法に明記すべき権利かは、それがいかに「国民の自由」を守るものかのレベルの差です。国民の生命、安全、財産を守り、日本を自由の大国とするための「自由の法哲学」をこそ、政治家は学ぶべきです。
幸福実現党は憲法改正を積極的に押し進めます。それによって国民の自由を守り、憲法の崇高な価値を守るためです。
幸福実現党が正面から訴えている憲法9条の改正は、このような「自由の哲学」を基礎に持ち、さらに、国家の自然権としてどの国にも認められている自衛権をしっかり持とうと主張しているものであり、法哲学的にも、歴史的にみても正当な理由があるものなのです。
幸福実現党は憲法の真の価値を守るという意味における「真の護憲政党」とも言える存在です。
パラオ・ペリリュー島の守備隊長が語る「最高の供養」とは
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9325
第二次世界大戦の激戦地となったパラオ共和国のペリリュー島で旧日本軍の遺骨を収集するために、厚生労働省の職員2人の派遣が決まった。今月25〜28日に、パラオ政府と協力して旧日本軍の陣地となった壕の発掘作業を行う。
島には、戦後アメリカ軍に埋められた壕が200カ所以上残っており、現地で戦死した日本軍人約1万人のうち、2600柱の遺骨が埋もれたままだ。今年4月に天皇、皇后両陛下が慰霊のためにペリリュー島を訪問されるにあたり、ペリリュー州政府は遺骨収集に協力する姿勢を表明。厚生労働省と情報交換を続けていた。
戦後70年を迎える今年、日本軍が太平洋の諸国で戦ったことの意味も改めて注目されるだろう。
このほど、大川隆法・幸福の科学総裁は、戦争当時、ペリリュー島の守備隊長を務めた中川州男大佐の霊を招霊し、霊言を収録した。その内容が、『パラオ諸島ペリリュー島 守備隊長 中川州男大佐の霊言』として、13日に発刊される。
霊言の冒頭で中川大佐の霊は、天皇、皇后両陛下がペリリュー島を訪問されることについて、繰り返し感謝の言葉を述べた。そして、当時の激戦の様子、知られざる自身の最期についても詳しく明かした。
また、ペリリュー島で1万人の日本軍が、3万人のアメリカ軍を相手に死闘を繰り広げたのは、「われわれが一日持ち堪えることが、祖国への攻撃を一日遅らせることになる」という思いに他ならなかったことを吐露。「われわれの戦いが単なる犬死にでなかったと思ってくださることが、『最高の供養』だと思います」と現代の日本人へのメッセージを送っている。
現代の日本では、戦争当時、命をかけて戦った軍人について「無駄死にだった」と捉えられることすらある。しかし、彼らが戦わなければ、日本も欧米の植民地とされ、現在もアジアの植民地支配が続いていたことは想像に難くない。こうした先人の戦いの意味を見直し、正しく評価することが、慰霊のために重要ではないだろうか。(晴)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『パラオ諸島ペリリュー島守備隊長 中川州男大佐の霊言』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1435
幸福の科学出版 『公開霊言 東條英機、「大東亜戦争の真実」を語る』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=955
【関連記事】
2015年2月25日付本欄 ペリリュー島の戦いを率いた中川州男大佐とは? 日米最強軍が激突!
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9269
2014年6月4日付本欄 両陛下パラオご訪問へ 日本人は親日国からの感謝の念いを受け止めよ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7949
◆イギリスがG7初、中国主導のアジアインフラ投資銀行に加入
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9324
イギリスがこのほど、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、設立国として参加することを表明したと、欧米各紙が報じている。G7の中では、初めての参加となる。
AIIBの設立は、アジア・太平洋地域の国々への投資を目的として、中国が提案したものだ。これは、欧米主導の国際通貨基金 (IMF) や世界銀行、そして日本主導のアジア開発銀行 (ADB) に対抗するものと見られている。2014年10月には、アジア20カ国とともに北京で創立式が行われた。
イギリスの財務大臣ジョージ・オズボーン氏は、参加にあたり、「AIIBの設立国として参加することは、イギリスとアジアにとって、相互に投資しあって成長する大きな機会となる」と声明を発表した。英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、英政府が中国との経済関係を深めようとしている、と指摘する。
中国が、AIIB内で拒否権を持ち、それを政治的な目的のために利用しようとするのではないかと懸念するアメリカは、同盟国に対して、AIIBに参加しないよう呼びかけていた。今回のイギリスの決断を受けて、アメリカの政府要人は「中国に対して譲歩しすぎる傾向に懸念を抱く」とした(FT)。イギリスほどの主要国が参加したとなると、今後、他の先進国も追随する可能性がある。
もちろん、中国がAIIBを設立したり、イギリスがそれに参加する自由はある。しかし、イギリス側は、経済面だけではなく、もう少し大きな視点で東アジアとAIIBの関係を見るべきではないだろうか。
中国は軍事拡張による覇権拡大を目論んでおり、AIIBも東アジアに影響力を広げる戦略の一環であることは明らかだ。一党独裁による人権侵害を繰り返す中国の覇権が成就すれば、東アジアの国々に多くの不幸をもたらすだろう。
現在、東アジアが頼れるアジアの国は日本しかいない。日本は、さらなる経済発展を遂げ、中国とは違う選択肢を東アジアに提供し、安全保障の面でも周辺国を守ることができる国とならなければならない。
確かに、「国の繁栄」は「経済発展」によって計られることが多いが、この二つは同義語ではない。国の主権や安全保障も国家の繁栄には欠かせないことを、イギリスも、アジアの国々も再認識すべきである。(中)
【関連記事】
2014年11月号記事 中国バブルはなぜ潰れない!? 恐ろしい「習近平の経済学」 - そもそも解説
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8463
2014年10月20日付本欄 中国主導の「アジアインフラ投資銀行」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8585
2014年5月6日付本欄 習近平が「アジアインフラ投資銀行」設立 日本のODAで他国を援助する欺瞞
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7801
◆なお言い逃れる下村博文・文科相 下村氏事務所が全国「博友会」組織の年会費を管理?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9326
衆院予算委員会では13日の最終日まで、下村博文・文科相の政治資金問題に対する追及が続いた。次々と新事実が発覚しているためだ。
12日発売の週刊文春(3月19日号)では、2月に全国博友会幹事会で配布されたという内部資料を取り上げた。この資料の中の「各博友会講演会の位置づけと講演会開催について」と題された書類の「現状」という欄には、「講演料としての報酬を貰う場合はある」と記載されていたという。
同誌は、「これまで、下村氏は講演料を受け取ったことは『一切ない』と完全否定。(中略)だが、その説明が虚偽だったことが改めて証明されたことになるのだ」と糾弾する。
また、資料の中には、全国の博友会の「年会費」の納入状況の一覧表もあった。これまで、下村氏は各博友会の運営について「私の事務所は一切タッチしていない」と説明してきたが、12日の予算委員会では、この資料を自らの秘書官が作成したことを認めた。
さらに同誌は、資料の中の、全国の博友会の年会費収入額と、下村氏の答弁で明かされた博友会関係者からの個人寄付総額が一致している点を指摘。この個人寄付については、下村氏の選挙区支部から「年会費」との但し書きで領収書が発行されていたという。
ただ、下村氏は12日の答弁で、「年会費というのは寄付のこと。今まで任意の『博友会』の方々が、年会費という言い方をしていた」と説明。「博友会の会員である個人から政党支部への寄付を受けていた」という、これまでの説明との矛盾はないとした。全国の「博友会」は、政治団体として届け出る必要のある資金団体ではなく、違法性はないということだ。
追及から逃げ続ける下村氏だが、13日の予算委員会では民主党議員から、答弁の変化について指摘された。
例えば、全国の博友会の運営について、当初は「一切知らない」と言っていたものの、12日の答弁では「全国の代表者に集まってもらい、年間スケジュールを決めている」と認めたこと。あるいは、講演料も当初は「一切頂いておりません」と言っていたが、後に「直接は」と限定をつけて、ホテル代やタクシー代を払わせたと認めたなど、10項目に及んだ。
これらについて、下村氏は「一方的なレッテル貼りだ。全く矛盾はしておらず、ぶれていない」と反論している。安倍晋三首相も、「法的には適切に処理していると考えている」として、下村氏の責任は問わない意向を表明した。
予算案の審議は16日から参院に送られるが、下村氏への追及は引き続き続くことが予想される。下村氏は、昨年12月の衆院選の公開討論会で、政治資金規正法に関し「違法であれば議員辞職する」と明言していた。これ以上、不明瞭な答弁を続けて疑惑を膨らませては、国民の支持を失う一方だ。早急に、自らの進退を明らかにすべきではないか。
【関連書籍】
幸福の科学出版 『永田町・平成ポンポコ合戦 文科大臣に化けた妖怪の研究』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1352
幸福の科学出版 『吉田松陰「現代の教育論・人材論」を語る』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1350
【関連記事】
2015年3月11日付本欄 下村博文・文科相「違法なら議員辞めます」と発言していた
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9319
2015年4月号記事 「幸福の科学大学」不認可問題 文科相の判断は憲法違反である 小浜 逸郎氏インタビュー
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9224