さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

山椒との融合で味わい引き立つ 「源五兵衛クリームチーズ」の作り方

2024-10-13 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、酒の肴に相性が抜群の「奈良漬クリームチーズ」を取り上げた。
和歌山県の伝統野菜である「源五兵衛(げんごべい)」でも、この味を再現できるのか。家庭で楽しめる「源五兵衛クリームチーズ」の作り方とその味わいを紹介したい。


【写真】クリームチーズを介し山椒と融合する「源五兵衛

作り方は至ってシンプル。一人分としての目安は、クリームチーズ50gに源五兵衛25g。まずはクリームチーズを常温に戻し柔らかくする。次に源五兵衛を粗めに刻む。続いてボウルにクリームチーズを入れて練り上げた後、源五兵衛を加えて、よくあえれば出来上がり。所要時間は5分程度。あっという間に、源五兵衛クリームチーズの出来上がりだ。

クラッカーに乗せ、オリーブオイルや黒胡椒を振りかけると風味が増す。日本版の胡椒として名高い、和歌山県産の山椒を振りかけてみた。濃い酒粕の香りと塩気がある源五兵衛がクリームチーズに包み込まれ、柔らかな食感とまろやかな味わい。そこに山椒の香りとピリ辛さが相まって、絶妙なテイストとなる。

源五兵衛と山椒という和歌山県が誇る伝統の食材が絡み合い、クリームチーズが介することで、一見相反する組み合わせがまさかの価値を出す。単一では出し切れない価値を現代人の嗜好に合わせアレンジし、新しい食べ方を生み出すと共に高い価値を出していくこと。
加工メーカーや飲食店の創意工夫によるものが多いが、その食材の根幹にある魅力や秘められた価値を知るのは農作物の生産者であり、また、地域に住まう者だからこそ。

伝統野菜を後世に受け継いていく、サステナブルな農業の実現には、縦割りではなく、多様なスペシャリストが混ざり合い創意工夫することが大切。
俯瞰して物事を観察し、一歩踏み出し挑戦してみる地域の力が必要だ。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酒の肴に相性抜群 「奈良漬クリームチーズ」

2024-10-06 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、伝統野菜を次世代につなぐために、「源五兵衛(げんごべい)」の素材を活かした創意工夫により、経済的持続性を成立させている鳥取の「とまり漬け」の事例を取り上げた。
粕漬(奈良漬)を若者や海外の人々に親しみやすくしようと、粕漬を他の食材とアレンジする試みが広がっている。
今週は人気が高まる「奈良漬クリームチーズ」を紹介したい。


【写真】「奈良漬クリームチーズ」

先日、筆者は梅田駅近くの飲食店に居た。帰宅途中、同僚と立ち寄ったお店のメニューに、人気商品としてマーキングされていたのがこれだ。渋いメニューを選ぶねと笑われながら、迷わず注文してみることにした。

小さな鉢の中に、すりきり一杯に入れられたクリームチーズの中から、角切りにされた奈良漬が顔を出し、可愛らしい緑の飾り葉が乗せられ、その傍らにはクラッカーが添えられている。

スプーンで、奈良漬が練り込まれたクリームチーズをすくい取り、クラッカーに乗せて食す。「うまい!」。奈良漬特有の酒粕の香りが、クリームチーズのまろやかさと融合し、香り高い高級食材と化している。ビール、ワイン、日本酒、どのお酒にも合う味わいで、酒の肴にぴったりな存在である。

人気を博し始めたのはここ数年。大手の漬物メーカーなどが商品化し販売を開始。奈良漬として使用されている原材料は「クリームチーズ」「瓜」「酒粕」と表記されており、使用されている瓜の品種はわからないが、酒粕たっぷりで濃い味が特徴の源五兵衛は、美味しくいただけるであろうと感じた。

クリームチーズには様々な種類があり奥が深い。奈良漬にも原材料や地域によって違いが多い。
一見、相反するような存在の異色な組み合わせが、日本ならではの食材の、新しい価値を見出している。

(次田尚弘/大阪市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

経済的持続性が成立 伝統野菜「源五兵衛」のこれから

2024-09-29 13:38:38 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、和歌山の伝統野菜「源五兵衛(げんごべい)」を使った鳥取の名産品「とまり漬け」を取り上げた。
今週は、伝統野菜を次世代に伝えていく、持続可能な農業について考えたい。


【写真】源五兵衛の粕漬(左)と醤油漬(右)

江戸時代から布引地区で栽培が始まった源五兵衛であるが、現在は、松江地区が主な栽培地となっている。栽培面積は約2haで、生産量は100t程度とされる。一般に流通する機会は無く、漬物業者への出荷が確約された契約栽培。収穫されたものは農家の手で一次加工された後、県外へ出荷される。

県外で粕漬にされた加工品が再び県内のスーパーなどの店頭で見かけることは稀で、和歌山市の伝統野菜であることを知る方は少ない。
市場に並ぶことがなく認知度は低いものの契約栽培という形式で細々と生産が続くのは、経済的持続性が成立しているから。

市場に出荷するだけでは採算性が取れないが、生産・製造(加工)・小売を地域で一貫して行う、いわゆる六次産業化により付加価値を高めることで採算を確保し、経済的持続性が成り立つケースはある。

源五兵衛は、生産と製造(加工)の一部を農家が行い、製造の残工程と小売は県外の業者が担い、粕漬(奈良漬)として、漬物が有名な他地域のブランド品として認知され、さり気なく、和歌山の伝統野菜として、持続可能な立ち位置を確立している珍しい事例である。

とまり漬けは、粕漬としての価値への限界という、地域の危機感から生まれ、新たな味として定着。そこには、農作物をいかに価値あるものに変化させるかという創意工夫のうえに成し得たもの。

和歌山産の源五兵衛も、地域を跨いで生産と加工のプロフェッショナルが連携し、新たな価値を提供し続けることが、伝統野菜を次世代につなぐ、持続可能な農業の大きなカギになりそうだ。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鳥取県で栽培される源五兵衛 薄口醤油で癖が無い「とまり漬け」

2024-09-22 13:33:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
江戸時代から栽培が続く、和歌山の伝統野菜「源五兵衛(げんごべい)」を取り上げている。
前号では、古くから受け継がれる粕漬の製法と、その味わいについてお伝えした。
近年は、消費者の嗜好に合わせ、薄口醤油に漬け込まれた醤油漬けの販売が始まっている。
今週は、鳥取県の名産品となっている「とまり漬け」を紹介したい。


【写真】源五兵衛を加工した「とまり漬け」

和歌山市の布引地区を中心に栽培が広がった源五兵衛であるが、現在、県内での栽培は僅か。和歌山市と同様に砂地の地形が特徴の鳥取県では、源五兵衛が積極的に栽培されている。

主な生産地は湯梨浜町。鳥取県の西部に位置する。ここで栽培される源五兵衛を半年程度酒粕に漬けて寝かせた後、酒粕と塩を抜き、薄口醤油で浸ける。収穫から加工され出荷するまで約1年かけて出来上がったものが「とまり漬け」だ。

大変なのは加工の工程だけでなく、収穫も。とまり漬けに適した果実の大きさが直径5.4㎝から6.4㎝のものと定められているため、成長が早い源五兵衛は、朝に直径5.4㎝未満であっても1日で6.4㎝を超えるサイズになる。
そのため、農家は1日に複数回の収穫を余儀なくされるという。とまり漬け(鳥取県産)と源五兵衛(和歌山県産の粕漬)のサイズを比べると、とまり漬けの方が、果実のサイズが小ぶりであることがわかる。

食してみると、源五兵衛(粕漬)と比べ柔らかい。コリコリした食感は無く、巨大なオリーブを食しているような感覚である。サクサクとして粕漬特有の香りもなく、甘辛い醤油の味付けと、刻まれた鷹の爪のピリ辛さが絶妙である。
小さめのサイズで収穫され、外皮が薄いからなのか、醤油漬けによるものなのか、理由は定かでないが、柔らかくプニプニとした弾力がある。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

和歌山の伝統野菜を使用 深い味わい「源五兵衛の粕漬」

2024-09-15 17:19:39 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号より、紀州名産の小スイカ「源五兵衛(げんごべい)」を取り上げている。
江戸時代から栽培が始まり「小スイカの粕漬」に加工され、現在も親しまれる源五兵衛。
今週はその中身と味わいを紹介したい。


【写真】スイカを連想させる「源五兵衛

収穫当初は一般的なスイカと同様に張りのある果皮であったが、粕漬にする過程で、おにぎりのような形になる。輪切りにしてみると、中心部分を一周するように小さな種があり、これがスイカであることを明らかにさせてくれる。

源五兵衛の粕漬は、酒粕を5度に渡り浸け直して製造。これは和歌山の伝統的な粕漬(奈良漬)の作り方であるという。
現在、和歌山県内で製造する業者は僅かなようで、筆者が手にしたものは県外で加工されたもの。県内で収穫された源五兵衛は、すぐに酒粕に漬け込まれ、粕漬の一次加工がされたうえで県外に出荷される。県外の加工業者で更に加工され商品となる。

一般的な漬け込みの期間は半年から1年程度とされる。伝統的な漬け込み方法である5度の浸け直しが行われているかは定かではない。
源五兵衛の粕漬にはランクがあり、漬け込みの期間が浅いものは1個あたり700円前後が相場。酒粕を取り換え、長期熟成されたものは高級品として扱われる。

食してみると、コリコリとした歯ごたえがあり、柔らかさがなく食べ応えがある。噛むごとに口いっぱいに酒粕の風味を強く感じ、若干の苦みはあるが、ご飯が進む逸品である。

時代の流れなのか、粕漬(奈良漬)特有の風味と味の濃さよりも、さっぱりとした味わいを求められる傾向も。昭和30年頃から源五兵衛の栽培が盛んになった鳥取県では、近年、薄口醤油に漬け込み、醤油漬けとしての販売が始まるなど、現代の消費者の嗜好に合わせた工夫が行われている。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

布引地区の小スイカ栽培 紀州名産、歴史が深い「源五兵衛」

2024-09-08 14:57:10 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、味覚の対比効果により甘味が引き立つ、スイカと塩の関係について取り上げた。
関西では有数のスイカの産地である和歌山県。長年、和歌山市内で栽培され、ご当地のみならず県外でも親しまれるスイカの品種があることをご存知だろうか。
今週は「源五兵衛(げんごべい)」を紹介したい。


【写真】こぶし大の「源五兵衛

源五兵衛は小スイカの一種で、主に、和歌山市の布引地区で栽培されてきた。
時は江戸時代にまで遡る。津波により不毛の地と化していた和歌山市南部の砂地の地域に対し、徳川頼宜が土地改良を命じ、スイカの栽培が始まった。
水はけのよい砂地が栽培に適し、良質のスイカが収穫できたため「布引スイカ」と呼ばれ、紀州の名産品になったという。

このスイカに転機が訪れたのは和歌山市本町にあった酒屋の杜氏(とうじ)・源五兵衛との出会い。源五兵衛が和歌山市毛見にある「濱宮(はまのみや)神社」に参拝する途中、布引の畑でこぶし大のスイカを拾った。酒屋に持ち帰り、酒粕に漬けたところ上品な仕上がりとなり、改良を重ね販売を開始。やがて「小スイカの粕漬」として紀州の名産品となり、大阪や京都、さらには江戸へと販路を広げていった。
この商品を作った人の名にちなみ、スイカにも粕漬にも、源五兵衛の名が付けられたという。

粕漬にした源五兵衛はこぶし大で、漬物の茄子よりも小さく、一般的なスイカのイメージを覆す。丸い形ではなく、やや上下に長い楕円形をしており、上部にはしっかりしたヘタが付いている。

実際に食してみるとどのような味わいなのか。次週に続く。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

塩はスイカの名脇役 甘味を引き立てる「対比効果」

2024-09-01 16:52:52 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
メロンと並ぶ夏の風物詩であるスイカ。砂地を適地とするスイカは和歌山県内でも盛んに栽培され、近畿では兵庫県と並ぶ産地である。
スイカを食する際に塩をかける方もいらっしゃるだろう。では、甘いスイカになぜ塩なのか。


【写真】主役の「スイカ」と脇役の「塩」

塩をかける理由は、スイカの甘味を強く感じるため。
人間の舌には味覚を感じる「味蕾(みらい)」があり、塩味・甘味・酸味・苦味・うま味を識別している。この5種類の味を「基本味」という。

一般的に食べ物は複数の基本味で構成されており、味の組み合わせにより、味の強みや弱みを感じる。スイカの魅力は豊富な水分とその中にある甘味であるが、この甘味をより一層引き立てるために有効であるのが、味に対比を与えること。

2種類の味を味蕾で同時に感じると、どちらかの味が引き立つというもので、これを「対比効果」という。一方の味が強く、他方の味が弱いときに起こる現象で、スイカに塩をかけすぎると塩味を強く感じる。
スイカの甘味を引き立てるための名役として、塩が存在しているといえよう。

これは、甘いお汁粉に少量の塩を加えることと同じ。有塩のトマトジュースの方が無塩のものよりも甘く感じるのも、この対比効果が作用している。

塩の効果はスイカの甘味を引き立てるだけではない。日本食品標準成分表(2020年版)によると、スイカ100gあたりのカロリーは41キロカロリーと控えめながら、糖質は9.2gと適度に含まれる。
エネルギー転換が早く血糖値の上昇を抑えながら水分を体内に吸収しやすいため、塩を同時に摂取することで、効率よく体内に塩分を補給することができ、熱中症予防の効果もある。

美味しく、健康に夏を乗り切るための先人の知恵がここにある。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

品種改良の恩恵は無くとも 家庭でも育てられる「メロンの種子」

2024-08-25 16:46:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、容易にできる「桃の湯むき」について取り上げた。
たいていの果実に存在し、食する人にとって少々厄介な存在が「種子」である。桃であれば、果実の中央に位置し、夏の風物詩のひとつ、スイカやメロンは中央部分に細かい種子が多数存在する。

スイカの種子を庭に飛ばし、そこから発芽したものが大きなスイカに育つのではと、子供心にワクワクした記憶がある。
先日、メロンの種子の一部がキッチンのゴミカゴに残り、知らぬ間にそこから発芽するという出来事があった。そもそも、果実の種子から二世代目の果実はできるのか。二十数年越しにその疑問について調べてみた。


【写真】発芽した「メロンの種子」

結論から申し上げると、食せる果実にまで成長するが、病気にかかりやすく、味が低下する可能性が高い。

その理由は、種子を持つ果実(親)は、そもそも、病気に耐性があるAという品種と、味に魅力があるBという品種を掛け合わせたCという品種であることが多い。同じ畑でCという同じ品種同士が交配してできた果実の種子は、親の品種と同じ(クローン)では無く、親の品種よりも劣る可能性が高くなるというもの。

通常、メロンの種まきの時期は3〜4月で、生育には25度以上の気温が維持されることが望ましい。今の時期に発芽してもこれから気温が下がる季節になるため露地栽培で果実になるまで育てるのは難しいが、春まで種を保管し、適切な時期に発芽させることはできる。

同じ労力をかけて育てるならば、病気に強く美味しさ重視の種子を購入したいところだが、自分が食した果実の種子から、次の果実を育てるというのも悪くない。

あまり実用的な情報ではないが、大人の夏休みの課題として笑納いただければ幸いだ。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もっと気軽に食べやすく 容易にできる「桃の湯むき」

2024-08-18 22:23:24 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、桃の概念を覆す、濃厚で芳醇な味わいが特徴の「黄金桃(おうごんとう)」を取り上げた。
桃は美味しいけれど、皮を剥くのが難しくて億劫という方がいらっしゃるかもしれない。
今週は、容易な桃の皮むきの方法を紹介したい。


【写真】湯通しの時間と氷水がコツ

桃の皮むきとして一般的であるのが、包丁の柄に近い方の腹を外皮に優しく当て、少しずつ剥いていく方法。桃の固さによっては剥きづらさを感じることがあるだろう。そこで、おすすめしたいのが「桃の湯むき」である。

要領はトマトの湯むきと同じ。まず、桃の上部に包丁で十字に切り込みを入れる。続いて鍋で湯を沸かし、沸騰したタイミングで桃を入れる。10秒程度すれば鍋から取り出し、氷水を張ったボウルに入れよく冷やす。

すると、上部に入れた十字の切り込み部分の外皮がふやけてくる。外皮を指で摘まんで、下部に向けてゆっくりと剥いでいくと、スルスルと皮が外れ、桃の果実が現れるというもの。

せっかく桃を冷やしたのに熱湯に入れるのかと抵抗を感じるかもしれない。筆者もそう感じたが、実際に試してみると気になることはなく、美味しくいただくことができた。果実の中心まで熱が通らないよう、熱湯に浸けるのはできる限り短時間とし、氷水でしっかりと冷やすことがコツのようだ。

さらに、果実に一定の固さがあれば、外周に沿って桃の中心部分に、種に当たる深さで一周の切り込みを入れ、上下を両手で掴み、それぞれの手を逆方向に回すことで、桃を半分に分離できる。

その時の桃の状態により左右されるが、様々な方法を試すなかで、湯むきが最も容易であるように感じた。
シーズンは終盤となってきたが、皮を剥くのが苦手な方は、ぜひ試していただきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桃の概念を覆す 濃厚で芳醇な味わい「黄金桃」

2024-08-11 19:47:15 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、鰻と梅干しの食べ合わせについて取り上げた。食欲が落ちる猛暑の夏でも、美味しく水分と栄養分を摂取できるのが桃。
この時期に出回る、一風変わった桃が「黄金桃(おうごんとう)」だ。外皮が一般的な桃の色とは異なり、美しい黄色をした品種。今週は黄金桃を紹介したい。


【写真】まるでマンゴーのような「黄金桃」

黄金桃は「川中島白桃」の偶発実生として誕生したもの。果実のサイズは300g程度とやや大きめ。見た目が可愛らしく香りも良好である。袋を被せて栽培したものは美しい黄色に仕上がるが、無袋で栽培したものは果皮が赤くなる特徴がある。

食してみる甘味が強く、程よい酸味もあり、極めて濃厚な味わい。緻密な果肉と豊富な果汁から、熟したものはまるでマンゴーのような舌触りになり、見た目も味も、桃の概念を覆してくれる。

一般的な桃と同様に、そのまま食するのがシンプルでその味わいを堪能できるが、酸味を活かして、ケーキやタルトに使うことも。
また、マンゴーのようにミキサーにかけ、スムージーにしても美味しくいただける。

農水省統計(2020年)によると、主な生産地は、長野県(35ha)、山梨県(31ha)、山形県(28ha)、福島県(20ha)、新潟県(3ha)と、甲信越と東北。
和歌山県は第10位で2ha程度と栽培面積は僅かであるが、とくに今年は産直市場などで目にする機会が多い。

黄金桃は晩生種とされ、全国的には9月中旬頃まで出回るが、和歌山県内では7月下旬には市場に並ぶ。今が食べ時の黄金桃。桃の概念を覆す、極めて美味しい筆者おすすめの品種。ぜひ、食べてみて欲しい。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする