さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

すだちと間違われやすい 歴史が古く用途も異なる「かぼす」

2022-03-27 19:08:05 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、疲労回復や肥満予防に効果があり、徳島県で盛んに栽培されている「すだち」を取り上げた。
すだちと見た目が似た柑橘がある。今週は「かぼす」を紹介したい。


【写真】かぼす(収穫時は深い緑)

かぼすは直径6㎝程度、重さが100g~150g程度で、すだち(直径4cm程度、重さ30g~40g程度)と比べるとサイズが大きい。
また果実の頭の部分が盛り上がり、外皮にも張りがあることで見分けることができる。

収穫時期は露地物が8月頃から11月頃、ハウス物が3月頃から7月頃まで出回ることから、年間を通して手に入れることができる。
まろやかな酸味が特徴で、鍋料理やお吸い物によく合う。焼き魚などに添えるすだちとは少し用途が異なるといえる。

かぼすの歴史は古く、300年程前に中国大陸から日本に伝わったとされる。
元禄(1688年‐1704年)の頃に京都の医師が大分へ苗を持ち帰ったことから大分県で栽培が盛んになったという。
農水省統計(2018年)によると、大分県での生産量は全国シェアの98.5%。他にも宮崎、福岡、埼玉、群馬などで生産されており、和歌山県では僅か。

名前の由来は、刻んだ皮を使い、蚊を追いやる(いぶす)ために使われ、蚊をいぶすことを意味する「蚊いぶし」が徐々に変化し「かぼす」と呼ばれるようになったという。
当時は薬剤としての用途あったことがうかがえる。

果実にカリウムやビタミンC、クエン酸が豊富に含まれることから、疲労回復や風邪予防、美肌効果が期待できるほか、ポリフェノールの一種であるフラボノイドが、抗酸化作用や抗がん作用として期待されている。

すだちと見た目は似ているが用途や歴史が異なるかぼす。和歌山県産は珍しいので見つけたらぜひ購入してみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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疲労回復や肥満予防に効果 徳島県で栽培盛んな「すだち」

2022-03-20 16:43:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、和歌山で僅かに栽培される、爽やかな香りが特徴の「シークヮーサー」を取り上げた。このシークヮーサーに見た目が瓜二つの柑橘がある。
今週は「すだち」を紹介したい。


【写真】すだち(収穫時は深い緑)

「すだち」は直径4㎝程度の柑橘で、シークヮーサーとほぼ同じサイズ。
ハウス物や貯蔵されていたものが年間を通して流通するが、主な収穫時期は7月から11月頃。サンマなどの焼き魚に添えられることも多く、秋の訪れを感じさせてくれる。

特徴は香りの良さ。爽やかな香りと酸味が食材の味を引き立ててくれる。
果実を食べることはできず、輪切りにして搾り食材にかけるか、皮のまま擦り下ろし、ワサビなどと混ぜて風味を際立たせるという楽しみ方もある。

名前の由来は、元々、食酢として使われていたことから「酢(す)の橘(たちばな)」という意味で「すだち」と略されたという。
現在も、すだちの果汁を使ったお酢や、ポン酢のほか、お酒としても使用されている。

もうひとつの特徴は、すだちに含まれる成分。クエン酸が多く含まれることから疲労回復に有効とされている。
また、すだちの酸味により醤油などの塩分が多い調味料の使用を控えることで減塩効果が期待される。
他にも「スダチチン」というポリフェノール成分が肥満予防に効果があるとされ、健康志向の柑橘といえる。

主な生産地は徳島県。農水省統計(2018年)によると、全国シェアの約98%が徳島県。
和歌山県は約0.1%で全国6位。県内では主に紀の川市が主要な産地となっている。

お隣の徳島県で盛んに栽培されるすだち。その香りに秘められた様々な効果を体感してほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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沖縄特産の柑橘が和歌山で 爽やかな香り「シークヮーサ―」

2022-03-13 17:40:12 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、海外からの輸入品が一般的でありながら、県内でも生産される、国産グレープフルーツを取り上げた。温暖な地の利を活かし、県内では他にも珍しい柑橘が栽培されている。
今週は沖縄県特産のシークヮーサーを紹介したい。


【写真】和歌山県産の「シークヮーサー」

シークワーサーは沖縄県特産の柑橘。国内で生産されるほぼ100%が沖縄県だが、鹿児島県(徳之島)や、和歌山県内で僅かながら栽培されている。

名前の由来は、沖縄の方言で酸っぱいを意味する「シー」と、食べ物や食べさせるという意味の「クヮーサー」を合わせたもの。
柑橘としての正式な名称は「ヒラミレモン(平実レモン)」という。

直径は4cm程度と小さく、緑の果皮からカボスを連想させる。
輪切りにしてみると薄皮で、中心にやや多めの種がある。酸味のある爽やかな香りが漂い、果汁も多い。

シークヮーサーの特徴は食べ頃が3回あるところ。
8月〜9月頃は果皮が青く、酢の物に適し、10月〜12月頃は果汁を絞ってジュースに。年が明けると果皮が黄色になり実が熟することから生食用として食べられる。

特徴は他にもある。ポリフェノールの一種である「ノビレチン」の含有量が、温州みかんの約10倍あるとされる。また、同じく含まれる「タンゲレチン」には抗酸化作用や抗炎症成分、抗がん作用やコレステロールの抑制効果が期待できるといわれる。

年間の約半分の期間を様々な形で楽しめるシークヮーサー。見かけたら是非購入し、その味わいを試してほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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こんな柑橘も県内で 紀の川市産「グレープフルーツ」

2022-03-06 16:50:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、国内産としては貴重な存在で、香りを楽しむ柑橘「ライム」を取り上げた。
海外からの輸入品が一般的だが、近年、県内で生産される柑橘が他にもある。
今週は「グレープフルーツ」を紹介したい。


【写真】県内で収穫される「グレープフルーツ」

2018年の農水省統計によると、国内産の全国の生産量は23.3t。ほとんどが静岡県で栽培されており、統計値に和歌山県の表記は現れない。
筆者が産直市場で偶然見つけたのが、紀の川市で収穫されたもの。ごく僅かであるが、県内でも生産されている。

グレープフルーツの歴史を辿ると、発見されたのは18世紀頃。西インド諸島のバルバドスで発見されたとされる。
海外のフルーツという印象があるが、実は、春柑橘のひとつ「ブンタン」と「オレンジ」が自然交配したもの。1823年にアメリカのフロリダに伝わり栽培が盛んに。

大正期に苗が日本に輸入されるも寒さが故に普及しなかった。
1971年の輸入自由化により、年間をとおして市場に出回る一般的な柑橘となった。
ちなみに、名前の由来は、まるでブドウのように木に沢山の実が成ることにあるという。

国内で流通するグレープフルーツには品種が2つあり、ひとつは皮が黄色く白い果肉が特徴の「ホワイト・マーシュ」というもの。果汁が多く、爽やかな甘酸っぱさが特徴。
もうひとつは「ルビー」「ピンク・マーシュ」と呼ばれる、赤い色をした果肉が特徴のもの。酸味が強くなく味がまろやかであることが特徴。
筆者が入手した県内産のものは、ホワイト・マーシュ。輪切りにすると瑞々しい果肉に少し多めの種があり、輸入品と遜色ない出来栄え。

収穫からすぐに食べられる県内産は特別な存在。見つけることができれば、ぜひ食べてみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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