さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

花粉症対策に有効 北山村特産、幻の柑橘「じゃばら」

2022-01-30 13:52:13 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、果実が無いユニークな柑橘「仏手柑(ぶっしゅかん)」を取り上げた。鹿児島と和歌山で生産されるも年々その数を減らす仏手柑。
一方で、和歌山の特産品として生産量を増やす柑橘もある。
今週は北山村特産の「じゃばら」を紹介したい。


【写真】輪切りにした「じゃばら」

「じゃばら」は日本で唯一の飛び地、北山村で生まれた柑橘。
古くから北山村に自生し、鬼も逃げ出す酸っぱさから「邪払(じゃばら)」と呼ばれ、縁起物として利用されてきた。
しかし、その扱いづらさからか、生産量が減少。僅か1本になってしまった木を村の特産品にできないかと村民が立ち上がり、栽培が本格化されたという。

じゃばらは「九年母(くねんぼ)」という柑橘と、温州みかんなどが自然交配してできた品種。
果実を切ってみると種は少ないが、特有の何とも言えない、鉄分のような独特な香りが広がり、一般的な柑橘のようにそのまま食そうという気にはなれない。
食べ方としては、果実を半分に切り果汁を搾りジュースとして飲むか、外皮をマーマレードなどにする方法がある。

独特な香りが特徴のじゃばらであるが、花粉症などアレルギー対策に有効であることは、昨今の報道などでご存知の方も多いだろう。
じゃばらに含まれるフラボノイドというビタミンの中に含まれる「ナリルチン」という成分にアレルギーを抑制する効果があるという。
他にも、クエン酸が多いことから血流改善や抗酸化作用があり、美容や疲労回復への効果があるとされる。

販売される期間は11月から2月頃まで。ジュースなどの加工品として購入することもできる。まもなく花粉症シーズンの到来。じゃばらで対策してみては。

(次田尚弘/和歌山市)



私も花粉症対策として2007年頃にネットショッピングで北山村からじゃばら果汁を購入し飲んでおりました。


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果実が無い柑橘 切って驚き「仏手柑」

2022-01-23 19:14:24 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、ユニークな形で知られる柑橘「仏手柑(ぶっしゅかん)」が漢方薬として利用され、健康維持に効果があることを取り上げた。
漢方薬としての活用のほか、柑橘としての味わいはどうか。仏手柑を切って中身を見てみることにした。今週は仏手柑の驚きの事実と食し方を紹介したい。


【写真】「仏手柑」の断面

仏手柑は見てのとおり縦長の形をしている。しっとりとした肌触りの外皮と、それなりの重量感から、その中にどのような果実が隠れているのかと期待しながら、包丁を入れることにした。切って驚き。果実が全く無く、綿のような白いものがほとんど。心地よい香りが広がるものの果汁もなく、食用とは言い難いものだった。

仏手柑は「果実が無い蜜柑」と言われ、みかんやレモンのような果汁を含んだ房が無いのが特徴。
食する方法としては、何度も茹でこぼしを行いアクと苦みをとり、シロップで煮詰め、砂糖漬けにした「コンフィチュール」や、スライスしたものに砂糖とレモン汁を加えて煮込んだ「マーマレード」にするなど主に外皮を使ったものとなる。

農水省統計によると2011年時点で、鹿児島県で2t、和歌山県で1tが生産。2012年時点で、鹿児島県で1t生産されていた記録があるが、2013年以降は統計上の記録がなく、1tに満たない生産量になっているものと思われる。

「果実が無い蜜柑」として、観賞用や漢方薬の利用が主のユニークな柑橘である仏手柑。古くから伝わる文化や芸術が徐々に衰退しつつあることが、統計からも見て取れる。

(次田尚弘/和歌山市)
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漢方薬としても利用 健康維持にも効果「仏手柑」

2022-01-16 16:30:07 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号より、新春を彩る縁起物として生け花に添えられる、ユニークな柑橘「仏手柑(ぶっしゅかん)」を取り上げている。

観賞用としての用途が一般的であるが、実際に食することもできる。
仏様の手を思わせることがその名の由来である仏手柑。海外でも和名と似た意味合いである、「fingered citron」や「Buddha's hand」という名で呼ばれている。
その栄養分にも、有り難いご利益があるという。今週は仏手柑の効能を紹介したい。


【写真】食し方にも特徴のある「仏手柑」

仏手柑には「ヘスペリジン」という成分が含まれ、毛細血管を強くしたり、血流の流れを良くする効果があるとされ、かつてから漢方薬として用いられてきた。
ビタミンCとの相乗効果もあり、毛細血管から感染するウイルスから守る働きがあるとされる。

また、精油成分が多く含まれることから香りがよく、気持ちをリラックスさせるほか、胃腸の働きを整えたり、冷え性の改善や痰の切れをよくする効果もあるとされる。

漢方薬として使用される際は、仏手柑を乾燥させたものをお茶として飲み、生姜などとブレンドされることもあるという。
柑橘を乾燥させお茶としていただくという、これもまた仏手柑ならではの特徴である。

お茶としての活用のほか、マーマレードや砂糖漬けにしたコンフィチュールとして食することもできるが、柑橘として果実の味わいはどうか。
仏手柑を切って中身を見てみることに。そこには驚きの事実があった。

(次田尚弘/和歌山市)
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正月の生け花に添えて ユニークな形の「仏手柑」

2022-01-09 14:23:34 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
新しい年を迎え、ご自宅で生け花を飾ったという方も多いだろう。その装飾のひとつとして、ある柑橘を用いたという方はいらっしゃらないだろうか。

果実の先が幾つにも広がっているさまから、末広がりを感じさせ、商売繁盛を祈願し、正月に飾られるユニークな柑橘。
その名は「仏手柑(ぶっしゅかん)」。幸運をもたらすといわれる仏手柑を紹介したい。


【写真】仏手柑を添えた生け花(右下が仏手柑)

仏手柑は、ミカン科ミカン属の一種で、前号で取り上げた柚子と同じ、香酸柑橘類の一種。元々はシトロンというインド原産の柑橘が変異してできたものとされる。
幾つにも広がる果実は千手観音を思わせることからその名が付けられた。

12月頃に収穫され、年末にかけて花屋などで販売されるが、栽培する農家が少なく希少価値が高い。
都会では、ひとつ2千円程で販売され、形がよいものは1万円を超えることもある。
筆者は産直市場で購入したが、正月飾りとして使用できるよう葉がついたまま、高級なイチゴを包むようなクッション材が施されていた。

目にする機会が少ないかもしれないが、その歴史は古く、江戸時代から生け花に使われ、また、絵皿や彫刻に描かれるなど、芸術の分野では知られた存在。茶の席では無くてはならないものとまでいわれる。

栽培数が少なく、あまり身近ではない仏手柑であるが、その魅力に触れていきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
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