さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

式年遷宮を機に再現 伊勢と和歌山、路面電車で共通項

2013-04-28 13:32:33 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号では「平成25年は伊勢神宮にとって式年遷宮にあたる年」という書き出しで、大阪・名古屋と伊勢を結ぶ観光特急列車を紹介した。

今週も式年遷宮にちなんだ話題を紹介したい。

 

伊勢市駅・宇治山田駅と伊勢神宮(内宮・外宮)を結ぶバス会社(三重交通)は、かつて同区間を運行していた路面電車、神都(しんと)の車両を再現した路面電車型バスを今夏から運行する。

神都バス」と名付けられ、同線開業110周年と、来年同社が設立70周年を迎えることを記念し導入。

参拝客に懐かしさと新鮮さを感じて欲しいという。

 

実は、かつて、和歌山市・海南市内を運行していた路面電車神都線には深い歴史がある。

昭和5年、神都線を経営していた合同電気(後の東邦電力)が、当時の京阪電鉄和歌山軌道線を譲り受けた。

昭和15年に当時の東邦電力が阪和電気鉄道へ譲渡するまでの間、伊勢の街を走る神都線と、和歌山の街を走る和歌山軌道線は同じ経営主体の下で運行されていた経緯がある。

 

さらに神都線が廃止された昭和36年には、不要となった車両13両を譲り受け、昭和46年の和歌山軌道線の廃線まで和歌山の街で活躍した。

 

  

 

【写真】神都線から譲渡された和歌山軌道線(710)の車両。

 

昭和40年頃、和歌山市駅前で撮影。(小林庄三さん提供)

  

再現される「神都バス」は和歌山を走った車両とは異なるものの、同じ時代に同じ会社で使われていたもの。

約半世紀前の和歌山の雰囲気を味わえるかもしれない。

 

伊勢和歌山の共通項。歴史を紐解くとさらに縁の深さが見えてくるのだろう。

今年の式年遷宮を機に、「伊勢へ七度(ななたび)熊野へ三度(さんど)」にちなみ、紀伊半島の魅力を相互で発信できればと思う。

 

(次田尚弘/和歌山)

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目的地までのおもてなし空間 式年遷宮にあわせ新型車両

2013-04-21 13:34:43 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

平成25年は伊勢神宮にとって式年遷宮(しきねんせんぐう)にあたる年。

107(317日付)では、来年の「世界遺産登録10周年」、再来年の「高野山開創1200」「紀の国わかやま国体・大会」へと続く、観光客へのおもてなしやサービスの向上が求められる年になるとご紹介した。

 

先日、伊勢神宮をはじめとした伊勢・志摩エリアへのアクセスとして、大阪と名古屋からそれぞれ運行されている近鉄の「観光特急しまかぜ」という新型電車に乗る機会があり、観光を強く意識したおもてなしの空間を強く感じさせられた。

 

 

【写真】「観光特急しまかぜ」のカフェ車両

 

観光特急しまかぜ」は今年3月21日から運行を開始。大阪難波駅と近鉄名古屋駅の両駅から三重県賢島駅を結ぶ。

それぞれ1日1往復の運行。2編成で40億円近くの建造費をかけたという車両は、電車とは思えない程の静かさで揺れも感じさせない。

高級感あふれる空間は勿論のこと、中央の車両にあるカフェ車両では、伊勢にちなんだ料理や軽食を食べられ、大きく設計された車窓からは雄大な自然を臨むことができる。

車両の出入口付近には鍵付のロッカー(荷物置き場)が用意されるなど、細部にまで観光客への配慮にこだわっている。

 

伊勢神宮の参拝者に、熊野三山をはじめとした県内の観光名所へも来てもらおうと、県などは「伊勢へ七度(ななたび)熊野へ三度(さんど)」という言葉を使い、積極的な広報活動を行っている。

言葉の意味は「信心はどれだけ深く行っても限りは無い」ということ。

観光客に、自然崇拝の聖地、信仰の原点である「熊野」の魅力に何度も触れてもらえるよう、更なるおもてなしやサービスの向上が求められていることを改めて感じた。

 

(次田尚弘/和歌山)

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乗って残そうの精神 守る地域の宝

2013-04-14 11:19:34 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

先日、三重県である幟を見つけた。「乗って残そう」の文字。

乗って残そう」といえば、かつて、貴志川線の存続が取り沙汰された際、沿線住民らで発足した「貴志川線の未来を"つくる"」が掲げた言葉。

 

 

 

【写真】近鉄内部線・八王子線と「乗って残そう」の幟

 

いま、三重県四日市市を走るローカル線、近鉄内部(うつべ)線・八王子線が存続の危機にある。

その幟は存続を求める思いが込められたものだ。

 

近鉄内部線・八王子線とは三重県四日市市近鉄四日市駅から内部八王子のそれぞれを結ぶ総延長約7キロの鉄道。

特殊狭軌と呼ばれる通常より狭い線路幅を走り、トロッコ列車にようにコンパクトな車両が特徴的だ。

 

昨年8月、近鉄は「今後も地域の移動手段を守るため、鉄道からBRT(バス高速輸送システム)への転換が最善」との文書を出した。

現在使用している車両の老朽化で設備投資が必要となることや、毎年約3億円もの赤字が嵩むことからの提案だ。

BRTとは線路を外しバスの専用レーンとして活用する方式で、全国でも採用が進んでいるモデル。

輸送する車両を鉄道からバスに置き換えるということで、鉄道会社が完全に手を引くというわけではないが、市などは鉄道での存続を求めている。

 

私たち和歌山県民も他人事ではない。貴志川線は存続されているが補助金がなければ経営は厳しい状況。

補助金に頼らないためには沿線住民らが年間であと4回多く利用することでクリアできるという数字がある。

県外、海外からの観光客へのアピールも重要だが災害や社会情勢に左右されやすいのは事実で、やはり地元住民の協力が不可欠。

月に一度をノーマイカーデーと意識し、たまには電車を利用してはどうだろう。

地元の鉄道を地域の宝と捉え、和歌山と同じスローガンで活動する街を見てそう感じた。

 

(次田尚弘/和歌山)

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「足赤えび」大作戦 地産地消からのブランド化戦略

2013-04-07 23:45:31 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

和歌山は海の幸、山の幸に恵まれたところ。昨日行われた城下町バルに参加された方もいらっしゃるかもしれない。

定額のチケットを購入し、行ったことのない店や初めての料理にトライする。一度訪れて虜になったという声が多く聞かれるのがバルの魅力だ。

 

バルがきっかけではないが、昨年、知人のすすめで訪れた雑賀崎のとある店。目の前の漁港で捕れた足赤えびを食べ、以後、それの虜になっている。

 

  

 

【写真】雑賀崎で獲れた足赤エビ

 

その名の通り、赤い足が特徴。髭は紅白でいかにも縁起がいい。体調は1520センチ程。足赤えびの正式な名称は「クマエビ」といい、クルマエビ科に属する。確かにクルマエビに引けを取らない美味しさだ。漁期は10月~5月。房総半島以西の近海で捕れ、決して和歌山県特有のものではない。

 

だが、昨今、巷で目にするのには理由がある。県海草振興局の取り組みで平成22年から地域の魅力ある食材を観光客に限らず、地元住民に向けてPRしようと「和海地域アシアカエビ販売促進協議会」を発足。「足赤エビ売り出し大作戦」と題し、地元旅館への集客観光商品の開発支援、首都圏への販路開拓、販促アイテムとして専用の幟も用意され積極的な活動が行われている。

和歌山市内のスーパーマーケットでも販売されており、一尾500円程。輸入物に比べると倍以上の値段だが、価値はあると思う。

 

地元住民に向けたPRで地産地消を促進し、口コミで全国にそれの価値が響いていく。身近な食材「足赤えび」を通じ、地場食材のブランド化のために、まずは地域で愛され地産地消が促進されることが重要であることを、改めて感じさせられた。

 

(次田尚弘/和歌山)

 

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