さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

他県と比べ生育が優れる 大玉で美しい「なつおとめ」

2022-10-30 16:35:30 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、甘さが際立つ希少な桃「まさひめ」を取り上げた。
今週は、まさひめと同じく「あかつき」から作られた「なつおとめ」を紹介したい。


【写真】果皮が美しく、果肉にも特徴がある「なつおとめ」

なつおとめは、農水省果樹試験場で、あかつきと「よしひめ」の掛け合わせから生まれたもので、2002年に品種登録されている。

果実は楕円形で重さは250~330gで、あかつきと比べて大きめ。果肉は白色だが、核(中心部分)が美しい紅色をしているのが特徴。肉質は溶質で締りがあり、繊維はやや多め。糖度はあかつきと同程度で13~15度。酸味は少なく渋みはない。果皮は白色だが、赤い着色はぼかし状にやや多く、玉ぞろいも良好。
美しい着色が乙女の頬のように見えるということからこの名前が付けられたという。収穫期は8月上旬から中旬で、あかつきよりも10日程遅い。

農水省統計によると、生産地の第1位は香川県(15.7ha)、第2位は新潟県(9.4ha)、第3位は長野県(3.9ha)、第4位は福岡県(3.6ha)、第5位は山梨県と和歌山県(2.0ha)となっており、和歌山県内でも比較的、手に入りやすい品種となっている。

品種登録前の1994年から1998年に行われた、なつおとめの果実特性の調査で、各地域で試験的に栽培された結果が公表されている。
それによると、和歌山県で収穫の果実の重さが361g、糖度14.9度と他の地域と比べて生育が最も優れている。

様々な地域で栽培されながらも、和歌山県で収穫されるものは同品種のなかでも優れた存在。来シーズン、店頭で見つけたらぜひ購入し、その大きさと甘さを実感してほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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甘さ際立つ希少な桃 ギネス世界記録を持つ「まさひめ」

2022-10-23 19:00:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、果実が赤と白のコントラストで美しく、和歌山県内でも僅かに栽培されている「かぐや」を取り上げた。
今週は、かぐやと同じく「あかつき」から作られた「まさひめ」を紹介したい。


写真】乳白色の果実が美しい「まさひめ」

まさひめは「中津白桃」と「布目早生」からできた「21-18」という桃と、あかつきを交配させて得られた品種。
1973年に実生苗の養成が始まり、1989年に新品種候補として認定。まさひめと命名され、1993年に品種登録が完了している。

果実は円形から楕円形をしており重さは約220gと小ぶり。果肉は乳白色をしており、陽が当たる面がやや赤く着色する。肉質は溶質で締りがあることから日持ちがよく贈答品として利用されることが多い。
食してみると甘味が強く酸味は少なめ。糖度は約13~14度とされる。

栽培地のひとつ、大阪府岸和田市の包近(かねちか)地区で2015年に収穫されたまさひめは、平均糖度22.2度を記録。これが、糖度(ブリックス値)が最も高い桃としてギネス世界記録に登録されており、世界で最も甘い桃となっている。
甘い桃を栽培するために土壌改善を行い、開花の時期に下向きの花だけを残す摘蕾(てきらい)という作業を行い、収穫時には一枝に一つだけ実を残すという徹底した栽培手法が行われているという。

農水省統計によると、生産地の第1位は新潟県(12.8ha)、第2位は大阪府(1.4ha)となっており、第3位以降の記載は無い。
全国的に見ても希少な品種。筆者は和歌山県内の産直市場で購入。僅かながら和歌山県内でも栽培されている。

栽培方法にこだわりを持てばギネス世界記録に登録されるほどの甘さを引き立てる要素を持ったまさひめ。甘さを求める方は、来シーズンに是非見つけて食べてみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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赤と白のコントラストが美しい 僅かに和歌山でも栽培「かぐや」

2022-10-16 17:12:55 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、大玉でありながら緻密な肉質が特徴の「嶺鳳」を取り上げた。
今週は、嶺鳳と同じく「あかつき」から作られた「かぐや」を紹介したい。


写真】赤白でジューシーな果肉が特徴の「かぐや」

かぐやは福島県福島市で生まれた極晩生種とされ2013年に品種登録。正式な品種名は「かんのT7号」という。
果実は楕円形で、重さは350g程度とあかつきよりもやや大きい。果皮は無袋で育成されるため、全体的に濃い紅色に着色する。

果肉はやや硬めで繊維質が少ない。あかつきと同様に白肉でありながら、中心部分の周囲に鮮やかな赤の着色があり、赤と白の美しいコントラストが特徴。糖度は13度を超えるほど。

食してみると甘味が強いわりに酸味は少なく果汁は多め。あかつきよりも溶質でジューシーな食べ応え。
収穫時期は8月下旬から9月中旬と桃のシーズンの終盤にかけて。この時期の桃はジューシーさに欠ける品種が多いが、かぐやの場合はシーズンの盛りに収穫される桃と変わらないほど。日持ちに優れることから贈答品としての需要がある。

農水省統計によると、生産地の第1位は福島県(4ha)、第2位は山形県(1.7ha)となっており、第3位以降の記載は無い。
嶺鳳における全国の栽培面積は89.4ha(全国で13位)であるので、それと比べれば極めて希少な品種であるといえる。
筆者は和歌山県内の産直市場で購入。僅かながら和歌山県でも栽培されているようだ。

東北地方を中心に栽培される品種でありながら、遠く離れた和歌山の地に取り入れ、栽培がはじめられている品種。
見つけるのは難しいかもしれないが、来シーズンに是非ご賞味いただきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
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贈答品として人気上昇 大玉でありながら緻密な肉質「嶺鳳」

2022-10-09 18:26:50 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、産毛が無い希少な桃で、県内でも栽培されている「ネクタリン」を取り上げた。
今週は「嶺鳳(れいほう)」を紹介したい。


【写真】大玉で赤く色づく「嶺鳳」

嶺鳳は、1976年に山梨県で「あかつき」の枝替わりから発見し育成された品種。
産地にちなみ「アルプススイート」という別名がある。

果実が大玉であるのが特徴で1玉400g程度の大きさ。全体的に赤く色づきやすく、果肉は白く種の周囲が少し赤い。固めで緻密な肉質であることから日持ちに優れる。

購入してすぐは固さがあるため、十分に熟してから食するのがおすすめ。
包丁を入れると断面から果汁がにじみ出るほど果汁が多め。果肉が固めであることから容易に種を取り出すことができ、切っても実が崩れることなく、ほどよい食感がある。
食してみると芳醇な香りがあり、糖度が高く美味しくいただくことができる。

親の品種であるあかつきは、全国1位の栽培面積を誇り、桃全体に占めるシェアは約15%。
その品種から生まれた嶺鳳は全国13位の栽培面積で、桃全体に占めるシェアは1%程度。
まだまだ一般的ではない品種であるが、大玉で見栄えがあり日持ちがすることから贈答品として人気が高まっている。

農水省統計によると、産地の第1位は山梨県(77.2ha)、第2位は和歌山県(12.2ha)となっており、第3位以下の記載は無い。
収穫時期は7月中旬から下旬頃の短い期間で栽培量も少ないことから、店頭で見つけづらい品種。
来年の夏、目にすることがあればすぐに購入し、その味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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産毛が無い希少品種 県内でも栽培「ネクタリン」

2022-10-02 18:33:17 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では東京・六本木で開催された、和歌山県出身者で作るユニットによる音楽イベントを取り上げた。
話を戻し、今週は「ネクタリン」と呼ばれる桃について紹介したい。


【写真】ネクタリンのひとつ「黎明」

ネクタリンの特徴は、表面に産毛が無くつるつるとしていること。それ故に「油桃(ゆとう・あぶらもも)」と呼ばれることもある。正式な和名は「ズバイモモ」という。

産毛がある一般的な桃と比べ、果肉がしっかりしていることから身崩れがしづらい。
食してみると酸味があり甘酸っぱいが、見た目から連想するスモモと違い、香りや味は桃そのものである。
酸味があることからヨーグルトを混ぜて食べる方法や、タルトやパイなどにして甘酸っぱさを活かすなど、食し方は様々。
野菜やハムなどと組み合わせ、サラダにすこともある。食物繊維の含有量が一般的な桃よりも多く、カリウムも豊富に含まれることから、健康志向の方におすすめ。

ネクタリンには「ファンタジア」「秀峰」「秀峰」「黎明(れいめい)」「サマークリスタル」「ファンタジア」という品種があるが、ネクタリンの中で最も栽培面積が広いファンタジアでも30ha未満であり、まだまだ一般的ではない品種といえる。
和歌山県内で収穫され販売されていた黎明という品種は、全国の栽培面積が3ha程度と希少。

農水省統計によると、ネクタリンの産地の第1位は長野県、2位は福島県、3位は山梨県、4位は青森県、5位は秋田県となっており、東日本での生産が中心。
旬は一般的な桃と同じ時期から出回り、品種によっては9月末まで店頭に並ぶことも。

和歌山県内では珍しいネクタリン。一風変わった桃を見つけることができれば、ぜひご賞味いただきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
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