さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

都会生まれの新品種 露地栽培「東京おひさまベリー」

2023-05-28 16:44:11 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、種から育てる新品種で、国内初の実用化がされた「よつぼし」を取り上げた。今週は「東京おひさまベリー」を紹介したい。


【写真】やや細長く、着色のよい「東京おひさまベリー」

東京おひさまベリーは、東京都が開発したオリジナルのいちごで、2019年3月に品種登録された。施設設備を必要としない露地栽培用であることから個人が家庭菜園で栽培することも可能。

露地栽培用の品種である「宝交早生」に「女峰」を交配させた実生から選抜した「99-8」という品種を種子親とし、そこに「芳玉」を交配させた。得られた実生から選抜を重ね、東京おひさまベリーが生まれた。20年もの歳月をかけて開発されたという。

特徴は露地栽培で一般的な、宝交早生と比べ草勢が強く、果皮、果実共にしっかりとした固さがあること。果実はやや細長い楕円形をしており、果皮は鮮やかな赤色で光沢があり、果肉は中まで鮮やかな赤色である。
食してみると甘味と酸味のバランスに優れ、香りもよい。

栽培は10月頃に定植を行い、11月中旬と2月下旬に追肥をし、3月上旬に畝の部分にマルチと呼ばれる黒いシートを張り、開花を待つ。開花後30日から35日程度で着色し収穫が可能となる。
主な収穫期は5月上旬から下旬。施設栽培のいちごの販売が終わりを迎える頃が旬となる。
都内では農業体験型の農園で導入され、果実の販売に限らず収穫や加工の体験を行うなど、様々な工夫がされている。

栽培地域は全国で、苗は各地の種苗店やホームセンターなどで購入が可能。筆者は有田川町内の産直市場で果実を購入した。

東京生まれで露地栽培可能な新品種。県内でも徐々に栽培が始まっているので、見かけた際はぜひ購入して味わってみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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種から育てる新品種 国内初の実用化「よつぼし」

2023-05-21 16:40:50 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、シーズン終盤の時期に楽しめる「いちごジャム」の作り方を取り上げた。
県内で収穫されるいちごは他にもある。今週は「よつぼし」を紹介したい。


【写真】細長い円錐形で色付きの良い「よつぼし」

よつぼしは、三重県、香川県、千葉県、九州沖縄農業研究センターが共同で研究開発したいちご。種子繁殖型品種として、日本で初めて実用化された。

いちごは、ランナーと呼ばれるツルで株分けを行い、クローンの増殖により苗を増やす方法が一般的であるが、よつぼしは種から育てる。
それにより親株から病害虫などの影響を受けにくくなる。また、収穫時期が終わった後に親株を管理する必要がなく手間が省けるという違いがある。

また、一般的ないちごの性質である、日照時間が短くなり、低温になると開花する「一季成り」とは異なり、よつぼしは、日照時間や気温に左右されずに花を咲かせる「四季成り」であることから、日照時間が長い夏であっても実を付けることができる。

三重県が育成した「三重母本1号」を母親、香川県が「さちのか」や「とちおとめ」を育成した「A8S4-147」を父親とし、2014年に品種登録されている。
名前の由来は、甘味、酸味、風味が揃い、よつぼし級に美味しいこと。そして、4つの機関が共同開発した品種であることを意味しているという。

果実は円錐形をしており、香りがよく、果皮より内側まで色付いており、中心の空洞が僅かに見られる程度。
食してみると、酸味よりも甘味が先行し、硬さはちょうどよい程度。名前のとおり、バランスが取れた出来となっている。

主な収穫期は11月下旬から5月まで。筆者は県内の産直市場で購入。僅かながら県内でも栽培されている貴重な品種。見かけたらぜひ購入し味わってみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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シーズン終盤に楽しめる 「いちごジャム」の作り方

2023-05-14 13:38:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、バランスの良い甘味と酸味が特徴で、ケーキやジャムにして食べても美味しい「紅ほっぺ」を取り上げた。シーズン終盤となったこの時期、ジャムにして食べるのに適した小粒のいちごが出回る。
今週は、いちごジャムの作り方を紹介したい。


【写真】「まりひめ」を使ってジャム作り

作り方は極めて簡単。まずは、果実を水洗いし包丁でヘタの部分を取る。ジャムにする果実の総重量を測り、30%の量の砂糖を用意する。鍋の中に果実を入れ、その上から砂糖をまぶし、さらにレモン果汁をかける。レモン果汁は果実300gにつき大さじ1杯程度。

軽く混ぜ、1時間程度寝かせることで砂糖が溶け、果実から水分が出てくれば、中火にかけコトコトと煮る。アクが出てきた場合はすくって取り、30分程度煮詰めると鮮やかな赤色になる。とろみがついてくれば出来上がりとなる。

瓶で保存する際は、あらかじめ煮沸消毒しておいた瓶に入れる。軽く蓋をした瓶を1分程度煮沸し、熱いうちにきっちりと蓋を閉め、逆さまにして冷ますと長期間の保存が可能となる。

今回、果実のサイズが大きめであったため、煮詰めた後にやや大きめの果肉が残ったが、小粒の果実を使用すれば、市販されているような仕上がりになるだろう。

使用したいちごは「まりひめ」。甘味が際立ち、酸っぱさは少ない。食パンなどに付けて食べるのもよし、ヨーグルトにかけるソースとして食べるのもよし。とても美味しくいただくことができた。

シーズン終盤。この時期だからこそ楽しめるジャム作りをぜひ。

(次田尚弘/和歌山市)
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バランスの良い甘味と酸味 ケーキやジャムにも「紅ほっぺ」

2023-05-07 16:36:11 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、まりひめに次ぐ県オリジナル品種として知られ、香り高く食味に優れた「紀の香」を取り上げた。
今週は、全国的に栽培が盛んな「紅(べに)ほっぺ」を紹介したい。


【写真】果皮・果肉共に美しい「紅ほっぺ」

紅ほっぺは、果実が大きく甘味が強く収穫量が多い「章姫(あきひめ)」を母親、果実が固く甘味と酸味の調和に優れた「さちのか」を父親とする掛け合わせにより生まれた品種。1994年から静岡県の農業試験場で育成され、2002年に品種登録されている。
名前は果皮が美しい紅色で果肉の中心まで赤く、ほっぺが落ちるような食味の良さに由来しているという。

果実は大きめで長円錐形をしており、果皮にはつやがある。断面が美しいことからショートケーキやフルーツサンドに使用されることが多い。
また、果肉が鮮やかな赤色をしており、甘味と酸味のバランスが良いことから、ジャムにして食べられることも。
食してみると、果実はやや固めで、甘味と酸味が適度なバランスにあり、濃厚な味を楽しむことができる。

シーズンは12月から翌年5月頃。春の行楽シーズンである3月から4月頃に出荷のピークを迎えることから、いちご狩りに最適な品種とされる。
1月以降が本格的な収穫期となるため、クリスマスの時期ではサイズにばらつきがあり、この時期の商戦には弱い傾向にある。

主な産地は静岡県であるが、栽培地域を制限しておらず、茨城県や愛知県、九州地方など幅広い地域で栽培。和歌山県内でも栽培されている。

イチゴのシーズンの最後に最盛期を迎える紅ほっぺ。そのまま食べても、いちごミルクにしても、ジャムにしても美味しくいただける。様々な食べ方で、楽しんでいただきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
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