さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

京奈和道 紀北東道路が開通 「大和街道」の原点と歴史

2014-03-30 20:11:17 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

本日午後3時に開通する京奈和自動車道紀北東道路(紀の川IC-紀北かつらぎIC)。 国道24号線の渋滞緩和や救急搬送の時間短縮、高野山などへの観光客増加など、地元の皆様にとって待望の道路であることは本コーナーでも紹介してきた。

古くから和歌山大和を結ぶ交通の要所として大勢の人々が行き交った「大和街道」は、京奈和自動車道の南を並走する形で和歌山と五條を結んでいる。 「大和街道」は大和朝廷が成立した頃、都と各国を結ぶルートとして誕生。 歴代の天皇が行幸したとされ、沿道にある船岡山、背の山、飛越石などは万葉歌に詠まれている。

大和街道の起点は和歌山城の北に位置する京橋。 江戸時代になると参勤交代のルートとして賑い、ここから歴代藩主が240年の間に97回も往来したという。 現在は、街道に沿う形で整備された国道24号線の一部において、愛称として「大和街道」が使われているが、現在もその面影を残す場所がある。

例えば、紀の川市黒土(旧打田町)交差点から北へすぐの所に「大和街道」と書かれた石碑が立っている。

【写真】「大和街道」の石碑

近年設置されたものであるが、「わかやま-やまと」の刻印が印象的。 周囲の道路は乗用車が対向できない程の狭さではあるが、石造りの側溝や街並み、田園風景から、かつての賑いを感じさせられる。

京奈和自動車道は平成27年度内の県内全線開通を目指し整備が進んでおり、残す紀北西道路が開通すれば、この石碑の通り「和歌山-大和(五條)」がつながる。 今後、かつてから和歌山と各地を結んできた街道に沿った高規格な道路の整備により、奈良京都と一体となった歴史的な街道、地域としての再認識がされ、新たな賑いにつながることを期待したい。

(次田尚弘/和歌山)

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春の水揚げ、始まる 地域の味「わかしらす」

2014-03-23 22:40:01 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号では収穫の最盛期を迎えている和歌山オリジナルの苺「まりひめ」を紹介した。 昨今、同様に注目されているのが和歌浦漁港で獲れる「わかしらす」。 現在、3~5月に漁獲される春しらすの水揚げが始まっている。

わかしらす」は和歌山の海和歌浦の「和歌」の文字、いわしの稚魚であるという「若」いという意味が込められているという。 和歌浦湾しらすをブランド化し全国へ発信、地域の活性化につなげようと、旅館組合や漁協、加工業者などが集まり発足した「和歌浦湾のわかしらす協議会」が主体となり、和歌浦漁港交流拠点施設おっとっと広場」を中心に「釜揚げしらす」や「生しらす」の販売に力を入れている。

農林水産省の調べ(平成24年度)によると、和歌山県におけるしらすの漁獲量は全国10位、生産額は全国7位で、国内シェアの約4%を占める。

漁獲量全国2位、生産額全国1位を誇る静岡県を訪ねてみた。 焼津駅近くの海鮮料理専門店では、漁協が定めた「生しらす」の幟を店頭に設置。刺身定食などのメニューを注文した客に、小鉢の一品としても提供するなどご当地ならではの新鮮さをアピールした展開が行われていた。

 

 【写真】生しらすを用いた料理(焼津)

しらす丼も販売されており、ネギと土ショウガが盛られ、所によっては紫蘇の葉が添えられているのが特徴。 何件か専門店を覗いてみたが、筆者が知る範囲では、和歌山のように梅肉と短冊切りにした紫蘇の葉、海苔をふんだんに用いたケースを見ることは無かった。

同じ食材を用いた料理であっても、その地域の特産品を取り入れ、複数の食材をコラボレーションさせることで地域色・独自性が生まれ、ブランドが確立されていく。 和歌山ならではの しらす料理を、より多くの方々に味わってもらいたい。

(次田尚弘/静岡)

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地域のオリジナルブランドに 「まりひめ」最盛期を迎える

2014-03-16 23:59:14 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

3月も半ばを過ぎいくぶん春めいてきた。

いちご」は最盛期を迎え、いちご狩りを楽しむ方も多いのではないだろうか。

 

ここ数年、県内で注目されているのが、県オリジナル品種いちごの「まりひめ」だ。

 

 

【写真】和歌山県産「まりひめ」

 

まりひめ」は、平成14年度、早生で豊産性の「章姫(あきひめ)」とコクのある食味で日持ちに優れた「さちのか」を交配して生まれた品種で、平成20年3月に種苗登録出願された。

名前の由来は、紀州の伝統工芸品である「紀州てまり」に因み、かわいらしく、皆に愛されるようにとの願いが込められているという。

 

まりひめ」の特徴は「さちのか」に比べ2週間以上早く収穫開始時期を迎え、12月上旬頃から出荷できること。

収量も通常の品種より2割程度多く、クリスマスや年末年始でいちごの需要が高まる時期に有利に出荷できることから、農家の方々の増収にも貢献するという。

果実は肩部がやや丸みを帯びた円錐形で寒い時季でも鮮やかな紅色となり光沢が出る。

糖度は「章姫」より高い9度以上と「さちのか」と同等だ。

県内におけるいちごの栽培面積は48ha(平成22年産)。

そのうち「まりひめ」は11.6%にあたる5.7ha(同)と本格的に栽培されてきた。

 

先月25日から今日まで、「まりひめ」等の県産いちごをメイン食材とした「わかやまポンチ」を期間限定で県内外26店舗で一斉提供する「わかやまポンチ春フェスタ2014」を、全国わかやまポンチ協会と和歌山県が共同で実施。

県産いちごの魅力発信に取り組むなど、和歌山のブランドいちごとしての期待も厚い。

果物店やスーパーの店頭で見る機会も増え、一部の農家ではいちご狩りも可能。

ぜひご賞味を。

 

(次田尚弘/和歌山)

 

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オープン10周年を迎え 東京・有楽町「わかやま紀州館」

2014-03-09 20:22:40 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

県のアンテナショップわかやま紀州館(東京都千代田区)」がオープン10周年を迎えた。

 

 

【写真】わかやま紀州館の店頭

 

先月17日から21日の5日間「10周年記念キャンペーン」を開催。

17日には和歌山県出身おいしい!健康わかやま産品応援隊」を務める田中理恵さんが一日店長に就任した。

 

キャンペーン期間中、店内の商品を2割引で販売。

県産品などが詰まった限定30個の福袋も販売。田中理恵さんが手渡した。

記録的な大雪の影響で県産品の荷物が届かないというハプニングもあったが、前年比で約2割の売上増、客数も約3割増となったという。

同館スタッフの牧志さんは「大勢のお客様にお越しいただき大盛況でした。

これからも和歌山の情報を積極的に発信したい。」と話した。

 

わかやま紀州館は、県産品を扱う店舗と、個人向けの観光案内や在京のメディア、旅行エージェントやバイヤーなどに向けた県内の観光情報の発信、イベントの企画などを実施する事務所で構成されている。

 

一昨年の12月からはコミュニケーションアプリ「LINE」を使った情報発信を開始。

友達登録をした人へ商品1割引クーポンの配信(月2回)、和歌山観光PRキャラクターわかぱん」の限定画像やイベント情報の配信を行うもので、登録利用者はまもなく2400名に達する。

 

県産品の販売コーナーでは贈答品に加え、県内の産地から直送された袋入りの果実を店頭に並べるなど、堅苦しさのない、まるで昔ながらの商店街の一角にある店舗のようだ。

先月の売上ランキングでは、産地直送の蜜柑ミニトマトあんぽ柿などが上位にランクイン。

東京に居ながらにして和歌山を身近に感じられる魅力がある。

 

わかやま紀州館はJR有楽町駅前、地下鉄有楽町駅直結の東京交通会館地下1階にある。

LINEのアカウント名は「@wakayamakisyukan」。

ぜひ、在京の親戚や知人に勧めてほしい。

 

(次田尚弘/東京)

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紀州備長炭の歴史と深い関わり 和歌山県の木「ウバメガシ」

2014-03-02 23:57:33 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号まで2週に渡り「コウヤマキ」の歴史を紹介した。

和歌山県を代表し全国で親しまれる木は他にもある。

県の木に指定されている「ウバメガシ」だ。

 

 

【写真】ウバメガシ

 

ウバメガシ」はブナ科の常緑樹で神奈川県以西の各地に分布し県内では紀南地方に多く見られる。

良質の炭で有名な「紀州備長炭」の原料として皆様もご存知だろう。

 

紀州備長炭は田辺市やみなべ町、日高川町を中心に年間約1700トンが生産され、白炭としては日本一のシェアを誇る。

製炭技術は1700年頃に確立されたという。

備長炭の名は、当時、田辺で炭問屋を経営していた「備中屋長左衛門」という商人に由来する。

1730年頃、江戸日本橋の問屋へ出荷を始め、火持ちが良く安定した火力によりムラなく焼けることから瞬く間に人気となり商人の名に因み「備長炭」と呼ばれるようになったという。

 

備長炭は樹齢20年から40年のウバメガシの原木を用い、職人の手で約15日かけ、様々な工程と絶妙な判断により製炭。

300年以上前から受け継がれてきた製炭技術は、昭和49年に県の無形民俗文化財に指定されている。

 

諸説あるが、ウバメガシの名の由来は「ウマメガシ(馬目樫)」にあり、葉の形が馬の目に似ていることからだといわれている。

江戸で備長炭が広まったとされる1730年頃といえば徳川吉宗の時代。

何とも和歌山らしい名の由来であると感じられる。

また、当時の江戸では将軍様がかつて治めていた紀州の特産物として注目されたのかもしれない。

 

和歌山県の木に指定されたのは昭和41年。

県民による投票により決められたという。

世界的にも有名となった紀州備長炭

近年では、消臭や除湿効果、水や空気の浄化作用を活用した商品や健康食品、副産物の木酢液など燃料以外の効能にも期待されている。

今後も和歌山県が誇る特産物として長く愛され続けて欲しい。

 

(次田尚弘/和歌山)

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