さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

旨味を凝縮した逸品 「いちご酒」の作り方

2023-06-25 21:37:11 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、まりひめを親に持ち、奈良県で栽培が進む新品種「珠姫」を取り上げた。
今週は、いちごを使った果実酒である「いちご酒」の作り方を紹介したい。


【写真】簡単に作れる「いちご酒」

作り方は簡単。まず、苺1パック(250~300g程度)を用意し、ヘタを取り、水で丁寧に洗い、キッチンペーパーなどで水気を拭き取る。
次に、綺麗に洗い乾燥させた瓶にいちごと35度のホワイトリカー500ml、氷砂糖60g、レモン1個を入れる。瓶に蓋をして冷暗所で保管し、たまに瓶を揺らして砂糖を溶かしていく。
2ヶ月程度熟成させ、果実を引き上げるのがおすすめだが、最短で1週間後から飲むことができる。

筆者は漬けてから3週間程度のものを飲むことにした。瓶の蓋を開けるなり、いちごの良い香りが広がり食欲をそそる。食前酒として出されることもあるということから、薄めることなく原酒のままいただくことにした。
飲んでみると、いちごの風味が強く口のなかに広がり、いちごの魅力が凝縮されていると感じる。しかし原酒のままではアルコールがきつく飲みづらいため、炭酸で割って飲むことにした。
多少、いちごの風味は薄まるものの、ほのかにいちごの香りを感じながら飲むことができ、後味もよい。

果実酒は梅やいちごの他にも、蜜柑やサクランボ、スモモ、トマトなど様々な種類がある。
大手酒造メーカーでは、ホワイトリカーがプラスチック容器の半分程度入っており、そこに好みの果実を入れることで、手軽にオリジナルの果実酒が作られる画期的な商品を売り出している。

果実そのものの旨味を凝縮していただける果実酒。ぜひ試してみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まりひめを親に持つ 奈良で栽培進む新品種「珠姫」

2023-06-18 18:08:10 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、奈良県のオリジナル品種で、バランスのよい食味が特徴の「古都華(ことか)」を取り上げた。
今週も奈良県で栽培されている「珠姫(たまひめ)」を紹介したい。


【写真】大粒でオレンジ色がかった果皮が特徴の「珠姫」

珠姫は2019年に品種登録されたいちご。奈良県農業研究開発センターが「さちのか」と「とちおとめ」の交配から得られた「系統22-19-1」という品種に、和歌山県オリジナル品種である「まりひめ」を交配し育成したもの。
平成26年に得られた約4500株の中から選抜が行われたという。

果実は上部が丸く卵型をしており、平均の果重は30グラムを超え大粒。果皮の色はややオレンジ色がかった赤色で光沢がある。果肉も果皮と同様にオレンジ色がかった赤色である。

食してみると酸味が少なくさっぱりとした甘味がある。古都華は糖度と酸度が高く、それぞれのバランスが取れた品種であることから特徴が異なり、酸味が苦手な人でも食べられるという工夫がされている。

栽培は奈良県内に限られ、まだ生産量は多くないが、和歌山県内でも流通。
価格は果実が大きいため1粒あたりの単価は一般的ないちごと比べやや高めだが、大粒で美しい形に目を惹かれる。収穫は12月から始まり翌5月頃まで。

奈良県は1980年頃まで全国3位の作付面積を誇るいちごの産地であったが、2018年時点では全国15位。一時期ほどではなくなったものの現在も生産量は多く、現在でも関西では有数の産地といえる。

和歌山県オリジナル品種のまりひめを親に持つ珠姫。大粒に育つまりひめの特徴を受け継ぎ、お隣の奈良県で栽培が進む珠姫を応援していきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奈良県のオリジナル品種 バランスのよい食味「古都華」

2023-06-11 14:39:11 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、山梨県で生まれた新品種「星の煌めき」を取り上げた。県内で栽培され筆者が購入した9種類のいちごに加え、近隣の他県で栽培され県内で見かける品種がある。
今週は奈良県で栽培されている「古都華(ことか)」を紹介したい。


【写真】つやがあり美しい「古都華」

古都華は2011年に品種登録されたいちご。奈良県農業総合センターが「紅ほっぺ」と「7-1-3」という品種を掛け合わせて育成したもの。
奈良県には「あすかルビー」というオリジナル品種があるが、ブランド力の強化を目的に開発したという。

果皮はつやのある赤色で香りが強い。糖度は12~13度と高めで、酸度も高いため、濃厚な味わいが特徴。果肉は中央にかけて白くなり、やや空洞が見られる。
果実自体は硬く歯ごたえがあり、日持ちがよい。いちごは収穫時期によって酸度のばらつきが見られることがあるが、古都華はばらつきが少ない。

名前の由来は、古都華が発表された翌年が「平城遷都1300年」で、古都・奈良を飾る新たな華になってほしいという思いが込められているという。

栽培は奈良県内に限られるが、和歌山県内でも流通。価格は一般的ないちごと同程度からやや高め。
大粒の実と美しいつやから、思わず手にしたくなる美しいいちごである。収穫は12月から始まり翌年4月頃まで。

甘味と酸味のバランスに優れ、見栄えもよいことから、ケーキやパフェに使用されることが多い。
奈良県内の道の駅では古都華をふんだんに使用したパフェが人気。これを目当てに遠方から訪れる人がいるほどで、地域活性の起爆剤となっている。

お隣の奈良県で栽培される人気品種。和歌山県内で見かけることがあれば、ぜひその味に触れてみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

全国に栽培広がる 山梨生まれ「星の煌めき」

2023-06-04 18:12:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、露地栽培可能な都会生まれの新品種「東京おひさまベリー」を取り上げた。
今週は、筆者が東京おひさまベリーを購入した有田川町の産直市場で並んで販売されていた珍しい品種「星の煌(きら)めき」を紹介したい。


【写真】艶がありバランスの良い味が特徴の「星の煌めき」

星の煌めきは、山梨県に本社を置く苗の生産業者が開発したいちごで、2017年に誕生した。
生産地である北杜市(ほくとし)は八ヶ岳をはじめ山岳の景観に優れ、星空が非常に美しいことから、この名前が付けられたという。

果実は艶のある濃い赤色。断面も内側にかけて赤色が広がり、中央部までしっかりと実が詰まっている。香りもよく、十分な硬さもある。
食してみると甘味と酸味のバランスがよくコクがあり、美味しくいただくことができる。
栽培地域に制限はなく全国各地で栽培が進んでおり、今後の拡販が期待される。

これまで11週にわたり、県内で栽培され筆者が購入した9種類のいちごを取り上げてきた。
「とちおとめ」や「さちのか」など歴史がある品種に加え、2000年代に入ってから開発された新品種が多数登場している。
栽培施設が不要で露地栽培できる品種は家庭菜園など個人が庭やベランダで栽培できる機会を作り、四季成りの品種は季節に関係なく収穫が期待できるなど、いちごを取り巻く環境が変化している。

和歌山県は全国比の栽培面積が1%程度と、いちごの一大産地ではないが「まりひめ」をはじめ、県のオリジナル品種は見た目、食味共に優れ、全国に誇れるもの。

全国への出荷は、いちごの鮮度維持が重要でまだまだ課題は多いが、今後はこの味を求め、いちご狩りなどの体験をとおし、足を運んでもらうアグリツーリズムなどが期待される。

果物王国である和歌山県にとって、いちごも地域資源のひとつ。まずは私たち県民がその魅力に触れ、全国に発信していきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする